2017年6月11日日曜日

JISARTシンポジウムに参加してきました!

JISARTシンポジウムに参加してきました。
今回は、名古屋の浅田レディースクリニック、浅田先生の主催です。

JISARTも設立後15年経ち、参加施設も30施設になりました。
今回は、執行部が新しくなり、今後のJISARTの進むべき方向性も議論されました。
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)は、ご夫婦に「安心と安全と満足を実感して頂ける生殖医療を提供する」という理念のもとに、ARTの信頼できる医療の提供を目指しています。



医療事務(受付)部門、看護部門、培養(技師)部門、医師部門の各部門毎にも研修会、意見交換会を開いたり、様々しているのですね。
当クリニックからも、各部門の選抜スタッフが参加しました。
私もきちんと参加してきました。
他の先生方との意見交換も非常に勉強になるのです。


























講演会では、初代JISART理事長(広島ハートクリニック)の高橋克彦先生から、JISARTの設立からの歴史の講演がありました。実はJISARTの設立は、偶然のきっかけであったと聞き驚きましたが、高橋先生の、「悪い偶然からはすぐに脱却し、良い偶然を必然に変えるのは人間そのものである」という趣旨の話は、人生の先達からの言葉として、非常に響くものがありました。日頃からの努力と準備が重要なのですね。
 

他には、培養液の歴史と新しい培養液の講演と、最近注目されている、着床前診断や着床前スクリーニングについての講義もありました。着床前スクリーニングに関しては、まだ日本では社会的な問題もありますが、学会からのお墨付きも出て、早く臨床的にも利用できるようになると良いですね。  
JISARTは、とても勉強になるのです。
今後も日々勉強して、準備を怠らないようにしなければ、と感じて帰ってまいりました。
どうも小学生の報告みたいになってしまうな~~。気の利いた文章が書けず、やはり文才がない自分にへこんでしまう。
しかし、目指すのは、文筆家ではなく、医療技術者である、と自分を鼓舞して、 また明日から頑張るぞう。(結局、最後は、単なる決意表明か?)





2017年6月9日金曜日

不妊治療の前に知っておいて頂きたいこと!?妊娠中の死亡年間40人と予防策とは?

医療関係者でのネットで見た内容から

妊娠、出産関連で、年間40~50人が死亡していることは、皆さんご存じでしょうか?
これは世界的には、最も低い死亡率なのです。世界では、未だに妊娠/出産は命がけの地域も少なくないのですね。

今回、日本での妊産婦死亡のなかで、不妊治療後の方の死亡例も含まれていたとの報告がありました。
非常に胸が痛むことでもありましたので、ご紹介致します。



妊産婦死亡症例検討評価委員会の調査で、2013~15年に亡くなった140人のうち5人が不妊治療で妊娠後、持病の不整脈高血圧などが悪化し、死亡していたことが分かった。

国内の出生数は年間約100万人ですが、前日のニュースでは2016年はじめて出生数が100万人を割り込んだそうです。
 妊婦死亡では、100万人中年間40~50人の妊産婦が亡くなっていますが、実際には、世界で最も妊婦死亡率が少ないグループにある日本の誇りなのです。


  委員会では重い持病があって不妊治療をする場合、妊娠しても安全かどうか「妊娠前相談」をすることを、今夏に発表する「母体安全への提言2016」に盛り込むそうです。

これは、われわれも日常感じていることです。

不妊治療の目的は、「妊娠する」ことではなく、母児共に無事に出産が済むことなのですね。

そのためには、妊娠前から、血圧、糖尿病、などにも注意が必要ですね。


不妊治療医にとっては、その妊娠後にハイリスク妊娠を引き受けてくれる提携クリニックは、とても有り難いことなのです。

しかし、ハイリスク妊娠を受けとる産科医は大変で、
その妊婦を受けてる先生からは、以下のような意見もありました。
われわれにとっては、とても胸が痛むものです。

「40歳を超えていて、血圧が200/130mmHgの妊婦さんが紹介されてきたが、結局、母体の安全を考えて中絶になった。
 多発子宮筋腫の高齢女性に、胚移植を2つして双胎になって、よろしくって紹介してきます。18週ぐらいから筋腫の変性による炎症が強くなって、結局子宮収縮がコントロールできなくなり、25週で帝王切開になりました。脳性麻痺のお子さん2人の母となるわけです。」

このような悲劇が起こらないように

高血圧、糖尿病、心臓疾患、不整脈、などの基礎疾患は、不妊治療開始前に、
しっかりと対応する必要がありますね。 

原疾患、合併症の 場合には、原疾患治療目的に今通院している医師に、妊娠許可の紹介状を書いて頂けると助かりますね。
血糖の高い方、糖尿病傾向の方では、肥満の方はすぐにやせていきましょう。
高血圧の方は、減量して、塩分を控えて、降圧剤を使用して下さい。

妊娠しても、出産までには、様々な困難があるのです。
妊娠を目指す不妊治療でも、その後の出産までを考慮した治療法が必要なのです。
体外受精をすれば良い、のではなく、しっかりと妊娠前から全身状態から管理していきましょう。











2017年6月1日木曜日

5月の妊娠数

 2017年、5月の妊娠数をまとめました。

5月の妊娠数は87例でした。

ART妊娠 53例 (内訳:  新鮮胚移植(IVF 2例/ICSI 2例) 4例
                 凍結胚移植 49例) 

 AIH妊娠 24例 (過去2番目の妊娠数)    

一般不妊治療   10例  (タイミング、クロミフェン、HSG後、など) 

5月の妊娠は87例で、昨年5月の62例よりかなり多く、開院後の5月で最も多い妊娠数でした。GWがあり、採卵数はかなり少なくなったので、例年妊娠数は少ないのですが、今年は健闘しています。
特に、AIH妊娠は、過去3年で2番目の多さでした。5月は、卵管閉塞側でのAIH妊娠や、43歳のIVF予定直前でのAIH妊娠例など、特別の妊娠例も目立ちました。AIHの可能性が妊娠できた5月でったと思います。

現在のところ、昨年を上回るペースで妊娠が得られています。

低用量アスピリンは、不妊症、妊娠、流産に効果がある?

他のネットからの転記です。

低用量のアスピリンで、妊娠率、生児出産率が、改善するとの報告でした。
   J Clin Endocrinol Metab2017; 102: 1495-1504



炎症は不妊と関係し、低用量アスピリンの投与は、軽症の炎症を有する女性の妊娠能力を改善する可能性がある。

妊娠を希望し、過去に1~2回の流産歴がある、18~40歳の健康な女性1,228例を低用量アスピリン群(81mg/日)またはプラセボ群にランダムに割り付け、妊娠を試みた最高6回までの月経周期と妊娠後36週まで連日服用させた。

炎症の有無は、血清高感度C反応性蛋白(hsCRP)値により、
低値(0.70mg/L未満)、
中間値(0.70~1.95mg/L未満)、
高値(1.95mg/L以上)に分類し、妊娠率と生児出産率を比較した。

結果)
全体の妊娠率は67%、生児出産率は55%だった。

妊娠率と生児出産率が最も低かったのは、炎症反応高値で、未治療だった群で、妊娠率54%、背出産率44%、と10%程度成績が低下した。

一方、炎症反応が高い人に、低用量アスピリン投与群では、妊娠率71%、生児出産率59%と、いずれも平均より5%程度、 未治療群より15%程度、妊娠率、出産率が上昇した。
 
炎症反応が、低値または中間値だった女性では、低用量アスピリン群とプラセボ群で妊娠率および生児出産率に有意差はなかった。


印象)
1)当クリニックでは、35才以上のARTの採卵する方には、低用量アスピリンをしばしば使用していますが、そのやりかたが決して間違いではないことのデータです。低用量アスピリンがARTで有効か無効かは、それぞれのデータがあり、明確ではないのです。
2)肥満の方では、炎症反応がやや高い方がいらっしゃいます。hsCRP(高感度CRP)で1.95以上方には、低用量アスピリンを積極的に使用しても良さそうですね。