2016年6月26日日曜日

体外受精・顕微授精の合間の、自然妊娠の2例

体外受精・顕微授精で妊娠せず、この1ヶ月で、合間で自然妊娠された2例をご紹介致します。
体外受精までしているので、体外受精で妊娠される方が、当クリニックの実績を誇れると思うのですが、やはり医療は、すべてをコントロールできるわけではないのです。
体外受精をしていても、少しでも妊娠率を上げるために、卵管造影の検査やタイミング、人工授精なども合間に入れることも大切ですね。

1)42歳 PCO  AMH7.52  HSGは正常。 1回目顕微授精で妊娠せず。胚の状態、中~不良。顕微授精不成功後3ヶ月で自然妊娠し、卒業。

2)40歳  AMH 1.69  HSG&子宮鏡;正常 筋腫4cmあり。1回目の体外受精で妊娠せず。胚の状態、中等。体外受精不成功後、2ヶ月後に自然妊娠し、卒業。

ひと月に、このように体外受精で妊娠せずに、自然妊娠される方もいらっしゃいました。皆さんも体外受精をしていても、性交渉やAIHを意味のないものと決めつけずに、性交渉をどんどんお持ち下さい。顕微授精が必要でも、精子もかなり変動するのです。「顕微授精が必要=自然妊娠しない」でもないのですね。
少しでも妊娠する可能性をあげるために、一般的な基本検査や性交渉も重要なのですね。

前医で採卵7回、胚移植10回後の妊娠例

前医で、採卵7回、胚移植10回受けた40歳の方がクリニックにいらっしゃいました。
AMHは1.3と42歳相当で、ほぼ年齢相当。男性因子もあり。
子宮鏡と子宮卵管造影検査で、子宮内に問題はないことを確認し、1回のAIH後、顕微授精を来院後1ヶ月で施行しました。子宮鏡検査で、着床障害の原因がないことを確認することは重要です。
ショート法でしっかりと排卵誘発し、10個採卵(この方では最多採卵数)。顕微授精をして8個受精。初期胚で1個胚移植するも妊娠せず。
2ヶ月後に、凍結胚盤胞を移植し、妊娠されて卒業となりました。
この方は、すぐの体外受精をご希望されましたので、特別な準備はされませんでしたので、とても幸運だったと思います。あえて言えば、できるだけたくさんの卵子を採卵する方針としたことでしょうか。
今後良い経過であることをお祈りするばかりです。

6月、2回目の10人妊娠されました!

6月10日(金)に、今月2回目の妊娠二桁到達となりました。
今月は2回目の10人以上妊娠到達であり、非常にうれしいです。ひと月に2回の10人妊娠は初めてではないでしょうか。
今日は、梅雨にもかかわらず天気が良く、私の気持ちも落ち着いていますし、今月の妊娠の方の報告もブログにアップできて、こんな日が続くと本当に平穏な日々を過ごせるのですが、、、
実際には、毎日、どうしたら妊娠できるのかと、葛藤の連続なんです。一方、だからこそ、妊娠された場合のうれしさはひとしおなんですね。
職員へのお知らせの大入り袋は、新バージョンにしました。
「妊娠達成袋」とすることにしました。今後も数多くの「妊娠達成袋」を配れて、皆さんの妊娠を職員と一緒に喜びを共有できる機会が増えることをもっと増やしたいと思います。


単角子宮での妊娠/卒業

先日、単角子宮の方が体外受精(凍結胚移植)で妊娠されて、卒業されました。
単角子宮とは、子宮を形成する左右のミューラー管の一方が萎縮しており、片方のミューラー管から形成された子宮です。単角子宮は不妊症とは大きくは関係ないのですが、子宮内腔が狭いので、流産率は約50%とされています。


この方は、初回の妊娠で子宮外妊娠になり、卵管を切除しており、今後は妊娠するには体外受精が必要でした。
当クリニックでは体外受精により2回妊娠されましたが、2回とも初期流産となりました。約5cmの子宮筋腫もあったので、筋腫核出も考えていました。
今回、しっかりと排卵誘発し、1個移植して妊娠され、今回は無事卒業されました。この方は、30才代前半の方であり、卵子をたくさんとれたので、あと8個胚盤胞が残っています。
今後の良好な経過をお祈りするばかりです。
単角子宮、双角子宮、中隔子宮など、子宮奇形があっても、これが原因で不妊症になるわけではありません。したがって、このような子宮奇形があっても、不妊症の治療として手術をする必要(手術する意義があるのは中隔子宮のみですが)はありません。一方、流産を何度も繰り返す中隔子宮の場合には、手術する意義は十分あり、当クリニックでは日帰りでの、レゼクトスコープによる、中隔切除術をおこなっています。
一方、単角子宮、双角子宮には手術はできません。流産率は高いですが、半分の確率で出産まで行きますので、がんばって妊娠に突き進むことになります。
今度こそ、この方の経過が順調であることを祈るばかりです。



44歳の卒業、着床障害の治療とは?

先日、44歳の方が体外受精(凍結胚盤胞移植)で妊娠され、卒業されました。
いくつかの参考事項があると思いますので、ご紹介致します。
この方は東京の有名クリニックで一度マイルドな排卵誘発(クロミッドのみ)で顕微受精を受けていました。3個採卵、顕微で2個受精、1個移植、保存胚なし。

この方は、来院時の子宮鏡検査で子宮内に癒着を認めました。半年前に子宮内膜ポリープの手術を受けていました。その時の手術による癒着であると推測されます。単発のポリープ手術後の癒着は珍しいと思いますが、掻爬手術や多数のポリープの手術ならば、子宮内腔癒着もおこりうると思います。子宮内腔の粘膜下筋腫や多数のポリープ切除術のあとには、念のために子宮鏡の再検査をしておいた方がよいかもしれませんね。写真では、ご本人の左子宮底に近い部分に癒着を認めます。

子宮鏡検査時には、生理食塩水を還流させますが、膨らませると超音波検査でも、癒着による索を認めます。ただし、通常はこのようには見えず、子宮内膜が単に薄めである程度の時もしばしばあります。
この方には、体外受精に向けて、まずはこの癒着をはがす手術をおこないました。
明確な着床障害とは、このような癒着や粘膜下筋腫、内膜ポリープの状態を示すのですね。
この間、体外受精までは、マルチビタミンのアシストワンを使用しました。
AMHが3.32と高く、年齢を考えると、採卵数をたくさんとれた方がよいと判断し、当クリニックではショート法を選択。13個採卵し、精子は正常でしたので、体外受精と顕微授精のスプリットを採用。12個受精しました。ただし、年齢もあり、凍結できたのは2個のみ。
その後、凍結胚盤胞を移植し、幸運にも妊娠され、卒業となりました。あと1個凍結胚があります。

①しばしば、着床障害について皆さんから質問を受けますが、はっきりしている着床障害とは、今回のように子宮内に、内腔癒着、粘膜下筋腫、内膜ポリープ、などなのです。したがって、そのための検査は、子宮鏡や子宮卵管造影検査なのですね。あとは、着床しない主な原因は、胚の質によるのです。
②高齢で、卵巣機能に余裕がある場合には、少数の卵子をとるのではなく、多数の卵子をとるほうが良いのではないでしょうか。例えば、この方が妊娠出産された場合には、次回の1年後の採卵、妊娠、出産は限りなく少なくなります。この方でも、凍結保存胚は少ないのですが、少しでも若いときの胚がたくさんあれば、二人目の可能性もそれだけ残ることになるのです。当クリニックでもマイルドな方法も採用していますが、やはりひとりひとりにあった誘発方法は、個別に考える必要があるでしょう。
今後、この方が、順調に経過していくことをお祈りしています。

2016年6月20日月曜日

妊娠希望セミナー(無事)開催されました!

昨日、6月18日(土)に、妊娠希望セミナーが開催され、無事終了しました。
久方ぶりのセミナーで緊張しました。
何が緊張したか、というと、「笑いをとれるかどうか?」なのです。
世の中の流れはどんどん早くなり、最近の笑いの質も、年々変わっているのを感じます。参加した皆さんの笑いをとれるかどうか?は非常に難しく、とても緊張するのですね~。
職員も数人参加しています。無様な姿(すべりまくる院長)を見せるわけにもいきません。院長の威厳???がかかっているのです。(やっぱり、私が何を目指しているのか、いよいよわからなくなるような、はっきりわかるような~~)



妊娠の成り立ち、不妊症の原因と検査、一般不妊治療,体外受精について話をして、笑いを参加者に強要し、何とか乗り切りました。
私の後には、管理栄養士の白井さんが、糖質制限についても話をしてくれたのです。これで少し、格調が高まったかな。
詳しいスライドはこの場ではあげられませんが、最後のまとめのスライドです。
次回は、7月30日です。

最後に再度
高橋ウイメンズクリニックでの
不妊治療の考え方
1)検査は基本的にはすべてお受下さい。
2)妊娠は、女性の年齢が最も関係します。
3)同じ治療は5~6回でステップアップを考えて下さい。
4)皆さんの妊娠は私の喜びでもあります。
 同じ目的に向かってともにがんばっていきましょう!




2016年6月13日月曜日

糖質制限サミット2016 参加してきました!

糖質制限サミット2016 に参加してきました。
糖質制限の雄が、これだけそろうことは初めてではないでしょうか。
内科、外科、産婦人科、基礎医学、などそれぞれ異なる領域の先生方が、そろって話を聞けるのは非常に貴重な講演会でした。
糖質制限は、インスリンが発見される前には、糖尿病の唯一の治療法でした。夏目漱石も糖質制限食で症状が改善されたのですね。
また、現在ではケトン体食は、難治性のてんかんの治療法として、保険適応もされているのです。ケトン体食が危険である、というのは間違いなのですね。
また、糖尿病の治療食として、アメリカ糖尿病学会でも、糖質制限食は標準的な治療食の一つとして認められているのです。
糖質制限食があたかも危険な食事であるという、論調は、世界的には全くおかしな話なのですね。
世界では、子供の離乳食も、おかゆなどの炭水化物ではなく、肉類が使用されてもいるようです。
実際に、母乳も40%が脂肪であり、糖質が重要なのではないのです。


今回は、6人の講師の先生方全員と、挨拶・名刺交換などをしてまいりました。
高橋ウイメンズクリニックでも、管理栄養士が二人参加しました。
これを機会に、不妊治療にも、糖質制限をまずは臨床研究として、導入したいと思います。
女性の卵子の質の向上、男性の精子の改善、これは4ヶ月は必要でしょう。
希望者を募って、検討開始しますよ。しっかりと研究計画を作って、7月から開始したいと思います。
あちゃ~ 宣言してしまった~~~!


すごいメンバーですね。


もちろん、いつもお世話になっている宗田先生ともアリバイ写真ですね。今ではベストセラー作家です。ノーベル賞受賞の際には、私がお供することを申し出ています。
みよ、私のこの脂ぎった顔の写真を!


南雲先生は、「命の食事」のセミナーも各地でおこなっています。次回、東京でおこなう際には参加したいな~。
南雲先生は還暦だそうです。やはり若いですね~~。58歳の私も、顔が脂ぎっていることは、負けてなかったかな。酔っ払ってるし~



2016年6月12日日曜日

6月7日 ページビュー1114件 訪問ありがとうございます!

6月7日のブログのページビューが1,114件でした。
実際には、私はネットに詳しくないので正確にはわからないのですが、1日に1,000人ぐらいの方がブログを見て頂いたということなのでしょうか。皆さんありがとうございます。
通常は1日500件ぐらいなのですが、1,000件を超えたのは久しぶりのことです。
なぜその日なのかは正確にはわかりませんが、6月18日(土)に、妊娠希望セミナーを開催することをお知らせしたからなのでしょうか?、ひとりで診療していた時期には、土曜日の診療終了時間が遅くなり、土曜日の開催が難しくなり中断していたのです。
以前からセミナーの再開のご要望はあったのですが、今回、クリニックを移転して、土曜日の診療も医師2~3人で診療することができるようになり、診察の終了がある程度目星がつくようになり、今回再開する事となったのです。
 久しぶりのセミナーなので、私も緊張しています。
また、セミナーに興味を持って頂いている方がたくさんいらっしゃるならば、また一段と緊張しますね。
何とか1週間後のセミナーを乗り切れるようにがんばります。
緊張していると、受けをとるのがまた一段と難しそうだな~~。
(すでにこの時点で、セミナーで高橋が何を目的としているのか、勘違いしていますね~~
単なる受け狙い??)

2016年6月11日土曜日

凍結胚移植前の スポイト(シリンジ)法での妊娠例

先日、30歳代前半の方で、体外受精で採卵後、翌月に凍結胚移植を控えていた方が、スポイト(シリンジ)法で妊娠されました。
この方は、すでに他院で人工授精を7回受けており、体外受精をする事になりました。採卵後全胚凍結となり、翌月、凍結胚移植の予定でした。

採卵後の排卵周期で、スポイト(シリンジ)法で(針なしの)注射器を使って、ご自身で膣内に精液を注入したのです。そして、この周期でなんと妊娠されたのですね。
やはり、体外受精の、合間の周期でも、可能性がある場合には、タイミング、人工授精などもあきらめずにおこなう意義はあるのですね。高橋ウイメンズクリニックでは、少しでも妊娠する可能性を上げるために、このように体外受精のみでなく、すべての可能性を追求しているのです。
なお、甲状腺の検査でTSHが3.8と高めであり、チラージンSを補充してもいました。潜在性の甲状腺機能低下状態には、できるだけTSHが3未満になるように、チラージンSを使用した方が妊娠率も上昇し、妊娠中も胎児にも良いとされています。これも良い結果につながった一要因かもしれませんね。
この方の今後の経過が順調であることを心からお祈り致します。

スポイト(シリンジ)法
明確な定義はないのですが、スポイトを使って、射精された精液を膣内にご自身(または夫)で、膣内に精液をすべて注入するものです。当クリニックでは、2ccや5ccのプラスチック注射器(シリンジ)を使用するのでシリンジ法ということもあります。
対象は、膣内に射精できない方です。つまり、勃起不全で性交渉ができないけれども自分で射精することはできるカップル、性交渉はできるが膣内射精ができないカップル、などが対象になります。妊娠率は人工授精を超えるものではありませんが、簡単に自宅でおこなえるメリットがあります。基本的には精子の状態は正常な方が対象です。
精子の状態が良くない場合には、やはり精子を濃縮できる人工授精の方が適当でしょう。
当クリニックでは、滅菌カップとスポイト(シリンジ)の使い捨てセットで、1回分約500円の費用を頂いています。

2016年6月9日木曜日

新記録 1日妊娠数 16名 とてもうれしいです!

先日、1日の妊娠 16名を達成しました。
これは開業以来、最多妊娠数です。私も驚きました。いったい何がおこったのか。
もちろん、体外受精関連の成績がこの間、良かったこともありますし、妊娠判定の方もこの日は多く、この様な結果につながったのですが、これも、皆さんのご協力と、職員の頑張りのたまものです。職員のみんなにもありがとう!!
こんな日が続くと、私の毎日の生活も気持ちよく過ごせるのですが、、、、、
実際には、悔しい思いをすることが多く、妊娠・生理開始と、白黒の結果がはっきりでるつらさの方が多いのですね。
しかし一方で、だからこそ、皆さんが妊娠されると、私は非常にうれしく感じるのです。
また、皆さんと一緒に喜べるような明日の結果を期待して、毎日の診療をがんばります!!




2016年6月8日水曜日

5月の妊娠数(GWの影響で少なめ)

2016年5月の妊娠数をご報告致します。

2016年 5月の妊娠数 62例 

ART妊娠    37例    (内訳:  IVF 2例  ICSI 2例    凍結胚移植 33例) 

 AIH妊娠    13例     

その他一般不妊治療   12例  (タイミング、クロミフェンなど) 

5月の妊娠数は、例年と比べるとやや少ない妊娠数でした。GWの影響はあり、今年最も少ない妊娠数でした。特に新鮮胚移植での妊娠は少なく、胚凍結が徐々に多くなってきていることの現れでしょう。

5月までの妊娠数は396例であり、年間妊娠数1,000例のペースをやや下回りました。

今後、巻き返してがんばっていくぞ~!

2016年6月7日火曜日

第1回 妊娠希望セミナー 開始致します!

以前から、皆さんより、不妊治療の説明会の開催の要望を頂いていたのですが、今回、10年ぶりになりますが、新施設に移転後もうすぐ1年になりますが、今回、
「妊娠希望セミナー」を開催する事に致しました。
時期は、第1回は 6月18日(土) 15~17時におこないます。場所は、クリニックの待合室で、定員30名です。
講師は、私 高橋と、管理栄養士の白井です。
講演内容は、妊娠の成り立ち、不妊症の検査、不妊治療、体外受精、食事管理、などです。

対象は、当クリニック通院開始3ヶ月以内の方、 院外の妊娠希望の方、その方ご希望の方、です。
参加ご希望の方は、受付にお電話下さい。(予約制:定員30枚)

2016年6月6日月曜日

2月、3月、4月の妊娠数報告

2月、3月、4月の妊娠数のご報告が滞っていました。
本日ご報告致します。
  
           2月     3月     4月

妊娠数     100例    65例    94例 

AIH        14      12     16

ART合計     77      40     63
凍結胚移植   49      24     47
  
 2月は妊娠100例の大台に到達しました。
これは今までで2回目の大台です。(1回目は昨年3月の101例でした) これは年末年始の影響で、体外受精の数が増えたことが最も大きいのです。また採卵も多いですが、凍結胚移植の妊娠数も多くなりました。これが続いてくれると良いのです。
3月は、2月の反動か、AIHもARTによる妊娠も2月の半数近くになりました。皆さん、年度末でお忙しいことや、年度末の補助金関連の影響もあったのでしょうか?
4月はまた、妊娠数は回復しました。これはGWの休診の影響を考えるならば、2月以上の成果なのかもしれません。実際に4月の91例は、4月最多タイなのです。
月間妊娠数は、今後は100例が基準となりそうです。そして、年間1,000例の妊娠を目指して、がんばっていきましょう。