2017年4月24日月曜日

7回胚移植不成功後、卵管水腫切除後1回目の胚移植で妊娠した例。

37才、前医で2回採卵、7回の胚移植したものの、妊娠しなかった方が、重症の卵管水腫を切除後、当クリニックでの初回の凍結胚移植で妊娠、卒業した例をご報告します。

この方は、子宮外妊娠で片側の卵管を切除していました。反対側卵管は癒着しているとのお話でした。すでに2回の採卵、7回の胚移植を受けていましたが、妊娠反応は出ず、反復不成功例でした。
当クリニックでは、再評価をおこない、子宮鏡と卵管造影検査をおこない、
その結果、残存卵管は、重症の卵管水腫であり、大量の卵管貯留液が認められました。
重症の卵管水腫は、体外受精の妊娠率は、1/2~1/3に低下し、流産率は2倍になるとされます。

ご本人には、
1)腹腔鏡で卵管水腫切除
2)このまま、採卵。ただし、卵管水腫貯留液を一時的に吸引して、すぐ胚移植。
3)卵管水腫をアルコール固定

の選択肢を示しました。

ご本人は、他病院での手術による卵管水腫の切除を選択しました。
卵管水腫の手術を待つ間に、採卵をして、4個の胚を保存。

卵管水腫切除後、凍結胚を融解し、1個胚盤胞を移植。
そして、初回の胚移植で妊娠されて、卒業となりました。

この方での、参考としては、
1)体外受精でも、卵管造影検査を受けておくことは有用である。とくに、反復不成功例や、卵管に問題がありそうな場合には、是非受ける方がよいでしょう。
2)重症の卵管水腫がある場合には、卵管水腫の切除などを考慮する必要がある

最近は、着床障害が注目されていますが、
子宮鏡での粘膜下筋腫、内膜ポリープ、子宮内腔癒着、などの有無を確認するのと、
卵管造影検査で、卵管水腫がないことを確認することが、重要な着床障害の検査なのですね。




2017年4月23日日曜日

新人歓迎会開催。よりよいクリニックに向けて。肉食は良いのです。

昨日、新人歓迎会が開催されました。
今年も職員のリクエストに応じての焼き肉です。
糖質制限の観点からも、肉食は良いのですね。
みんなも肉を食べて、また仕事をがんばっていきましょう!
今年は新人さんが6人もいて、新しい風がたくさん入ってきました。
私の気持ちも新鮮になったような心持ちです。
今年度は、より質の高い診療を目指したいと思います。
また、アンチエイジングをより積極的に応用したいと思います。
ケトン体食を皆さんにもお勧めしたいと思います。(しつこいですが)肉食は良いのですよ。
GWには皆さんにも様々な提案をお示しできると思います。
肉を食べてまたがんばっていくぞ~~!

2017年4月22日土曜日

43才、ICSIで2回不成功後のAIH妊娠例

43才。ICSIで2回不成功であった方が、AIH妊娠されて卒業されました。
体外受精やICSIをおこなっていても、その合間には、AIHをおこなうことが、無駄ではないという1例ですので、ご紹介致します。

42才で当クリニック来院され、卵管造影検査と子宮鏡をおこないました。
AMHは0.69と、卵巣機能は年齢相応に低下していました。
精子はばらつきが大きく、2回の採卵では、ICSIを選択しました。
1回目4個採卵、2回目3個採卵。胚移植したものの妊娠せず。
また、採卵・胚移植の合間には、AIHも併行しておこなっていました。
2回目のICSI施行後、
6回目のAIHで妊娠し、卒業されました。

この例では、
1)40才以上でも、AIHも有効である。
2)ICSIを必要とする症例でも、AIHは無駄ではなく、有効なことがある。
3)40才以上方、ARTの方にも、卵管造影検査をおこなう意義はある。

少しでも妊娠する可能性をあげるためには、ARTであっても、それのみに治療を限定せずに、広く治療の可能性を探ることも縦横だと思います。

2017年4月20日木曜日

AMH<0.1、39才、7回目のIVF挑戦での妊娠例

39才、7回目の採卵、凍結胚移植での妊娠、卒業例がありましたのでご紹介致します。

37才で来院。
来院時の子宮鏡で、1.5cmの大きな子宮内膜ポリープと、2cmのチョコレート嚢腫を認めました。
来院時のAMH=0.51と低下していました。
ご本人の希望もあり、AIH3回施行の後に、体外受精も開始しました。

ART
1回目) 2個採卵、ICSI 1個受精し胚移植。
2回目)  3個採卵、IVFで2個受精し、1個胚移植。

AMH<0.1に低下。
その後、左の5cmの卵巣膿瘍(のうよう)(おそらくチョコレート嚢腫に感染し、膿がたまった可能性が大きい。)で、他施設に入院し、左卵巣を摘出。

ART
3回目)  採卵できず終了。
4回目) 2個採卵するも、変性卵とGV卵で終了。
5回目) 1個採卵、IVFで受精し胚移植。
6回目) 1個採卵、IVFで3前核の異常胚で移植できず。
7回目)  2個採卵、IVFで1個胚盤胞凍結。 その後凍結融解胚移植で妊娠、卒業。

AMH<0.1となり、その後、左の卵巣嚢腫を切除し、AMH<0.1に低下確認後、1年半での体外受精で妊娠された方です。

いくつかの参考点があります。
1)子宮鏡でしっかりと内膜ポリープを確認・処置しましょう。はっきりしている着床障害とは、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫、重症の卵管水腫の存在、などなのです。

2)AMH=0.51がAMH<0.1になる期間は、10ヶ月でした。個人差はありますが、AMHが1未満だと、1年で感度以下になる可能性もありそうですね。

3)AMH<0.1でも、その後2年程度は、不妊治療は可能性ある。ただし、この例では、DHEAや、アシストワンなどのマルチビタミンなどを使用していました。

4)チョコレート嚢腫があると、今回のように、何の原因もなく、感染、膿瘍が出来ることがある。採卵などで、チョコレート嚢腫を穿刺すると、しばしば、採卵後に膿瘍が出来ることがあります。チョコレート嚢腫があるときの穿刺では、抗生物質を強力に使用した方がよいでしょう。

この方は、1~2個での挑戦が続き、7回の挑戦で、3回は胚移植出来ませんでした。1回胚移植出来なくても、数回挑戦してみる価値はあるのですね。
この方は幸運にも妊娠されましたが、今後良い経過である事を祈るばかりです。




2017年4月19日水曜日

AIHでどこまで妊娠できる?

先日、39才で、かなり精子が不良な方がAIHで妊娠されました。
この方は、当クリニックでのAIHは初回の方です。

その精子の状態は、
精液量    0.5ml
精子濃度  4260万/ml
運動率    10.8%     と、かなり不良でした。
この精子の状態は、ARTであれば、間違いなく顕微授精(ICSI)が必要です。

処理後の運動精子数、85万(回収率37%)をAIHしました。

当クリニックのデータでは、運動精子数が500万を下回ると、AIHでの妊娠はかなり厳しくなります。

しかし、この方は妊娠され、無事に卒業されたのです。

実際の診療では、AIHでの限界というのは、明確には線引きは出来ません。
今回のように、顕微授精が必要なレベルでも、AIHで妊娠することがあるのです。

したがって、当クリニックでは、全く運動精子がいない場合を除いて、少しでも運動精子がいればAIHをおこなっています。

皆さんも、「重症の男性不妊ではAIHを無駄だ」とは決めつけずに、可能性を少しでもあげるように対応しては如何でしょうか。

なお、この方は、前医で右卵管が閉塞しているとの診断でしたが、当クリニックの再検査で両側の開通が認められました。しばしば繰り返して皆さんにお伝えしているのですが、子宮卵管造影検査も、1回の検査を絶対視しないで、再検査を考えることも重要ですね。




2017年4月18日火曜日

皆さん、じっくりとお話をされたいのですね。4月妊娠希望セミナー

4月の妊娠希望セミナーを開催しました。
今回もたくさんのご夫婦が参加されました。
当クリニックの新入職員も参加し、満席のセミナーでした。
私のセミナーを聞くのは、新人教育の一環でして、パワハラやいじめではありませんよ。
ましてや、決して罰則ではありません。
新入職員の皆さんも、一緒に勉強致しましょう!




















セミナーでは、
1)不妊治療での勘違い、
2)妊娠の成り立ち
3)一般不妊治療
4)ART(体外受精など)
について、説明しています。
不妊治療での、全体像を理解して頂くことが大切なのですね。
具体的な不妊治療は、おのおの異なりますので、それは検査を受けてからの個別診察、相談が必要なのです。
特にご主人には、不妊治療はイメージしにくいので、まずはセミナーで全体像を理解して頂けると、その後の治療の意味を理解して頂きやすくなるのです。
是非夫婦でご参加頂けると治療を進めやすくなるのではないでしょうか。
次回、5月の妊娠希望セミナーは、5月20日(土)16時~です。

セミナー修了後に、個別の相談の時間を設けているのですが、今回、複数のカップルの方から、「今回じっくりと相談できて良かったです。」との言葉を頂きました。主に、他施設で治療を受けているカップルの方でした。
実際には診察ではなくお話だけの時間であり、的確な「治療」をすぐに言えるものではありません。また、ひと組10~15分程度の相談なのですが、皆さん、ゆっくりと話をすることがなかなか出来ていないのですね。相談後には、比較的安堵してお帰りになって頂いたように思います。
私のクリニックでも、通常の診察では、皆さんをお待たせしないようにスピードを上げて診察していますので、通院中の方には、同じような思いをさせているかもしれない、と少し反省です。
なかなか、難しい問題ですね。
しかし、何とか待ち時間の短縮と、診察時のお話する時間の確保の問題には、継続して取り組むことが必要ですね。
がんばらねば~~!












2017年4月9日日曜日

糖質制限食・ケトン体の認知の時代

当クリニックでは、卵子の質を向上させ、妊娠率を上げるために、糖尿病、境界型糖尿病(糖尿病の一歩手前)、インスリン抵抗性(糖尿病の2歩手前)、肥満(BMI 25以上)の方には、栄養相談をお勧めしています。
当クリニックの栄養相談は、パン・麺類・米・イモなどの炭水化物を制限する糖質制限食をお勧めしています。炭水化物は食べると糖質と同じなのです。一方、タンパク質、良質の油を摂取する、ことはお勧めしています。肉や魚などのタンパク質はどんどん摂って頂くのです。コレステロールも、細胞膜の原料であり必要で重要なのです。例えば、卵は1日2~3個食べても結構です。卵は糖質0なのです。また肉も、鶏のササミが最良なのではなく、脂身も必要なのです。
しかし、最近まで、 糖質制限に対する風当たりは凄まじいものがありました。
日本糖尿病学会からも、糖質制限がとても危険であるとの様々な意見がありました。
一方、糖質制限の有効性を訴え続ける医師(江部先生・宗田先生など)の奮闘により、最近では、コンビニでも糖質制限のパンなども発売され、本質は糖質制限であるライザップの強烈なインパクトもあり、糖質制限はかなり広く認知されつつあります。千葉県では、市原の宗田マタニティクリニックの宗田哲男先生が、糖質制限・ケトン体食の妊婦さんへの有効性の情報を世界に先駆けて発信しています。
先日、渡邊 昌先生の「医と食」という雑誌に、糖質制限の重鎮である江部康二先生と、日本糖尿病学会理事長で、東京大学医学部教授の門脇 孝先生の対談が載っていました。



























 その中で、東大病院でも、今では糖質40%の食事も処方しており、オリーブオイルなどもうまく使う必要がある、と、東大病院でも糖質制限食を採用しているとのお話でした。
また、インスリンを積極的に使用して、厳密に血糖をコントロール使用とすると、むしろ死亡率が上昇するので、高齢者にはインスリンによる厳密なコントロールはせずに、緩やかにするようになったとのことが再度話題になっていました。インスリンを使っていれば安心、ではないのですね。
また、ケトン体はむしろ心臓の保護に作用することがわかってきているとのことです。
今までとは、糖尿病、血糖、ケトン体への認識が全く異なってきているのです。

 

























今後も、当クリニックでは、糖質制限を推奨していきます。
今月、4月15日(土) 16時~ 妊娠希望セミナーがクリニック内で開催されます。
その中で、私の不妊治療の話の後に、当クリニックの管理栄養士の白井から、糖質制限の講演もあります。
ご興味のある方は是非ご参加下さい。

2017年4月5日水曜日

2017年3月の妊娠数100例越え

 2017年、3月の妊娠数をまとめました。

1月の妊娠数は104例でした。

ART妊娠 80例 (内訳:  新鮮胚移植(IVF 7例/ICSI 5例) 12例
                 凍結胚移植 68例) 

 AIH妊娠 17例     

その他一般不妊治療   7例  (タイミング、クロミフェンなど) 

昨年の2月は妊娠数が少なかったのです、今年3月の104例の妊娠は、3月最多の妊娠数でしたので、好調であったと思います。
現在のところ、昨年を40例ほど上回るペースで妊娠されています。
このペースを維持できれば年間1,200例の妊娠、月間平均100例の妊娠を達成できるのですが、そう甘くはないかもしれませんね。
今後は、数の追求よりも、1人1人の妊娠率をどのように上げていくかを考えていく必要があるでしょう。
新年度が始まり、当クリニックにも新人さんが多く入りました。
新しい風を感じながら、また職員全員でがんばっていきます。

2017年4月3日月曜日

3月の1日妊娠10例の日


3月に妊娠10例が、1日ありました。具体的な日にちはマスクしています。
2月は1日妊娠10例以上が、5回あったのですが、10例達成はやはりそう簡単ではないのを実感します。
4月に入り、新年度が始まりました。
今後、妊娠10例以上を月に2回以上出せるように、がんばっていくぞ~~!
 アンチエイジン技術を、具体的に検討していきます。

 

2017年4月2日日曜日

3月の妊娠希望セミナー開催!卵巣の手術について思うこと。

3月25日(土)に、今年3回目の妊娠希望セミナーを開催致しました。次回は4月15日(土)です。
今回も20名を越える方が参加されました。今回もカップルでのご参加が本当に多くなりました。
講演内容は、妊娠の成り立ちから、不妊症の検査、一般不妊治療、体外受精、と全般にわたっています。

当クリニックは、体外受精もおこなっているのですが、少しでも妊娠の可能性を広げるために、体外受精のみに治療を限定するのではなく、一般不妊治療も同時におこない、その方の妊娠する能力、可能性を極力引き出そうとしています。








                                                                                                                                                                                                                                                                        皆さん!
妊娠の可能性をご自身から狭めないようになさって下さいね。
性交渉は多ければ多いほど、妊娠しやすいのです。
排卵後も性交渉を持つ方が、女性の免疫は妊娠維持しやすくなるのです。
「排卵日以外は無駄よっ!」なんて考えないで下さいね。

毎回、セミナー後には、個別の相談をしています。
今回の相談で、とても気になったのが、両側のチョコレート嚢腫の手術を受けた方です。
詳しい検査結果や経緯はわかりませんが、その手術後に、卵巣の機能がかなり低下してしまったようなのです。
卵巣腫瘍、特に両側のチョコレート嚢腫の手術には、卵巣機能の低下が著しいことが少なくないので、とても慎重に対応することが必要なのです。

1)まず、5cmを越えるようなチョコレート嚢腫は、1%ぐらいの悪性の可能性があるので、MRIや癌腫瘍マーカーなどの検査をして、癌の疑いがある場合には、迷わず卵巣の摘出のも含めて手術を 受ける必要があります。
2)もし片側の大きなチョコレート嚢腫ならば、癌の可能性が少しでも疑われる場合には、手術を受けることも考えて良いでしょう。
3)問題は、両側のチョコレート嚢腫で、ほとんど癌の可能性がない場合には、両側の手術をするかどうかは慎重である必要があります。チョコレート嚢腫の手術は、他の卵巣腫瘍よりも、手術による卵巣機能の低下が大きいのです。
 また、子宮内膜症、チョコレート嚢腫は、手術で完治するものではありません。(両側卵巣全部を切除すれば再発はしませんが、それでは妊娠は考えられません)手術をしても、完治せずに再発が多いのです。子宮内膜症は、薬を使っても、手術しても、再発することの方が多いので、現在では、子宮内膜症は、完全治癒を目指すのではなく、うまく付き合っていくものと考えられています。
 したがって、両側チョコレート嚢腫の場合には、手術をするにしても、重症の片側を切除して、軽症の方は、チョコレート嚢腫の内容液を吸引して、後は妊娠まで、内膜症の薬を使用したり、ピルを使用して悪化しないようにする、などの、卵巣機能を温存する方法を考える必要があるのですね。
または、あまり大きくないならば、妊娠希望まで、早期からピルを使用するなどの対策も重要なのです。
 妊娠の可能性を残すことと、癌の可能性が残ることを、しっかりと判断して、両側のチョコレート嚢腫に対しての手術を考える必要があるのですね。

  次回の妊娠希望セミナーは4月15日(土)です。皆さん、次回のセミナーもご利用下さい。
 また、掲示板でも、皆様からの質問を承っています。掲示板もご利用下さい。
 なお、掲示板での質問を集めたQ&Aの本も、是非皆さんご利用下さい。