2013年6月19日水曜日

AMH<0.1 40歳 HSG後、自然妊娠

40歳 AMH<0.1 HSG後、来院2ヶ月で妊娠された方がいらっしゃいました。
多くの方が、AMH<0.1であると、妊娠しづらいのですか?体外受精でないと無理なのですかとお聞きになります。
AMHは残存卵子数を示しているのであり、卵子の質を反映はしていません
したがって、AMH<0.1でも妊娠される方は少なくはないのですよ。40歳の方でも妊娠し、卒業されました。またHSG後の自然妊娠も可能なのですよ。どんどん交渉を持ちましょう。
AMH<0.1でも、排卵があるならばがんばっていきましょう。

5回胚移植不能で、7回目に妊娠したAMH<0.1の症例

AMH<0.1で、過去6回の採卵で、胚移植出来たのは1回のみ。両側卵管水腫
7回目の自然周期で4個採卵、ICSIを1個におこない授精、胚移植、妊娠。現在妊娠5週。
卵巣機能が低下していても、卵胞が出来るならば、自然周期やクロミフェン程度で挑戦していくこともあり得る手段だとおもいます。

AMH<0.1のかなりの卵巣機能が低下している場合には、自然周期の有効症例もありますね。

また、AMH<0.1でも、かつ自然周期でも、4個採卵されることもあるのですね。3個は未熟、変性でしたが、、、
DHEA使用。、サンビーマー、メラトニンなど使用していました。

良い経過であって欲しいな~

12回目のAIHでの妊娠例(初回HMG注射周期)

36歳の方が、12回目のAIHで妊娠されました。PCO
第一子は、最初のクロミフェン-AIHで妊娠/出産。
第二子も、AIHの方針。
通常は決して12回まではおこなわないのですが、ご本人のご希望もあり、継続していた上での妊娠でした。

クロミフェン、メトホルミン併用、11回AIH するも妊娠せず。
今回、初めてHMG注射-AIH施行し、妊娠/卒業しました。
AIH周期でも、HMG注射の効果をアピールできる症例だと思います。
クロミフェン-AIHで結果が出ない方は、HMG-AIHを採用しては如何でしょう。
途中で2回ほどHMG注射をお勧めしているのでしたが、より強くお勧めすればとの反省が残ります。
お子様が無事誕生されることを願っております。

2013年6月18日火曜日

男性性腺機能低下症、ICSIの恩恵

最近では顕微授精ICSIが出来る様になって、以前ではお子さんを得られない重度の男性不妊のカップルも、お子さんを抱くことが不可能でなくなってきています。
今回、男性の性腺機能低下症のため、通常では精子が作られないカップルがいらっしゃいました。
LHとFSHが分泌されないために、精巣が眠ってしまい、精子が作られないのです。
男性には、女性におこなう排卵誘発剤と同じ、HMG注射とHCG注射を定期的に注射して、少数ながらもICSIをおこなえるだけの精子が得られました。
5個の卵子にICSIをおこない、3個胚盤胞になり、1個移植。
初回の顕微授精で妊娠、卒業されました。
ご主人はとても感動していらっしゃいました。
今後も順調に経過して、元気なお子様が誕生されることをお祈りするのみです。
少量の精子のみのカップルには、ICSIのパワーを本当に感じます。

再度、不思議な体験

2週間ぶりのブログです。
再度、不思議な体験談を聞きました。
第一子が凍結胚移植での妊娠/出産。
40歳で、第二子を希望して、完全自然周期での体外受精。AMHは約0.6
2個採卵でき、1個は未熟。顕微授精で1個受精し、胚移植しました。
妊娠判定当日、ご本人は怖くて上のお子さんには何も話してなかったそうですが、
「赤ちゃんがおなかにいるよ」と話したそうです。予言?
妊娠反応が陽性で出たとき、驚いて、お話しして下さいました。
皆さんはどのようにお考えでしょう?
私は人間への不思議さと畏敬の念、今後もいろいろ知ってみたいと思っています。


2013年6月5日水曜日

早期のAMH測定で、治療を急いで奏功した一例

最近、AMHを測定することで、対策が早期にとれた方がいらっしゃったので、ご紹介致します。

31歳でAMHが2.7pMと、卵巣年齢48~49歳相当の方でした。
排卵誘発は6周期、左の卵管の癒着を疑われていました。

AMHの値と、卵管癒着の可能性を考えて、すぐにIVFを選択されました。

クロミフェン-HMGで排卵誘発し、2個採卵し、1個胚移植して妊娠、出産。
1個は胚盤胞まで分割し、凍結保存。今年、凍結胚を胚移植して妊娠し、卒業しました。
この方は初回のIVFで2個の採卵で、2人妊娠された方です。

AMHが低く、卵管因子など他の不妊要因がある場合には、IVFへの早期の移行が、それだけ妊娠する可能性が高いことを感じた症例でした。


2013年6月2日日曜日

人工授精で伝えたい短編

人工授精で皆さんに伝えたいことを簡単にまとめました。

ご参考になれば幸いです。

1)人工授精の効果(5~6回まで)と限界(40歳まで)
 人工授精は有効な不妊治療の一手段です。妊娠率は30歳代で約10%ですが、効果は5~6回までとお考え下さい。同じ治療法をおこなっても、それ以上では妊娠率はかなり低くなります。ただし、自然周期、クロミフェン、HMG注射と、排卵誘発により妊娠率は高くなりますので、排卵誘発してのステップアップは有効です。
 一方、40歳以上の方の妊娠率は2~4%で、妊娠しても約半数の方は流産します。もちろん40歳以上の方でも人工授精で妊娠/出産される方はいらっしゃいますが、「お勧めする方法」ではなく、40歳以上の方には「AIHはご希望ならばお受け致します」というニュアンスの方法なのです。「40歳以上の方の第一選択は体外受精」なのです。ただし、卵管が正常ならば、体外受精と人工授精を併用しても良いのです。体外受精の方も、自然妊娠やAIHでの可能性も併用してよいのですね。

2)人工授精への誤解
①濃い精子が良い?(禁欲期間が長い方が良い?)
 人工授精では、禁欲期間が長いほど妊娠率が高くなる、と考えていませんか。実は、タイミング法でも、人工授精/体外受精でも、禁欲期間が長くなればなるほど妊娠率は下がるのです。「精子が濃い方が妊娠率が高い」と考える方が多いですが、「古い精子を貯めるよりも、新鮮な精子の方が妊娠しやすい」のです。人工授精の前日でも交渉を持って良いのですよ。
②AIHはタイミング法より低い妊娠率?
 「タイミング法の妊娠率は10~15%程度、AIHの妊娠率は5~10%」とよく聞く?ので、AIHの妊娠率はタイミング法よりも低いと考えていませんか。タイミング法の妊娠率は、大きな不妊原因がない方が対象です。AIHの妊娠率は、タイミング法で妊娠しなかった、精子が良くない方が主な対象です。これらを単純に比較することは間違いであり、人工授精はタイミング方より有効な治療法なのです。

人工授精は基本的な一般不妊治療ですが、コストパフォーマンスを考えると非常に良い方法なのです。体外受精が脚光を浴びる時代ですが、AIHも見直しては如何でしょうか。