2013年10月31日木曜日

AMH<0.1、卵管水腫切除が妊娠に繋がった方(重症の卵管水腫は着床を妨げます、その2)

AMH<0.1 FSH14.4で、卵管水腫切除後、妊娠された41歳の方のご紹介です。
40歳で来院、AMH 0.35、FSH;14.4 両側卵管水腫を認めて体外受精の方針となりました。
腹腔鏡の手術は4ヶ月待ちとのことで、その前に1回目の体外受精で3個採卵、1個胚移植で妊娠せず。
両側卵管切除後、AMH<0.1で、2回目の体外受精  5個採卵、2個胚移植で妊娠されました。
今後順調に進行することを祈るのみです。

この方は、年齢も高く、卵巣機能も低いため、卵管切除の決断は非常に難しい状況でした。したがって、手術待ちの時期にも体外受精に挑戦し、DHEAやビタミンD、ビタミンCも併用しました。

2回目の体外受精時にはAMH<0.1であり、何とか妊娠まで間に合った方です。
前医ではHSGをおこなっていませんでしたが、体外受精の方針でも、HSGをする意義もあることを感じます。

2013年10月29日火曜日

日帰りの精巣精子採取(TESE)により妊娠された2例のご紹介

当クリニックでは、千葉大学医学部泌尿器科の市川智彦教授が毎週火曜日に重症男性不妊の方の診察を受け持って下さっています。お陰様で、クリニック内でスムーズに重症男性不妊の方への治療も行えています。
無精子症の方には、日帰りで精巣精子採取(TESE)をおこなっていますが、精子がいれば無精子症のカップルも妊娠/出産が不可能ではないのです。
最近の2例の方をご紹介致します。

1)来院時、妻は30歳前半、無精子症でしたが、TESEをおこない、精子を10本に分けて保存できました。1回目の採卵で18個採卵、凍結胚移植で妊娠/出産(保存精子は1本使用)。2回目の採卵で採卵周期に妊娠し、出産。今回凍結胚移植で妊娠し、卒業、妊娠継続中。

2)新潟方面より、無精子症で当クリニックを紹介され来院。幸いTESEで精子を10本に分けて保存。初回の体外受精(採卵8個:マイルド法)で妊娠、卒業されました。

TESEでも精子さえいれば複数のお子さんが得られるのですね。
また、遠方よりわざわざ来院される方がいらっしゃると、またがんばろうという気持ちになります。北海道からいらしている方もいらっしゃりますが、このように信頼して頂き、本当にありがたいことです。
皆さんに来院して頂けると、私もまた元気が出ます。最近気づいたのですが、来院される方が少ない日は、とても疲労を感じるのです。
やっぱりワーカーホリックかも?!

2013年10月28日月曜日

2回の顕微授精で受精卵が得られず、通常の体外受精で受精、妊娠、卒業されたAMH<0.1の方のご紹介

41歳、前医で2回(1個、4個)採卵し、凍結精子で顕微授精するも受精卵を得られず来院。
AMH<0.1、 FSH 18 DHEAs 111 とかなりの卵巣機能の低下を認めました。
当クリニックでは、DHEAを投与し、クロミフェンのみで排卵誘発しました。
4個採卵し、通常の体外受精で3個受精、2個胚移植(新鮮初期胚)して妊娠、卒業されました。

この方から学ぶものとしては、
AMH<0.1でも、卵子は複数得られることもありますし、妊娠も不可能ではないこと、
「顕微授精は常に通常の体外受精よりも受精卵が多く得られる」というものでは無いこと、
だと思います。
このブログを見ている方は、AMH<0.1でも妊娠は可能であることはご存じだと思いますが、この方はラッキーでした。卵子が少ない場合には、治療はお急ぎ下さい。

卵巣癌手術、抗癌剤治療後の妊娠例(その2)

卵巣癌、抗癌剤治療後の体外受精で妊娠された方をもうお一人ご紹介致します。
この方は、この夏の治療の方です。
来院時30歳前半、卵巣癌(Ⅰ期)で片側卵巣切除、抗癌剤治療3クール、AMH40歳程度。
前医で子宮内膜ポリープ手術、人工授精を2回受けていました。
当クリニックの検査では、ポリープの再発を認め、内膜ポリー切除術の再手術をおこないました。
体外受精1回目、8個採卵、凍結胚移植で妊娠するも流産。
2回目の体外受精で3個採卵、1個胚移植して妊娠、卒業しました。

卵巣癌治療後の方も、今回紹介しました2例の方のように、体外受精が貢献している実感を感じるます。他にも、乳がん治療後のかたの妊娠、出産もしばしば経験しています。
癌治療後の方の励みになれば幸いです。

卵巣癌手術、抗癌剤4クール施行後、体外受精妊娠、出産報告

以前、卵巣癌治療後の方が、妊娠可能かどうかのご質問がありました。
今回、卵巣癌手術/抗癌剤治療後に、無事出産された方がいらっしゃいましたのでご紹介致します。
この方は、卵巣の手術を4回受けており、片側の卵巣しか残っていない状況でした。
また抗癌剤も、4回受けています。
来院時、30歳前半、月経不順で、基礎体温でも高温期が不明瞭であり、排卵も明確には認めていませんでした。
AMHは感度以下(当時で<1.0pM)、DHEAs:90  FSH:22.36 とかなり卵巣機能は低下していました。
DHEA、エパデールを投与し、体外受精を試みました。
クロミフェン周期で、7回採卵を試みるも、3回は採卵0、4回は1個採卵するも変性、未受精などで移植できませんでした。

しかし、8回目の挑戦で始めて胚移植でき、そして妊娠・出産されました。
お子様も元気の成長されており、今回二人目の挑戦に来院されたのです。

この方は年齢が若いことも幸いしたと思いますが、卵巣癌手術、抗癌剤治療後でも妊娠/出産される方は最近では珍しいものではありません。
ただ、やはり若いほど妊娠しやすいので、卵巣機能が低下している場合には不妊治療を急ぎましょう。
皆さんのご参考になれば幸いです。


2013年10月6日日曜日

IVF・ET5回経験、AMH<0.1で、HSG後、双胎妊娠の出産報告 体外受精”も”それ以外の方法”も”

今年の初めに、他院でIVF5回経験、AMH<0.1、FSH;20の39歳の方が、当クリニックでHSG後双子を妊娠されたことをご紹介しました。そして今回、帝王切開で男女二人のお子さんを出産されたとの報告を頂きました。
この方は、最後の体外受精を計画し、出来ることをと、サンビーマー(週2~3回)、エパデール、DHEA、ビタミンD、カウフマン療法 などを使用していました。お二人は、サンビーマーが最も効果的だったと、書かれています。

私には、AMH<0.1であっても、体外受精以外でも妊娠の可能性があること、の証明された1例であると考えています。

確かに妊娠する可能性は体外受精が最も高く、この方へも第一の治療法は間違いなく体外受精です。ただ、当クリニックの方針として、受診する皆さんにお話ししているのは、体外受精のみでなく、少しでも妊娠の可能性を上げるために、「体外受精”か”それ以外か」ではなく、「体外受精”も”それ以外の方法も!」おこなっていきましょう、とお勧めしています。

この方へは、卵管造影検査もおこない、左の卵管は抵抗がありましたが開通致しました。今回幸いにも左右の卵巣から1個ずつ排卵し、2卵性の双子の誕生とつながったと思います。私たちは、妊娠に向けても、様々な角度から総合的に治療する事を今後も進めていこうと思います。


2013年10月3日木曜日

2013年9月の妊娠数

夏ばて?のため、8月の妊娠数のご報告をしていませんでした。9月ととものご報告致します。
8月、9月とも73例の妊娠数でした。

               8月     9月

妊娠数          73例     73例

 ART           50例     49例

IVF/ICSI      20例     26例
   凍結胚移植      30例     23例

AIH              17例      16例

当クリニックの新鮮胚(初期胚)移植と、凍結胚盤胞移植の妊娠数はほぼ半々になっています。
顕微授精より、体外受精が2倍の妊娠数になっています。

皆さんご存じですか? 顕微授精よりも体外受精の方が妊娠率は高いのです
勘違いされている方が時々いらっしゃいます。顕微授精の方が技術が高いので、妊娠率も体外受精よりも高いと考えている方がいます。顕微授精は、授精をさせる技術であり、妊娠率を上げる技術ではありません。一般的には、顕微授精の方が、体外受精よりも3~5%妊娠率が低いのです。通常の体外受精で受精するならば、その方が顕微授精よりも妊娠率は高いのです。

今年は妊娠800件を超える可能性が高くなっています。
開業以来の妊娠数は 10,069例になりました。