2014年7月29日火曜日

アシストワン(TWCオリジナルサプリメント)の体裁が変わりました。

当クリニックで使用している、マルチビタミン&ミネラルの「アシストワン」の体裁が変わりました。
 すでに院内では、新しい体裁の箱形のアシストワンをお渡ししています。パンフレットも変わりましたのでご紹介致します。
 新しい体裁のアシストワンに切り替わりましたので、これをご紹介することと、併せて、ブログではその特徴についてもご説明致します。
 アシストワンの特徴は、高濃度のマルチビタミンと、多数の抗酸化物質が含まれていることです。
主なものを上げると、1日量の20カプセル(1日2~3回に分割内服)で、ビタミンC:2,000mg、ビタミンD:50㎍(2,000IU) 、コエンザイムQ10:100mg、Lカルニチン:1,000mg、αリポ酸:200mgが摂取可能です。
 一方、日本の市販サプリメントは、「不足分を補う」程度の量の商品であり、不妊「治療」に用いるには全く足らない量なのです。コンビニなどで販売しているものと比較してみて下さい。アシストワンの5分の1程度しか含まれていない物が多いと思います。
 海外の文献では、不妊治療にはかなり高濃度のビタミンを使用している報告もありますが、さすがに日本人には多すぎると考えられる報告も多々あります。アシストワンは、日本での厚労省で許容される上限に設定してあります。
 アシストワン(1日20カプセル)は、「治療」に用いる量だとご理解下さい。したがって、何年もこの量を漫然ととるサプリではありません。(もし一般的な健康に使用する場合には、1日10カプセルで十分です)
 
 女性にも、男性にも使用できるように作っていますが、卵子の成熟には80日、精子の成熟には70日はかかるので、体外受精前、2~3ヶ月前からの服用が理想でしょう。(ただし、サプリメントで必ず効果が得られるとの保証はないので、例えば高齢の方は、アシストワンの内服が短期間でも、待たずに採卵を進めた方が良いと思います。

皆さんに、お知らせしたい事が2つあります。
1)近々、アシストワンを、インターネット販売で購入できるようになります。
 販売元は、(有)千葉アンチエイジング研究所です。おそらく8月中にはネット販売開始となると思いますので、開始したようならば皆さんにもご連絡致します。当クリニックに通院されていない方で、アシストワンにご興味のある方は、もうすぐご紹介できると思いますので、しばしお待ち下さい。

2)ネット販売が開始されることを機会に、サプリメントの不妊治療での成績などをアップデートでお知らせできるように、ブログやホームページも、更新致します。
こちらも是非、ご覧下さりますよう、お願い申し上げます。


2014年7月27日日曜日

転機を迎えているART? 生殖バイオロジー東京シンポジウム参加報告

本日、生殖バイオロジー東京シンポジウムに参加してきました。
代表の鈴木先生は挨拶文で、ARTが大きな転機を迎えていると述べられていました。
これにはいくつもの見方があると思いますが、
一つには、安易に体外受精をおこなわれすぎている側面がある一方で、生殖医療として「体外受精さえすれば良いのか?」という問題提起です。
今日本では、年間およそ100万人の赤ちゃんが生まれていますが、年間3.2万のお子さんが体外受精などの生殖補助医療で生まれています。32人にひとりが体外受精などの生殖補助医療で生まれており、累計で30万人以上に達しています。かなり多くの赤ちゃんが体外受精で出生していますが、体外受精での出生が理想ではなく、医療としては、不妊で悩む夫婦を少なくするために、体外受精だけではなく、それ以外の面での診療も考える必要があるということなのです。
実際には、体外受精はこの35年間にめざましい発展を遂げてきましたが、技術的にはほぼ到達点に達してきているとの見方が増えています。しかし、体外受精の限界も明確になっており、特に年齢は最も大きな問題なのです。体外受精でも、35歳を超えると急速に妊娠率は低下し、40歳以上では出生率は10%を切り、47歳での出生率は0.01%(つまり1万回に1回)になるのです。
豊橋のA先生も、「一般不妊治療も、あらかじめ期間を設定して、短期勝負で行うべきである」とおっしゃっておりました。

これらのご意見は、私のクリニックでの方針と一致するものと思います。
当クリニックでは、現在
体外受精をすぐに考えている方と、半年以内には体外受精を考えている方の診察を受け入れていますが、これは積極的に妊娠を考えて、急いでいる方を優先にしているからなのです。
一方、体外受精のみをお勧めしているのではなく、体外受精も含めて、少しでも早く、少しでも妊娠する可能性が高くなるように、「体外受精か、一般不妊治療か?」ではなく、「体外受精も、一般不妊治療も」という方針で取り組んでいます。
したがって、当クリニックでは、子宮鏡手術や卵管鏡手術、減量などの生活習慣病、サプリメントの積極的活用も併せて、総合的に妊娠の可能性を追求しています。
今回は、高橋ウイメンズクリニックでの診療方針を再確認できたシンポジウムでした。
具体的な各論は、また次の機会にご報告致します。

2014年7月21日月曜日

なんと、Best Doctors in Japanの認定証が届きました!

先日、予期せぬ、驚きの知らせがありました。

ベストドクターズ社から、Best Doctors in Japanの認定証が数日前に届いたのです。
テレビでアメリカの有名医師のインタビューなどでしばしば映っていたので、アメリカにはBest Doctorsの制度があることは知っていたのですが、日本でもこの認定をおこなっていたのですね。

私は今回認定証が届いて、初めて日本でもおこなっていたことを知りました。
 
 
 

調べてみると、これは医師同士でその道の専門家の評価をしており、「もし自身や大切な人が、自らの分野・関連分野の治療を必要とする際、自分以外の誰に治療を委ねるか」という視点で、他の科の医師ではなく、同じ婦人科医師からの評価がなされているようです。

今回のことは、私自身にはとても励みになりました。どなたが指示して下さったかは判らないのですが、認めて下さった専門家の先生方、ありがとうございます。
ただ、今おこなっていることは私1人ではできるものではありません。特に不妊症・体外受精は、エンブリオロジスト、ナース、受付、その他のスタッフ様々な協力がなければおこなうことができないのです。また、生水教授、市川教授、藤田医師、武藤医師、川嶋医師、のご助力がなければ、現在の診療スタイルはなりたってはいません。
まだまだ改善点は多いのですが、ベストドクターズ認定を機会に、また一段上の診療を提供できるようにがんばっていきたいと思います。
皆さんのご理解とご協力もよろしくお願い申し上げます。
高橋ウイメンズクリニック
高橋敬一

参考までに)
2014年7月現在、日本では約6,100名の医師がデータベースに入力されているそうですが、認定医のリストは公表されていないようです。過去に認定された医師のインタビューをみると、天皇陛下の心臓を手術した有名なA先生や、各大学の教授、大病院の院長、部長など、そうそうたるメンバーです。皆さんもベストドクターズ社のホームページも参考にしてみて下さい。名簿が公表されていない理由は、(株)法研が、依頼により、そのベストドクターを紹介する業務をおこなって、その利益で運営されている理由のようです、したがって、認定された医師からの料金などはなく、各医師からは全く独立した組織のようです。
 

2014年7月15日火曜日

前医で顕微授精出産、今回2回目の人工授精で妊娠

前医で原因不明不妊で、顕微授精を受け、4回目の胚移植で妊娠出産された方が第2子を望んでいらっしゃいました。
30代前半の方でしたが、卵管造影検査、子宮鏡などをうけ、御本人も前回と同様に顕微授精を希望されて、次周期には体外受精(顕微授精)を予定していました。
前回も原因不明とのことで、確かに、精子の状態はばらつき、悪いときもありました。
次周期には体外受精との予定で、2回目の人工授精をされ、そして妊娠されたのです。
御本人も驚き喜んでいらっしゃいました。

このような事は決して珍しいものではありませんが、皆さんへの助言としては、
①体外受精を開始したらば、「体外受精以外の方法は意味が無い」とは考えないで下さい。不妊治療は総合的に考えていきましょう。
②体外受精予定でも、卵管造影検査などの一般不妊治療の検査も、しっかりと受けておいて下さい。
③精子はばらつくのです。1~2回の検査で、精子の状態を決めつける事無く、卵管が通っている場合など、一般不妊治療での妊娠の可能性がある場合には、併用してみて下さい。



AMH<0.1での妊娠例(両側チョコレート嚢腫手術後)

今回、AMH<0.1での幸運な妊娠がありましたので、ご紹介致します。
30代後半の方で、両側のチョコレート嚢腫の手術歴がありました。来院時すでにAMH<0.1、FSH:22の重度の卵巣機能低下状態であり、すぐに体外受精を開始致しました。
①自然周期で1個採卵するも、受精せずキャンセル。卵子の状態は不良。
②自然周期で、採卵時排卵済みでキャンセル
③クロミフェン周期で、採卵時排卵済みでAIHに変更
④自然周期で1個採卵するも受精せずキャンセル。
⑤HMG注射で排卵誘発し、1個採卵し、受精。胚移植し妊娠するも初期流産。
⑥HMG注射で排卵誘発し、3個採卵し、受精卵無くキャンセル。
⑦アロマターゼ阻害剤内服で1個採卵し、受精、胚移植し、妊娠。
この方は、幸運にも胚移植できた場合には2回とも妊娠しています。しかし、やはり卵胞が少ないと、採卵できない、受精しない、などもあり、胚移植までいけないキャンセルの場合も多くなるのです。

今回の参考点としては、両側のチョコレート嚢腫を手術する場合には、卵巣機能が極端に低下する可能性があることを皆さんにはご理解頂く必要があります。
チョコレート嚢腫を手術すると、一般的には妊娠率が上昇します。したがって手術の有用性を否定するものではありません。しかし、特に両側の卵巣の手術をおこなう場合には、卵巣機能がとても低下して、その後の体外受精でも、卵子がなかなかとれない場合もしばしばおこるのです。
したがって、チョコレート嚢腫の手術はできるだけ片方にしておく、体外受精も見据えた中期的な計画も考慮する、応急処置ではありますが卵巣嚢腫内容除去術なども考慮する、なども考えても良いと思います。

この方の今後が順調に経過することをお祈りするのみです。

卵管水腫切除後の妊娠(前2施設で6回の胚移植の反復不成功後)

前2施設で、4回の採卵、6回の胚移植(胚盤胞移植3回含む)で、妊娠せず、卵管水腫切除後の当クリニック2回目の移植で妊娠卒業された方を紹介致します。
30歳頃の方で、子宮外妊娠で片方の卵管を切除していました。その後、卵管造影検査はしておらず、前2施設で、4回の採卵と6回の胚移植を受けるも妊娠せず、反復不成功として当クリニック来院。
卵管造影検査をしたところ、卵管水腫を認めました。これは超音波検査でも認める重症の卵管水腫と判断し、経過を考慮して、御本人と相談し、他施設で卵管水腫切除をおこないました。
その後、当クリニックで初回の採卵。1個胚移植し、3個胚盤胞凍結。その後、初回の凍結胚盤胞移植で妊娠、卒業されました。
この方の場合、皆さんの参考になると思われる点があります。
1)体外受精であっても、卵管造影検査は受けておくことをお勧め致します。特に今回のように、反復不成功の場合には、是非とも受けておきたい検査だと強くお勧め致します。
2)超音波検査で判るような卵管水腫は重症です。重症の卵管水腫は、体外受精の成績が1/2~1/3に低下します。したがって、超音波検査で判るような卵管水腫は手術も検討された方が良いでしょう。
やはり、体外受精を受けるにしても、1回1回高価な治療法です。単に体外受精を受けるのではなく、しっかりと全体の状態を検査いして、条件を整えて受けることをお勧め致します。


「How are doing?」海外からの手紙(奇跡の子の過程)

How are doing? I assume you are busy as always. It has been  「??」  years since I have got my baby girl. We celebrated her 「??」  birth day last Sunday. I have attached her recent picture.

This week I visited a gynaecologist to see if we can have a second baby, Dr did not believe my healthy baby was conceived with a such condition, she said it was a miracle!.

Anyway, she asked me to contact you to inquire about your protocol that you used with me, for instance, drugs name, how many times a day, and any extra information that would help my gynaecologist here.

海外から、メールが届きました。私が依然としてちょこまか動き回っていることを確信して書いてきていますね。しかし、そのお嬢ちゃんは、生まれるまでに、少しずつの良い結果が重なり、結果として奇跡的な、とてもキュートなお嬢ちゃんが生まれてきたのです。オーストラリアの産婦人科医も、ミラクルと医って下さったのですね。写真を皆さんにお見せできないのが非常に残念です。福岡のアイドルのHKちゃんと並べるほどのかわいさなのです。
皆さんががんばって誕生したお子さんを見ると、私もうれしくなりまたがんばれるのですね。

数年前に、アフリカから来日し、滞在していた30歳前半の夫婦が当クリニックを訪れたときの、AMHは1.5pM、今の値ではおよそ0.2ngでしょう。FSHも28.5であり、残存卵子数は47~50歳程度と推測されました。
子宮鏡では1cmの粘膜下筋腫を認め、その上、その周期ではday19日になっても、子宮内膜は5mmで小さな卵胞も全く認めませんでした。ほぼ閉経に近い状態と判断し、この周期はプラノバールで一旦リセットし、次周期の卵胞の発育を期待しました。
その生理周期、day2で卵胞が18×18mmの卵胞を認めました。子宮内膜は生理中ですから3mmです。E2:177, LH;3.79 P:0.87 生理周期にしてはそれなりの卵胞でした。今後卵胞ができる保証はないと判断し、HMG150単位とセトロタイドを注射し、排卵を抑えつつ、day5(つまり月経中)の採卵となりました。
1個採卵し、精子の状態により、顕微授精で受精。子宮内腔には粘膜下筋腫があり、子宮内膜は生理直後で薄いままなので、新鮮胚移植はせずに、day3胚(8cell)で凍結保存。
採卵直後の生理周期には、44日経っても子宮内膜は3mm未満で、卵胞も認めず、ほぼ閉経状態でした。この周期もプラノバールを使用して生理をおこし、
その生理直後の時期に、子宮鏡下粘膜下筋腫摘出術を当クリニックでおこないました。
術後1週間後より、再度プラノバールを使用し、生理をおこしました。
しかし、その翌周期にもday15で、内膜<3mm、卵胞見えません。このときよりホルモン補充を開始し、子宮内膜が7mmとなったところで、day3凍結胚を移植し、妊娠され、無事卒業となったのです。
この間6ヶ月、卵胞の確認は、採卵できたその1回のみでした。

この過程にはいくつかの対策法が凝集されています。
①卵巣機能が非常に低下している場合には、ピルやエストロゲンなどの女性ホルモンを使用することで、単発の卵胞が発育することがあるのです。カウフマン療法がとられることもあります。
②非常に卵巣機能が低下している場合には、生理の時にすでに成熟間近の卵胞ができることはしばしばあります。やっとできた卵胞は、時期が通常とはずれていても、採卵する価値があることが証明されましたね。
③この卵胞は排卵しても、子宮内膜は生理直後で薄いので、通常は着床しません。このようなときには、無理に胚移植しないで凍結保存し、後日しっかりと子宮内膜を作ってから戻すことが有効であることが証明されました。
④子宮内膜は7mmあれば、有効である事を証明する一例です。
⑤凍結胚は、初期胚でしたが、初期胚の凍結/融解も有効な一手段であると証明されました。胚盤胞移植よりは着床率は低いと思いますが、胚盤胞まで成長するのは受精卵の半分以下です。キャンセル率が高くなるよりは、初期胚移植を積極的に使用する方法も、有効な選択肢の一つを言えるでしょう。
当クリニックの技術の総力を集めておこなえた、心に残る患者さんでした。、

2014年7月13日日曜日

体外受精前の人工授精の妊娠例(あわせて、妊娠の判断の難しさ)

今回、体外受精前の人工授精で妊娠された方がいらっしゃいました。これ自体は珍しくはないのですが、いくつかの留意したい点がありますので、ご紹介致します。

第一に、この方は、この基礎体温表(出血が始まったときにはいつもと同じように基礎体温の低下もしつつあった)と、予定通りに生理(実際には妊娠初期の切迫流産の出血と判断されますが、、)が来たので、御本人も妊娠とは思っていませんでした。
しかし、この基礎体温表で、この方は妊娠されていたのです。以前にもこのブログで同じような低温期の妊娠例(2013年12月15日)をご紹介しました。その状況もご参考にしてみて下さい。この方も、E2=764、黄体ホルモン:2.26、HCG:2357であり、超音波検査で胎嚢が確認されました。
この方のように、基礎体温表や、E2や黄体ホルモンでは、妊娠の判断がつかないことも時々あるのです。子宮外妊娠でもしばしばこのような基礎体温表は見られます。
なかなか妊娠の判断が難しいこともしばしばあるのですね。医療の現場では、一つの検査ではなかなか判断できないことが、日常的におこります。この方も、超音波検査でおかしいと思い、HCG検査をおこなうことで妊娠が確認されました。通常はこの基礎体温表やE2,Pでは、HCG検査はおこなわないのです。
このような場合では、御本人もいつもの生理が来ていると考えていますし、基礎体温も下がっていると判断して、排卵誘発剤を使用したり、子宮卵管造影検査をおこなってしまうようなこともあり得るのですね。
人の体の状態は本当に様々なことがおこっていて、医療現場では、理論通り、教科書通りにいかないことが、日常的におこっているのです。



第二に、この方は人工授精で妊娠されましたが、原液精子は0.5ml、250万/ml、運動率12%、総運動精子数15万でした。人工授精の妊娠限界は、実際には設定できないのです。全く精子がいなければ当クリニックでも人工授精はおこないませんが、顕微授精が必要とされるレベルでも、人工授精で妊娠することもあるのです。
人間の体でおこっていることは、明確な線を引くことができないのです。不妊症治療では、可能性がある場合には、最終的な妊娠の可能性を少しでも高くするために、体外受精(顕微授精)の合間に人工授精、タイミングをとることも無駄ではないのです。
治療法をご自身で限定してしまわずに、総合的に治療を考える事も大切なことでしょう。

2014年7月6日日曜日

産婦人科内視鏡学会、技術認定医(子宮鏡下手術)、更新認定を受けて

日本産科婦人科内視鏡学会、技術認定医の更新が認められ、7月1日付けで、技術医認定証が届きました。
7月6日での産科婦人科内視鏡学会ホームページで確認すると、千葉県では技術医認定医は11名です。個人クリニックの技術認定医は当クリニックのみで、他の10名の先生方は、名だたる病院の先生方です。産科婦人科内視鏡学会のホームページに公開されていますので皆さんも訪れてみて下さい。
内視鏡学会の認定には、腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術の2種類があります。当クリニックでは腹腔鏡下手術はおこなっておらず、子宮鏡下手術の技術認定です。
実は、子宮鏡下手術の認定の審査には、子宮内膜ポリープ手術は含まれません。粘膜下筋腫摘出術、子宮中隔切除術、子宮内腔癒着剥離術などの比較的難しい手術の多数の経験が必要で、子宮鏡下手術数を満たすこと自体、結構大変です。それ以外にも、学会発表・論文・論文査読、などの実績が必要なのです。
当クリニックでは、昨年100例以上の日帰りの子宮鏡下手術をおこなっております。不妊症の方の子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫などはかなり多いのですね。皆さんもなかなか妊娠しない場合には不妊症検査として子宮鏡検査も是非受けてみて下さい。超音波検査だけでは判らない場合もしばしばあるのです。また、卵管鏡下卵管形成術もおこなっています。この手術をおこなっている施設も千葉県では数少ない(たぶん当クリニックを入れて1~2カ所?)と思います。
千葉県での当クリニックの任務もしっかりと認識して、小さなクリニックではありますが、今後も技術認定医の信頼を汚さぬように、皆さんに不妊症治療としての内視鏡手術を提供していきたいと思います。

 


2014年7月4日金曜日

AMH<0.1、40歳、初回AIH妊娠例

先日、AMH<0.1で、FSH13と卵巣機能が低下していた40歳の方が、初回の人工授精で妊娠され卒業されました。この方は幸運であったと思います。しかし、いつもの繰り返しになりますが、一つの教訓があります。
「AMH<0.1の場合には、体外受精しかない」と決めつけていませんか。
確かに40歳で、AMH<0.1ならば、当クリニックでも体外受精をすぐに考えるようにお話ししています。しかし、AMHは残っている卵子の数、不妊治療に残されている時間を示しているのであり、妊娠しにくさを表しているのではありません。
当クリニック通院中の方にはしばしばお話ししているのですが、卵管が通っており、精子が少なくてもある程度いるならば、自然妊娠や人工授精での妊娠の可能性もあるのです。
体外受精のみに治療を限ることで、ご自分で妊娠の可能性を狭めていませんか?
今回の例も、治療の中心は体外受精ではあったのですが、可能性があるならば、普段からの性交渉、体外受精の合間の人工授精、なども無駄だと決めつけずにおこなうことの有効性を示していると思います。

AMH<0.1で妊娠し、凍結胚も残せた例

36歳でAMH<0.1の方が、体外受精2回目で妊娠し卒業、胚盤胞も1個凍結できました。
この方は過去にAIHを1回のみうけていました。当クリニックで、AMH<0.1、FSH16と卵巣機能の低下を認めたので、早期に体外受精を決断され、実行されました。
ビタミンCとD、DHEAがかなり低かったので、アシストワンとDHEAを開始し、1回目はクロミフェン-HMGで誘発し4個採卵(1個未熟、1個変性卵)し、1個胚移植するも妊娠せず。
アシストワン、DHEAを継続しつつ、2回目はクロミフェンのみでの誘発。3個採卵でき3個受精、1個胚移植し妊娠、卒業。1個は胚盤胞凍結。
いくつかの良かった思われる点があります。
1)まずは、AMH<0.1をみて、早期の体外受精の決断をされたこと。AMHは妊娠しにくいことを示しているのではなく、残されている卵子数を示しています。この方は比較的年齢が若かったので、卵子さえとれれば、良い結果が期待できます。
2)AMH<0.1の場合でも、クロミフェンで今回のように3個採卵できることもありますね。HMGの使用の有無での採卵数に大きな差はありませんでした。卵巣機能が低下している場合には、あまり強い誘発は必要ではないのでしょう。当クリニックでは、超音波検査で卵胞数を確認しながら判断しています。
3)AMH<0.1の場合でも、今回のように、胚盤胞を凍結保存することがあり得るのですね。1回目よりも2回目の方が胚の質が良くなっています。これが偶然なのかどうかは残念ながら断定はできませんが、アシストワンやDHEAは、2回目の採卵時には2ヶ月以上使用していましたので、卵子の質の向上には、その影響もあったとの印象を持っています。1回目の体外受精の時にはサプリメント使用開始直後でした。ただし、サプリメントが効果あるかどうかは不明である一方、年齢は最も重要な要因ですので、サプリメントの効果を待って、体外受精を遅らせることは必ずしも賢明な選択とは言えません。今回のように並行していく方が良いでしょう。

2014年7月3日木曜日

6月の妊娠数と、2014年上半期の途中経過

梅雨の時期、皆様体調の変化はございませんか。
様々な小さな用事が重なり、10日ぶりの投稿となりました。

6月の妊娠数をご報告致します。今年ももう半分が過ぎました。今年の妊娠実績の途中経過も併せてご報告致します。

2014年6月の妊娠数の報告をいたします。

1)6月の妊娠数 85例       今年の累積妊娠数 446例   全累積妊娠数 10,766例

 ART妊娠    62例    (内訳:  IVF 26例  ICSI 17例     凍結胚移植 19例) 

 AIH妊娠    12例     

その他一般不妊治療   11例  (タイミング、クロミフェンなど) 

月間妊娠数85例は、今年の最多数です。2位が3月ですので、年末年始やGWなどのない月にはやはり多いです。AIVFとICSI共に今年最多数で、新鮮胚移植周期の妊娠数が多かった一方で、凍結胚移植妊娠数は少ない月でした。
AIH、一般不妊治療は同等でした。
今年のペースは900前後で、従来のトップ3に入るペースです。今年は8月も休まずに診療しますので、7~9月の成績も期待したいところです。
スタッフの態勢もさらに整ってきており、今後さらに皆様のご要望にお応えしたいと思います。
   
 
 
 

エンブリオスコープという新型培養器も活用始めました。この培養器では、培養液もワンステップ培養液といい、5日間交換を必要としない培養液を使用しているのです。こうすることで、培養器を開ける回数を少なくすることで、より質の良い胚がえられる事を期待しているのです。

皆さんの妊娠は私を元気づけて下さいます。さあ、またがんばっていきましょう。