2014年2月28日金曜日

「日本生殖医学会 認定研修施設」に認定されました!!

本日、日本生殖医学会より、認定研修施設として認定されたとの連絡が届き、生殖医学会の
ホームページにも、掲示されました。
千葉県では、千葉大学などと並んで、5施設のみの認定です。
皆さんも一度、生殖医学会のホームページを訪れてみて下さい。
日本生殖医学会の認定研修施設とは、生殖医療専門医の研修施設として、認められたと言うことです。今後は、当クリニックで専任で研修した場合には、専門医の試験を受けることが出来ると言うことなのです。
それが何だ、と言われれば、当クリニックで研修をする人以外は全く関係の無いことですが、あるレベル以上の施設であると認められたと言うことです。
つまり、とにかく、このように言わせて頂きたいだけなのです。
読んで頂きありがとうございました。
今後も高橋のたわ言に、時々、お付き合い頂ければ幸いです。
まだまだ好き放題、たわごとを書いていくぞ~~!

2014年2月26日水曜日

男性への薬剤投与の影響(子供への影響は?)

本日、リュウマチの薬、リウマトレックスを夫が飲んでいるが、赤ちゃんへの影響、奇形発生が増えるかどうかの質問がありました。
すぐには、確信を持って答えられなかったので調べてみました。

結論から言えば、夫がリウマトレックスを飲んでいても、特に赤ちゃんの奇形発生が増加することはないようですので、あまり心配しないで良いでしょう。

夫に対しての薬剤投与の一般的な考え方をこの機会に説明致します。

一般的には、男性に投与された薬剤が妊娠に与える影響は非常に少なく、奇形児が増えるようなことはほとんどない、と考えられています。
もし、精子が薬剤の影響を受けたならば、通常は影響を受けた精子は受精能力がなくなります。影響を受けなかった精子が選ばれて受精するのです。
精子が出来るのには70日ほどかかります。射精される精子は、数日前にはすでにできあがっている精子なので、例えば、射精の数日前に服用した薬などはほとんど影響はないのです。

ただし、注意するべき薬として、痛風治療薬のコルヒチンと抗癌剤があります。

コルヒチンは、夫が服用した場合、その配偶者から、ダウン症候群及びその他の先天異常時が出生する可能性があるとの報告があるようです。ただし、現在ではその危険性は少ないと考えられているようです。
抗癌剤は、男性の精巣に影響し精子がしばしば少なくなり、妊娠しにくくなります。もし妊娠した場合には、奇形よりも染色体への異常が関係する可能性があります。
また、抗悪性腫瘍薬のサリドマイド(サレド)とレナリドミド(レブラミド)、抗ウイルス薬(C型慢性肝炎治療薬)のリバビリン(レベトール)などは、精液中にも分泌される可能性があり、パートナーが妊娠している場合、または妊娠の可能性のある場合には、精液が女性に入らないよう性交を控えるか、コンドームの使用が義務づけられています。
したがって、男性が以上のような薬を使用した場合には、新しい精子が出来る3ヶ月程度は、避妊をした方が良いでしょう。

基本的には、男性には、風邪薬、抗アレルギー剤、ワクチン、その他、ほとんど問題なく使用可能です。
また、薬ではありませんが、タバコはやめましょう。明らかに赤ちゃんへの悪影響をおこします。

AMH<0.1、凍結胚移植で妊娠された例

先日、34歳、AMH<0.1で、4回目の採卵で4個採卵、ICSIで4個受精、新鮮胚で1個移植するも妊娠せず。残存3個中1個胚盤胞になり凍結。その後1個の胚盤胞を移植して妊娠。の方がいらっしゃいました。

35歳以下の方でもAMH<0.1と、非常に低い方はいらっしゃいます。妊娠希望の方は、やはり早期にAMHを検査しておいた方が良いという1例だと思います。

AMH<0.1での妊娠は、珍しくはありません。「AMH<0.1は卵子が無いことを示している」のではありません。AMH<0.1でも複数の卵子は採卵できることもあります。諦めずに挑戦してみましょう。この方は、最初の頃は卵子の状態があまり良くなかったので、DHEAとビタミンDを使用しました。
ただし、年齢が高くなると、折角採卵できた卵子も染色体異常が高くなり、妊娠しにくくなります。
特にAMH<0.1の方は、残されている時間が少ないことをしてみていますので、より治療を急ぐ必要があることをご理解下さい。
今度AMH<0.1の方の集計をしてみたいと思います。結果が出ましたらまた皆さんにもご報告致します。

久々の1日10例の妊娠;元気が出ます!

先日、久々に1日の妊娠数が10例に達しました。
たまたま妊娠の波が重なっただけなのかもしれませんが、やはり妊娠数は元気の源です。
妊娠数が少ないと元気が出ず、多くなると気分も上昇します。
人間はやはり、感情の生き物なのですね。この年になっても、単純な自分にあきれることもしばしばありますが、、、
開業して13年経ち、同じ事の繰り返しかもしれない毎日なのですが、妊娠の結果を見るとやはりうれしいのですね。これは幸せなことです。感情レベルでは、まだ私は毎日の不妊治療では、マンネリ化してはいないことを実感します。
毎日の仕事で、うれしい事、気落ちする事を感じられることは、むしろ幸せなことなのでしょう。
今も深夜の1時ですが、今日も精一杯生きられました。
また明日も、皆さんと、職員(付き合わされてあきれられているかもしれませんが、、)と、共に一緒にがんばりましょう。

2014年2月25日火曜日

重複子宮の方への診療(腟中隔切除のメリット)

最近、重複子宮の方が複数受診され、いくつか気になりました。重複子宮とは、子宮が完全に左右に分かれており、子宮が2個あり、それぞれの子宮に1本の卵管がある状態です。

重複子宮の方の中には、しばしば腟中隔といって膣にも中隔があり、膣が2分されています。
1)このような方の中には、腟口も2分されるので、痛くて性交渉が困難な方もいらっしゃいます。(普通に交渉も持てる方もたくさんいらっしゃいますが)
この様な場合には、腟中隔を切除すると、交渉の痛みが軽減する可能性があります。当クリニックでは日帰りでおこなっていますが、手術時間も10分程度であり、術後の痛みもあまりありません。
2)膣が2分されていると、性交渉を持てても、精子は交渉を持てた側の子宮/卵管にしか行けないので、通常は妊娠のチャンスが少なくなります。しかり、腟中隔を切除することとで、両側の子宮/卵管に精子が進めるので、左右どちらの排卵でも妊娠の可能性が得られます。
3)腟中隔があると、通常は腟口は左右同じ大きさではないのですが、中隔を切除することで、人工授精の場合でも、どちら側の子宮にも容易に人工授精もおこなえるようになります。また子宮鏡検査や卵管造影検査も、容易に両側おこなえるようになります。

腟中隔をそのままにしても、不妊治療は可能なのですが、このように腟中隔を切除することで、不妊症の検査や治療も容易におこなえるメリットがあるのです。
今回の対象の方々は、前医では腟中隔をそのままで、治療を受けていました。
そのために、行える検査や治療が制限されていたのです。

今回、39歳の方は腟中隔切除後、人工授精2回(前医で3回)の後に、体外受精・凍結胚移植で妊娠されました。今後も順調に進んでいくことを祈るばかりです。
重複子宮があっても、人工授精や体外受精なども大きな問題なく受けられるのですね。

AMH<0.1、FSH41、体外受精で妊娠した症例

AMH<0.1、FSH;41で、体外受精1回目で妊娠された36歳の方をご紹介致します。
4cmの筋腫もある方で、子宮内腔の変形がややありました。AMH<0.1でもあり、筋腫の手術をせずにすぐに体外受精のスケジュールに入りました。
しかし、体外受精予定の前周期には、生理16日目でも内膜は5mm未満で卵胞も全く見えませんでした。E2;47、FSH;41、LH;54と、閉経に近い状態にありました。これに対して、プレマリンを使用することで卵巣を休め、プラノバールで生理をおこしリセットしました。
その次の周期には、生理3日目よりプレマリンを使用したところ、生理10日目で右卵胞が19×16mmとなりました。幸いに、採卵でき、受精、何と胚盤胞まで成長したのです。これを移植し妊娠。先日心拍も認めました。
この方は、36歳と比較的若く、AMH<0.1であったので、すぐに体外受精に進んで良い結果が得られました。今後も順調に経過することを祈るばかりです。
この方には、対策はプレマリンとDHEAのみの使用でしたが、初診受診後1ヶ月で体外受精の決断をご夫婦でおこなったスピードが幸いしたのかもしれません。

2014年2月24日月曜日

ICSIでなく、マイクロドロップ法という選択肢

先日、通常ならば顕微授精(ICSI)が必要な方が、どうしてもICSIを避けたいとの要望があり、マイクロドロップ法を10年ぶりにおこないました。
その結果、採卵した3個の卵子がすべて受精して、胚移植が出来ました。顕微授精が当たり前におこなわれている現在では、マイクロドロップ法はすたれていった技術ですが、若い胚培養士が顕微授精をおこなわずに受精したことに驚いていました。
私は、培養士の大半がマイクロドロップ法を知らない世代になったことに驚きました。皆さんの選択肢としてもあり得る方法なので、ここでご紹介致します。

皆さんご存じでしょうか?通常の体外受精で受精するにも、1CCあたり10万匹程度の運動精子が必要なのです。精子1匹いれば受精する、のではないのですね。
顕微授精がおこなわれる以前には、通常の体外受精しか受精させる方法がなく、重症の乏精子症の方には、精子が足らずに、卵子がたくさんとれても受精できないことがしばしばおこりました。
そのようなときに、マイクロドロップ法がおこなわれたのです。精子と卵子をおよそ1CCの培養液の中で受精させるのですが、その場合に元気な運動精子が10万匹ほど、つまりそれだけの精子濃度を必要とするのです。しかし、運動精子が少ない場合には、培養液を1/10にする事で、精子濃度を10倍にする事が出来るのです。このように工夫して、少ない精子でも体外受精で受精卵が得られることがあるのですね。
今回の方は、原精液の精子運動率が12%、総運動精子が360万でした。一般的にはICSIの適応でしたが、幸いに、今回はマイクロドロップ法で受精卵が得られたのです。

どうしてもICSIをしたくない方には、挑戦してみることができる方法でしょう。マイクロドロップ法は一つの選択肢といえますので、ここでご紹介致しました。
ただし、この方法は、非常に重症な乏精子症には使えません。やはりICSIの方が、重症の乏精子症にもおこなえるし、より高率で受精卵を得られるのです。マイクロドロップ法は、ギャンブルのような方法になります。受精しないことも少なくないことを受容した上で、どうしてもICSIにしたくない場合にはあり得る方法なのです。

2014年2月23日日曜日

今年(2014年)4月からの体外受精補助の制度改正

本日、千葉県より、2014年4月からの特定不妊治療助成事業の改正の予定のお知らせが届きました。
平成26~27年は、移行時期であり、ややわかりにくくなっていますが、以下のパターンでした。

①平成26年度(4月以降)に新規に申請される方
  ア) 39歳以下: 通算6回まで(年間制限なし;43歳まで)

  イ) 40歳以上:  初年度は年3回まで  2年度目は年2回まで
       (ただし、28年度以降は、43歳以上の方は女性対象外)

②平成25年度までに助成を受けたことがある方
 
現行制度(初年度は年3回まで、2年目以降は年2回まで 通算5年度 10回まで(年齢制限なし))
 (27年度で終了)

平成28年度からは新制度に全面移行
   ア) 39歳以下: 通算6回まで(年間制限なし)
   イ) 40~42歳: 通算3回まで(年間制限なし;43歳未満)
   ウ) 43歳以上: 助成対象外 




言い換えますと、4月以降に新規申請する方は、

1)39歳以下の方は、体外受精は 通算6回まで (43歳未満まで)

2)40歳以上の方は、最高5回(26年度3回、27年度2回として)まで


すでに申請をしていた方は、
26年度 27年度は、年2回ずつ 助成を受けられます(通算10回まで)
詳しいことは、各自治体の窓口におたずね下さい。

すでに、体外受精の助成制限は始まっているのですね。
利用の出来る方は、早めに助成を受け事もお考え下さい。
今後は、回数の制限が明確になっているので、我々も、1回1回の体外受精を大切に、より少ない回数での妊娠を目指して努力をしていきたいと思います。

2014年2月20日木曜日

4回胚移植不成功後、卵管水腫切除し、その後3回妊娠反応陽性となった例

両側の重症の卵管水腫があり、4回胚移植をしても妊娠しなかった方が、卵管を切除して1回目の胚移植で妊娠された30歳頃の方の例を2013年9月に紹介致しました。
残念ながら、その初回の妊娠は8週で流産となりましたが、卵管切除後2回目の胚移植は妊娠反応が出て化学的流産となったものの、3回目の胚移植でまた妊娠され7週で卒業となりました。

重症の両側卵管水腫があって、術前は4回胚移植しても妊娠されなかった方が、卵管水腫の手術後は、3回とも妊娠され、無事卒業となった例です。
この方は、卵管水腫の手術前後で、妊娠の結果が劇的に変化した、典型的な例です。

超音波検査で判るような、重症の卵管水腫がある場合には、このように卵管水腫の手術も選択肢とお考え下さい。

2014年2月19日水曜日

2014年1月の妊娠数

2014年1月の妊娠数の報告を致します。

1)1月の妊娠数 55例     

 ART妊娠    24例    (内訳:  IVF/ICSI 7例     凍結胚移植 17例) 

 AIH妊娠    13例     

その他      18例  (タイミング、クロミフェンなど) 

1月は、まだ採卵が少ないので、例年での妊娠数は年間で最も少ない月です。
開始としては、通年と同様だと思います。

最近は、診療での皆さんの待ち時間が長くなり、大変ご迷惑をおかけしております。
看護師さんの休職、転勤などがあり、ご不便をおかけします。
比較的午後は待ち時間が少ないので、可能であれば、午後の診察時間もご利用下さい。
現在、混雑解消に向けて、鋭意努力中です。今しばらくのご理解をお願い申し上げます。

今年も、年始は過ぎて、2月も終わろうとしています。
毎日が過ぎるのがどんどん早くなっていると感じる毎日です。皆さんは如何でしょうか。
早くなる毎日でどれだけ出来るのか、挑戦する気持ちを持ち続けたいと思います。
また一緒にがんばっていきましょう。

2014年2月17日月曜日

万能細胞、小保方さんの業績を聞いて

万能細胞のSTAP細胞は、そのあまりにも簡便な方法でできる事に世界中が驚きました。
しかし、その事実が分かるまでの努力は相当のなものだと思います。
小保方さんの会見や背景を聞いて、一番印象に残ったことは、皆さんは何でしたか?

私は、彼女が「いつも仕事のことを考えていた」ことが印象に残っています。
やはり、常にそのことを考えていることで、今回の偉大な発見になったのだと思います。

私もまだまだ不妊治療でやりたいことがあります。常に考えていく姿勢を持って行きたいと思います。

また、STAP細胞などが、生殖医療に応用できる時代を追求していきたいですね。

ところで、どのような施設、医師が信頼できるかしばしば質問されます。
なかなかどの先生が良いか?などは実際には判りませんが、
1)治療の成績をしっかりと公開している
2)質問にしっかりと答えてくれる
3)希望に対して、出来る範囲で希望に応える姿勢を見せてくれる
などが、挙げられるでしょう。

2014年2月16日日曜日

タバコは体外受精に「悪影響を与えない?

タバコ喫煙はIVFの転帰に有害な影響を与えない?

European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biologyという雑誌に、喫煙が体外受精の成績に悪影響を与えないという論文が載りました。

これは、当クリニックの考え方とは異なりますので、医学論文への考え方も含めて、コメントをしたいと思います。
この論文では、いくつかの問題点があります。
1)まず、タバコを吸っている女性が、わずか43例であるとです。(内訳は、女性非喫煙者[n=171]、男性非喫煙者[n=118]、女性喫煙者[n=43]、男性喫煙者[n=96])
わずか43例の女性の喫煙者の妊娠率を比較して、差が無かったとの結論は信頼度がかなり低いのです。この患者数では差が無かったが、もっと患者数を増やせば差が出る可能性が十分あります。
2)採取した卵細胞の総数と、成熟卵細胞数は喫煙者群の方が多かったことです。つまり、喫煙者のグループの方が、偶然、卵巣機能が良い人が集まった可能性が高いのです。
3)実際に、アンタゴニスト群内で検討したところ、非喫煙者に比べて喫煙者の平均年齢は有意に低く、採取した卵母細胞の総数は有意に多かったようであり、喫煙者のグループがやや若い可能性があるのです。
 
医学論文には、結果が真逆の報告が山ほどあります。内容も信頼の置ける報告から、ほとんど信頼の置けない報告まで様々なのですね。したがって、一つの医学論文の結果を見てそれが正しいと考えるのは早計なのです。実際には、タバコが妊娠率を低下させる論文はたくさんあります。
 
当クリニックでは、タバコは明らかに妊娠率を下げ、流産率を上昇(2倍)させると考えています。
喫煙している方は、すぐに禁煙して下さいね。
なお、タバコを減らしても、1本1本大事に吸うことになり、むしろニコチン、タールが上昇します。減らしても意味が無いのですね。きっぱりとやめることをお勧め致します。
 
ちなみに、テレビでやっていた事が正しいとは、同様な理由ですべて信じてはいけません。特に、私も楽しく観ていますが、サンマのほんまでっかTVで、様々な論文のことが紹介されています。しかしそこで紹介される話も、「そのような論文もある」と言うだけで、それが信頼を置いて正しいとはとらえない方が良いでしょう。TVでも「ほんまでっか?」という姿勢で楽しんで下さい、と断りを入れていますね。
ただ、さんま(さん)は、58歳であのテンションは非常に励みになりますね。私のお手本の一人です。
 私の目指すのは「笑いのとれる生殖専門医」なのか??? 何を目指しているのだ~!
 
 
 
 

子宮外妊娠での、卵管を残す意義は?

子宮外妊娠での、卵管切開(保存)と卵管切除ではその後の妊娠率はほぼ同等

ランセットという、有力雑誌で、子宮外妊娠における、卵管切開(保存)手術と、卵管切除を受けた群では、その後の妊娠率に大きな差は無かったとの論文が載りました。
卵管を残した群の3年間の累積妊娠継続率は、卵管切開術で60.7%、卵管切除術で56.2%で、ほぼ同等な結果でした。一方、卵管切開(保存)群では、子宮外妊娠の繰り返しが高かったようです。

このような報告は今までにもありましたが、有力紙に載った報告であり、再確認されたと考えて良いでしょう。
つまり、卵管妊娠では、もう一方の卵管が正常であるならば、子宮外妊娠の卵管を残しても、その後の妊娠率が上昇することはごくわずかであり、ほとんど変わらない。一方、子宮外妊娠が繰り返す率は上昇する。したっがって、無理に卵管を残す意義は少ないのですね。
ただし、すでに片方の卵管がない方にとっては、子宮外妊娠の再発が高くなるリスクを受け入れるならば、出来るだけ卵管を保存する手術はあり得る選択肢です。
Salpingotomy versus salpingectomy in women with tubal pregnancy (ESEP study): an open-label, multicentre, randomised controlled trial.The Lancet, Early Online Publication, 3 February 2014.

最近では体外受精が広く受け入れられており、卵管を残すことが少なくなっています。
また、手術ではなく、子宮外妊娠にメソトレキセートという、抗癌剤を投与することで手術せずに、子宮外妊娠部の萎縮をおこして手術せずに済ませる選択肢も増えています。

余談ですが、体外受精でも子宮外妊娠はおこります。体外受精では子宮外妊娠は予防できません。また、卵管を両方切除している場合でも、体外受精で子宮外妊娠はおこり得ます。子宮と卵管の境の卵管間質部や、子宮の入り口の子宮頸管部にも妊娠することがあり、この場合も子宮外妊娠なのですね。

糖質制限食(低炭水化物食)の安全性(29年間の長期追跡)

皆さん、雪の影響は如何でしたでしょうか。
私はこの2週間、家とクリニックを行き来していただけで、遠出は出来ませんでした。
この間、ブログを更新すれば良いのですが、その気力も起こらず過ごしていた次第です。
本日は久しぶりに電車に乗り、アンチエイジングの測定器械の説明会参加のために東京に出かけてきました。
さて、久しぶりの投稿です。

当クリニックでは、アンチエイジングを不妊治療にも積極的に取り入れています。
肥満、高血糖は、妊娠率を下げ、流産率を上昇させます。
BMI:体重(m)÷身長(kg)の2乗:が25以上の方には、糖負荷試験を積極的におこない、ダイエットをお勧めしています。

ダイエットには様々なやり方がありますが、当クリニックでは、糖質制限食(低炭水化物食)を推奨しています。糖質制限食の良いところは、無理なカロリー制限をしないで良いことです。炭水化物を制限すれば量は無理な制限は不要なのですね。「簡単に言えば、パン、麺類、ご飯を1/3にして下さい。」とアドバイスしています。しかし、最近でもいまだに、糖質制限食(低炭水化物食)の危険性を強調している意見もみられます。
まだデータが十分ではないとの意見なのですが、実際には、アメリカの糖尿病学会の指針でも、「低炭水化物食は、体重減少に有効」とうたっているのです。

日本でのデータは確かにほとんど無かったのですが、2月13日付けのメディカルトリビューンで、1面に「糖質制限食の安全性にエビデンス」(京都女子大学:中村保幸氏)との記事が載っていました。
それによると、緩やかな糖質制限食(低炭水化物食)は、女性においては、心血管死や総死亡の低下を認めた、との報告のようです。男性では、外食や喫煙などもあり、明確な結果は得られなかったようです。
この報告では、マイルドな糖質制限食は29年間の長期的にも安全であり、健康、長寿に有効であることを日本で始めて明確にした報告かもしれません。
これを励みに、当クリニックでも、糖質制限食をもっと積極的に広めていこうと思います。
当クリニックでは、管理栄養士さんが栄養相談をおこなっておりますので、皆さんも是非ご利用下さい。

私も現在、83kgの壁に当たっては跳ね返されておりますが、何とか80kgを切りたいと思います。(過去の栄光よ再び!!!)
皆さん、ご一緒にがんばっていきましょう。(タカハシは何をがんばっているのだ??)