2013年5月21日火曜日

ホームページの更新(1)

今回、ホームページを更新しました。
1)アンチエイジングのページの新設
2)妊娠1万例にむけての、妊娠数の掲示
3)学会発表の実績
などです。
特にアンチエイジングの、不妊治療への応用ついて、徐々に充実させていく予定です。
皆さんも時々チェックしてみて下さい。
信頼の置けるアンチエイジングの情報をまとめたいと思います。

また、今回のアップで、投稿がもうすぐ100になります。
まだまだ少ないとは思いますが、少しずつでも、蓄積していきたいと思います。

2013年5月16日木曜日

培養室の3本の矢!?

5月に培養室に工事が入り、新たに機材が増強されました。今風にいえば、培養室「3本の矢」!?です。

一の矢;エンブリオスコープ(EmbryoScope)  胚の成長過程を自動モニタリング出来るシステムです。胚の観察と、より高度な分析・評価が可能とされます。現在機材の調整中ですが、6月頃より稼働予定です。これでより良い胚の発育や評価が可能になると期待されます。これで喜ぶのは子供じみていますが、何となくうれしい。



二の矢; 培養器監視装置  培養室には多くの培養器があるのですが、それらを監視して、異常時には、院長や培養室スタッフにいつでも連絡がされるようになりました。異常時には即座に対応可能となりました。夜中の異常は出来るだけ避けたいな~。日頃の点検がより重要ですね。




三の矢; 培養室の非常電源装置が増強されました。大容量のバッテリーの増強により、ほとんどの培養器の非常電源が整い、顕微鏡などの機材への電源供給も可能となりました。東日本大震災でも幸いに停電にはなりませんでしたが、緊急時への備えがより増強されました。


 
 
準備は整いました。これで成績がより向上し、安定して行える様になることを期待しています。
 
 
 

2013年5月15日水曜日

4月の妊娠数。妊娠1万例までのカウントダウン。

4月の妊娠数が集計されました。4月は81例の妊娠数でした。好調な妊娠数が2~4月まで持続しています。ARTでの妊娠数が50例。AIHが13例、それ以外の一般不妊治療で18例の妊娠数でした。開院以来の妊娠1万例まで、あと280例になりました。また皆さんと一緒にがんばっていきま~す!!

2013年5月7日火曜日

新しい出生前診断の葛藤(アエラより)

2013年5月6日~13日号に、新しい出生前診断「非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)」の記事が載っていました。技術の革新はめざましいことがある一方、人間には様々な葛藤があることを思い出させる記事となっています。「産む・産まないの2択では割り切れない」のです。非常に難しく、微妙な問題なので、私のコメントは必要ないでしょう。関心のある方は是非読んでみて下さい。

 


 

2013年5月6日月曜日

書評2 「こうのとり追って」 晩産化時代の妊娠・出産   毎日新聞社取材班

この本も、不妊治療を受けている方に読んで頂きたい本です。
当クリニックでも、職員にも課題図書として読んでもらっていますし、クリニックの待合室にも複数、おいてあります。
「まさかの不妊」「不妊治療の光と影」「卵子・精子提供という選択」「出生前診断のいま」「不育症の苦しみ」「心でつながる親子」という目次を見ると判るように、不妊治療から養子まで、多岐にわたって取材されています。
詳しい内容は直接読んで頂いた方が良いでしょう。
総評としては、不妊治療を受けるにしても、出生前診断を受けるにしても、生む選択・生まない選択、養子という選択をするにしても、決して「白黒」はっきりしているものではなく、様々な考え方があり、問題も解決策も一つではないと考えさせられる本であり、不妊治療を受けている方のみではなく、是非医療関係者にも読んで頂きたい本です。

ただし、いくつか細かい点でのコメントは述べさせて頂きます。
 P24からは、当クリニックでも診療をお手伝い頂いている千葉大学医学部泌尿器科教授の市川智彦先生のコメントも載っています。市川先生は生殖医学会副理事長でもあるのです。ここまで来たら、毎日さん、高橋にも声をかけて欲しかったな~。(なんて実際は私には荷が重いでしょうね)
 この本では、「排卵誘発剤を使用することで、体を痛めたり、排卵誘発剤を長年使うと採卵しにくくなる」との論調をとっていますが、これは私は誤解を生みやすい書き方だと思います。実際には排卵誘発剤を使用した方が、妊娠率が高いし、妊娠時期が早まることはデータとしてでています。むしろ使用しないでいると、それだけ妊娠までの時間がかかり、実際には時間切れになってしまう可能性が高くなります。自然の方が妊娠率が高く、妊娠時期が早いというデータは見たことがありません。(実際にはこのような比較データはとれないでしょう)この本でも最初に書かれているように不妊治療で今問題なのは、「卵子の老化」であり、女性の年齢なのです。今の大半の不妊治療の方の問題は、「年齢」です。高齢の方は排卵誘発剤を使用しなくても、急速に卵巣の機能は低下し、半年でも明らかに卵子数は低下し、染色体異常も増え、排卵障害もおこりやすくなるのです。排卵誘発剤の使用の有無ではなく、むしろ少しでも若いときの卵子を利用できるように努力する方向性を考えることが重要でしょう。私のクリニックでも自然周期やマイルド法も採用していますが、自然な事にこだわりすぎると、それだけで時間切れとなります。この本の中での方は、非常に高齢であり、排卵誘発剤の使用の有無が問題でなかった、とも考えられるのです。
 私のクリニックも属しているJISARTの中の数施設は、日本での卵子提供も倫理委員会を設置して開始しています。これは日本産科婦人科学会にも容認されています。しかし、JISART全部の施設が、卵子提供を推進しているものでもありません。JISART自体は、より高度で信頼の出来る生殖補助医療を提供することを本来の目的としており、「卵子提供を目的」としているものではありません。実際に卵子提供プログラムを進めるかどうかは、各施設の判断によるのです。私のクリニックでは、卵子提供をおこなえる時期ではないと判断しています。
 不育症の項目で”「また流産」原因不明が6割”は非常に誤解を招く数字です。この本でも書かれているように、流産の8割は偶然おきた胎児の染色体異常です。したがって、2回流産された方のほとんど(約2/3)は偶然おきた染色体異常であり、それ以外の不育症の原因は少ないのです。2回連続流産した方でも何もしなくても3回目では約7割の方が妊娠継続します。3回連続流産された方でも、4回目では約5割が妊娠継続します。「不育症の”原因不明”が6割」は誤解を招きます。別の言い方をすれば、「不育症の大半が、特別な不育症の原因がなく、偶然おきた赤ちゃんの染色体異常ですよ。」とも言えるのです。またこの本での不育症は、2回で不育症としていますが、習慣流産は依然として3回連続の流産と定義されます。最近では妊娠回数が少なくなっているので、2回連続でも反復流産として不育症の検査をしてもよいでしょう、という意味とお考え頂いた方が良いでしょう。また名古屋市大の杉浦教授(不育症の第一人者です)も指摘しているように、1回の検査結果で、12因子やプロテインSなどの血液凝固能などの不育症の診断は出来ません。異常値は再検査して”判断”すべきだと思います。当クリニックで異常値を再検査すると、半数以上は正常値を示します。人間の血液の検査では、このようなことは頻回におこっているのです。
 具体的な医療技術の話だと、話は終わらなくなってしまいます。ここまで一気に書いたところで、反省しています。
 最後に、再度、この本は、今治療を受けている当事者に限らず、医療関係者にも是非読んで頂きたい、様々な問題を投げかけている、非常にお勧めのルポルタージュです。








2013年5月5日日曜日

エドワード博士を偲んで(ノーベル賞受賞者との偶然の同席)

1978年世界初の体外受精児を誕生させ、2010年にノーベル医学生理学賞を受賞したロバート・エドワード博士が4月10日に亡くなられました。87歳でした。
エドワード博士の業績は、ここで述べるまでもありませんが、初期には 「試験管ベビー」と呼ばれ、生命の誕生に人が手を加えることの是非で大論争になりましたが、現在は不妊症の中心的治療として定着しています。体外受精・胚移植により世界ですでに400万人が誕生し、日本でも、毎年1万人以上のお子さんが体外受精や顕微授精などでの高度生殖医療で誕生されています。

現在不妊治療に関わっている私にとっても、生きがいや生きる意義を与えて下さった方と考えています。
実はおよそ12年前のことですが、エドワード博士とは、2001年にお目にかかる機会がありました。日本での第4回日本IVF学会(淡路島)だったのですが、エドワード博士も招待されていたのです。
すでに発表が始まっていた学会場に遅れて入った私は、暗い中で混雑している会場で、目の前に偶然?空いていた椅子に”ラッキー”と思って座ったのです。ある発表が終わって、明かりがついたときに隣を見て驚きました。隣に座っていたのがエドワード博士だったのです。
何と、”偶然”空いていたと思っていた椅子は、おそらくは他の皆さんが遠慮して座らずにいたために空いていた椅子だったのでした。遅れてきた私は、隣が誰かも判らずに座っていたのです。
エドワード博士は、隣に座った誰だかも分からない若造に、その時の発表に対してのコメントを気さくに話しかけてきました。私は舞い上がってしまい(舞い上がってなくても同じだったと思いますが)、何を言っているのか良く判らずに、単に”YES”YES”と微笑み返しをしているだけでした。
エドワード博士は、とても温和で暖かみのある話し方をされ、理解していないであろう若造にも、笑顔で話して下さりました。私は、その時には尻込みしてすぐにでもその場を離れた方が良いのではないかと思っていましたが、今では今後2度とないであろう、ノーベル賞受賞者との接触だったのです。エドワード博士は握手にも気さくに応じて下さりましたが、暖かく柔らかい大きな手であったと記憶しています。
世界に影響を与える業績を積み上げたにもかかわらず、柔和で、気さくに話しかけて下さったエドワード博士のお人柄は、(業績では当然目標にすることさえおこがましいのですが)、今でも私のお手本でなのです。エドワード博士の日常をほとんど知らない私がこのように書くこと自体不遜かもしれませんが、勝手にお手本・目標にしていることはお許し頂きたいと思っています。
エドワード博士をお手本に、私もあと何年がんばれるか判りませんが、自分の生きがい・存在意義を認識しつつ、エドワード博士の業績の恩恵を一人でも多くの皆さんに届けられるよう精一杯生きていきたいと思います。
エドワード博士のご冥福をお祈り致します。合掌





     



2013年5月4日土曜日

2013年4~5月の1ヶ月間の様々な出来事(1ヶ月ぶりのブログ)

ブログは1ヶ月ぶりとなります。新年度となり、通常よりも忙しい日々が続きまして、ブログを更新できませんでした。しかしこの1か月には、体外受精の祖エドワーズ博士の死去、開院14周年、妊娠10,000万例までもう少し、タイのクリニック訪問などあり、様々のことがあり、考えさせられることが沢山ありました。今後皆さんにもご報告致したいと思います。