2016年9月28日水曜日

妊娠前からの葉酸の重要性(千葉アンチエイジングの記事更新)

(有)千葉アンチエイジングの記事更新がなされました。今回は小浦ゆきえさんからです。 http://www.chiba-aa.com/

今回は、葉酸の重要性について、改めての報告です。
カナダでは、すでに1998年から小麦粉やパスタへの葉酸添加が行われているのですね。
その前後を比較したところ、先天性心疾患率が11%減少していたそうです。
 
日本では、このようなことがおこなわれていないので、皆さんはご自身で注意して摂取する必要があるのですね。
本当は、お米、小麦粉、パスタに、今回のような葉酸やビタミンD、鉄などを少し入れてくれるとよいのかもしれませんが、日本では自然が一番という考えも根強いのか、なかなか導入されていないようです。
当クリニックでは 、
1)葉酸は、妊娠前からは全員の方に、妊娠前から少なくとも妊娠12週まで。
 
2)ビタミンDは、採血して30ng/ml未満の方には、妊娠前から、妊娠中、授乳中までずっと。出産後も、授乳ではお子さんにも良いのです。
 
3)鉄は、貯蔵鉄のフェリチンを測定して、50ng/ml未満ならば、貧血がなくても積極的に鉄剤を使用することをお勧めしています。貧血は最後におこるのですね。妊娠に向けての体調の管理としては、貧血になってから鉄剤投与ではやや遅いのですね。

2016年9月26日月曜日

今年5回目の1日妊娠10例達成


先日、今年5回目の妊娠10例を達成しました。
やはり、凍結胚移植での妊娠が増えていますね。
最近では、およそ1/4が凍結胚移植での妊娠です。
凍結胚移植は、多くが胚盤胞の移植での妊娠です。
そして、新鮮胚移植では、通常の体外受精での妊娠が1/8、顕微授精の新鮮胚移植妊娠が1/8ほどの妊娠の比率となっています。

やはり胚盤胞までいけば、妊娠率が高いのですね。ただし、胚盤胞までいくのは、受精卵おおよそ半分で、高齢ではもっと低くなりますので、すべて胚盤胞にするのが良い方法とは限りません。一般的には、受精卵が4個以下の場合には、すべての受精卵を胚盤胞まで培養を継続するかどうかは迷うところであり、ご本人との相談をしています。
その方に会った方法で移植するのが良いですね。
 いずれにしても、10例以上の妊娠が続くと、私もとてもうれしいですし、「また、がんばろう!」「もっとがんばろう!」との思いがわくのですね。
続いてくれるといいな~!またいろいろ工夫していくぞ~!がんばれ!私!
「もっ

2016年9月19日月曜日

全国の体外受精 2014年統計


生殖補助医療(体外受精)関連の2014年の日本全国の統計が、マスコミから発表されました。


引用しますと、

2014年に国内で実施された生殖補助医療(体外受精・顕微授精・凍結胚移植すべての治療周期)の件数は39万3745件で、ほぼ40万件となったようです。

その結果4万7322人の子どもが生まれ、いずれも過去最多となったことが日本産科婦人科学会から発表されたとのことです。しばしば会員に直接知らされるよりも、マスコミの発表経由で知ることも少なくないのです。

14年の総出生数は約100万3500人とのことなので、体外受精関連で生まれた子の割合は約21人に1人となった計算になります。学校のクラスに2人ぐらいは体外受精関連で生まれたお子さんであると言うことなのですね。
 生まれたお子さんの約半数は、凍結胚移植による妊娠となっています。日本は、世界で最も胚凍結の技術が進んでいる国なのです。

実は、日本は体外受精の件数が世界で最も多いのです。これにはいくつかの理由があります。
まず、
1)結婚年齢が高くなり、難治性の不妊症患者さんが増加していること。
2)体外受精をおこなっている施設が最も多いこと。 
3)1回の体外受精の費用が比較的安いことがあげられています。日本では体外受精は1回30~50万円が多いのですが、例えばアメリカでは1回150万円ぐらいかかるのですね。

体外受精で生まれた子どもの数は累計43万1626人となり、初めて40万人を突破したそうです。

皆さんの妊娠が少しでも多くなるように、私たちもまだまだがんばっていきたいと思います。

2016年9月14日水曜日

44歳、採卵8回目、胚移植8回目で妊娠卒業された方

先日、44歳、8回目の採卵、8回目の胚移植で妊娠され、卒業された方がいらっしゃいました。
時間がかかりましたが、よく頑張られた方であり、ご紹介致します。

当クリニックには41歳で来院。
AMHは1.86と年齢相応。
採卵7回までは、HMG-アンタゴニスト法5回、ショート法2回で排卵誘発。この間、胚盤胞は1個のみでした。やはり年齢と共に胚盤胞になる胚も少なくなるのでしょう。

今回はロング法での排卵誘発でした。8個採卵、顕微授精で6個中4個授精。
2個新鮮胚移植し、2個着床妊娠。心拍1児のみ認めて卒業。胚盤胞1個保存。
対策は様々おこないましたが、アシストワン、DHEA、メラトニン服用。
ロング法はある程度卵巣機能が良くないとおこないにくいのですが、AMHが1.5以上ならばロング法を試してもよいかもしれません。この方はぎりぎりでしたが幸いに反応してくれた周期でした。
本当はもっと早くに結果が出て欲しいのですが、40歳を超えると、なかなか簡単にはいかないのです。実際には「やれることをすべておこなう」様なことになるのですね。
また、44歳になると、妊娠しても70%程度流産してしまいます。出産まではまだ長いのですが、良い経過である事を祈るばかりですね。

他院で採卵3回、胚移植5回後の、子宮筋腫により胚移植困難だった妊娠例

他院で、採卵・顕微授精3回胚移植5回の、35歳前の方が先日妊娠されて卒業されました。
当クリニックでは採卵1回目、ロング法、8個採卵、スプリットで、体外受精で2/4受精、ICSIで4/4授精。体外受精での8細胞胚を1個移植し妊娠、卒業となりました。胚盤胞3個凍結(体外受精胚盤胞1個、ICSI胚盤胞2個)保存。

この方は、子宮後壁に85×77mm、前壁に38×33mmの筋腫がありましたが、子宮鏡検査で子宮内への突出がなく 、手術はしない方針となりました。
反復不成功症例、ビタミンDは欠乏状態の19.8だったので、アシストワンを採卵1ヶ月前から服用。
ボルタレン座薬で8個採卵。
前医では3回とも顕微授精でしたが、精子の状態は悪くなく、スプリット方を採用。
通常の体外受精でも4個中2個受精・分割しました。精子が良い場合には、以前に顕微授精であっても、今回のように半分に分けて体外受精と顕微授精をおこなうスプリット法が有効なことがありますね。

問題は、子宮筋腫が大きく、胚移植での子宮内膜が非常に見えにくかったのです。
子宮内腔はかなり腹部頭側まで上昇しており、経膣エコーではわかりません。
経腹超音波で子宮内膜を必死に探して、ほぼ真横に偏在していた子宮内に移植致しました。
今までも移植はかなり難しかったのではないかと推測されます。
しっかりと胚移植することが非常に重要なのですね。

この方は大きな筋腫があるので、今後も流産、早産に気をつける必要がありますが、良い経過である事を祈るばかりです。

2016年9月12日月曜日

ビタミンD、ビタミンCの効能と、アシストワンでの効果

当クリニックでは、アシストワンという高濃度マルチビタミン製剤、ビタミンD、葉酸の3種類のビタミン剤をお勧めしています。アシストワンには、ビタミンD、葉酸が十分に含まれるので、この2つは、アシストワンを使用している場合には必要ありません。
妊娠された場合には、アシストワンから、葉酸とビタミンDに変更して下さい。

当クリニックでは、ビタミンDやビタミンCと測定して、少ない方には、ビタミン剤をお勧めしています。
今回、アシストワンの使用前後の、ビタミンDとビタミンCの血中濃度を測定しました。
かなり改善された結果でしたのでご照会致します。

1)ビタミンD

ビタミンDの理想値は30ng/ml以上とされています。少なくとも20ng/ml以上が目安にしています。
しかし、当クリニックでのビタミンDの平均値は12~13程度と、完全にビタミンC欠乏症(<20ng/ml)なのです。
ビタミンDは生殖でも重要で、40代ではビタミンD濃度が低い女性ほど卵子の減少が早い(AMH濃度が低い)、卵胞液中のビタミンDの濃度が高い女性ほど体外受精の妊娠率が高い、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性はビタミンD不足が多く、ビタミンDを補充することで排卵率が改善される等の報告があります。また、妊娠中にビタミンDが不足すると、妊娠や出産のリスクが高くなるとの報告もあります。

下の図は、当クリニックで測定した、アシストワンの投与前後のビタミンDの値です。
ビタミンDが欠乏状態の、12~13ng/mlの状態が、アシストワンを服用すると、理想値とされる30ng/mlをこえる値を得られました。
 
 



2)ビタミンC


また、風邪の予防としてビタミンCを摂取する場合も、推奨量より多めに摂取することをおすすめします。ビタミンCは1度にたくさん摂っても2~3時間で尿と一緒に体外へ排泄されてしまいます。サプリメントで補う場合は1日の量を数回に分けて飲むことでビタミンCの効果を持続させることが出
来ます


 


ビタミンCの働きには次のものがあります。

①.コラーゲン(生体内たんぱくの3割を占める。
      皮膚にハリをもたせ、血管の壁を丈夫にする) 
②.メラニンの生成を抑え、皮膚の色素沈着を防ぐ(美白効果)
③.活性酸素の働きを抑える広範囲な抗酸化作用
④.免疫力を高め、病原菌に対する抵抗力を高める
⑤.鉄の吸収を助け、貧血を予防
⑥.抗ストレス作用のある、副腎皮質ホルモンの合成を促す       

ビタミンCと活性酸素

ビタミンCには、活性酸素が細胞膜を酸化させて、細胞をキズつける
のを防ぐ抗酸化作用があります。
活性酸素は、細胞の老化、心筋梗塞、動脈硬化、狭心症、ガン、
白内障などに関与
がんの転移を防ぐ






アシストワンを投与前は、ビタミンCは平均10µg/mlでしたが、
アシストワンを使用すると、15µg/ml以上に上昇しました。
アシストワンで、十分なビタミンDとビタミンCが上昇することが
明確になりました。
アシストワンで、「体の疲れも軽くなった」というご主人の
使用経験談もあり、生殖医療以外でも効果がありそうです。
 



 

 

 

2016年9月7日水曜日

2016年8月妊娠数報告 1か月のご無沙汰でした。

ブログは1か月ぶりの更新です。
夏休み?気分はそろそろ終わりにして、また診療モードに戻さなければいけませんね。
しかし、8月を過ぎ、9月に入ると、まだまだ外は暑いのですが、気分は年末に向けてのスケジュールを考え始めるのですね。
8月で、クリニック移転1年となりました。日々のすぎるのが早いこと! もっと頑張らねば!!


2016年8月の妊娠数をご報告致します。

2016年 8月の妊娠数 89例  

ART妊娠    72例    (内訳:  IVF 11例  ICSI 6例    凍結胚移植 55例) 

 AIH妊娠    14例     

その他一般不妊治療   3例  (タイミング、クロミフェンなど) 

8月の妊娠数89例と平均的な妊娠数を維持しました。夏のお盆時期もあり、体外受精の採卵数も控えめであり、体外受精、顕微授精はやや少なめでした。一方、凍結胚移植は採卵とは関係ないので55例の妊娠は今年最多の妊娠数です。今後も凍結胚移植妊娠の数が増えてくるのでしょうね~。8月までで、今年の妊娠数694例です。年間1,000例に向かってギアアップするぞ~~。