2016年1月22日金曜日

助成金30万円への増額、すでに1月20日から適応です

ネットの記事からの転載です。

不妊治療、初回の助成30万円に倍増   夫手術(TESE)は15万円上乗せ

政府は体外受精などの不妊治療にかかる費用の助成を20日から拡充した。
初回助成の上限を現行の15万円から30万円に倍増した。2回目以降は15万円の現行のまま助成する。
夫へは精子を採取する手術(TESEなど)を受けた場合には新たに1回につき15万円を上乗せする。
 必要額を盛りこんだ15年度補正予算が20日に成立し、即日実施した。

治療を既に受けていても、治療の終了が20日以降であれば対象となる。

指定された医療機関で受診し、都道府県や政令指定都市、中核市の担当窓口に領収書などを提出し申請する。(詳しくはやはり、各地方自治体の窓口にご確認下さい)
 体外受精の助成制度は、2016年4月以降見直され、妻の年齢に応じて3~6回を上限とし、43歳以上を助成対象から外すことが決まっている。(42歳までが助成対象ということです)
助成制度から考えると、40歳に達した方はすぐに体外受精を受けることを政府も勧めているという見方もできるかもしれません。


 

子宮内膜ポリープを3回手術後の妊娠卒業例

先日、多発性の子宮内膜ポリープがあり、3回も内膜ポリープ切除術を必要とし、その上での体外受精で妊娠され、卒業された方がいらっしゃいました。
多発性のポリープは、手術後も再発することが多く、数回の手術を必要とすることも少なくないのですね。
この方は30歳前半の方で、多嚢胞性卵巣症候群、糖尿病傾向が認められました。
初回の子宮鏡検査は2年前であり、子宮内腔全体のポリープを認め、手術をおこないました。
その後AIH治療をおこないましたが妊娠せず、半年後の子宮鏡では、多発性の小さなポリープの再発を認めて、初回手術の8ヶ月後に2回目の手術をおこないました。
この間、糖尿病傾向に対しては、糖代謝改善薬のメトホルミンを使用し、体外受精もおこないましたがなかなか着床しませんでした。
その後、2回目の手術から6ヶ月後に数個の子宮内膜ポリープの再発を認め、3回目の手術をおこないました。その後の検査では、わずかの小ポリープのみで、再手術は必要ない事を確認し、4回目の採卵の、凍結胚移植で妊娠され、卒業となりました。
この方のように、多発性の子宮内膜ポリープがある場合には、子宮内膜ポリープを手術しても、半年後には再発して、再手術を必要とすることは少なくありません。
皆さんには、多発性の子宮内膜ポリープは、すぐに再発することはよくあり、手術の失敗などではないということをご理解頂ければ幸いです。
また、着床障害が気になる方は、このように子宮内腔にポリープや子宮筋腫、子宮内腔癒着などがないことを確認する、子宮鏡検査が最も重要になるのですね。

2016年1月18日月曜日

男性不妊と糖尿病、心筋梗塞など

アメリカ生殖医療学会 Fertility and Sterility オンライン版からの転載です(12月8日掲載)

不妊症の男性は糖尿病や心疾患リスクが高まる

米国男性10万人のデータ解析で、以前から不妊症男性は精巣がんリスクが上昇する傾向があると報告されていました。(従って、男性不妊症の方は、泌尿器科医の診察も受ける方がよいのです)
 今回、不妊症の男性は、糖尿病や心疾患、のリスクが高い傾向にあることが、米スタンフォード大学(カリフォルニア州)の研究で示されました。
 男性10万人強のデータを収集、平均年齢は33歳だった。
 その結果、肥満や喫煙などの因子を調整後も、不妊症の男性は心疾患リスクが48%、糖尿病リスクが30%上昇することがわかった
 米ノースショア-LIJヘルスシステム(ニューヨーク州)ヒト生殖センターのChristine Mullin 氏(本研究には参加していない)は、不妊症に直面する男性はその他の健康問題も抱えている可能性があるようだと述べでいる。
 「不妊男性に潜むその他の健康上の問題にも注意する必要がある」と考えることが最近は強調されています。
 EDの方は、糖尿病や動脈硬化が関係しており、糖尿病や動脈硬化の初期症状がEDであることも明らかになりつつあるのですね。

 今後、当クリニックでも、男性不妊にアンチエイジング医療(糖尿病、血管年齢、ホルモン、ビタミンなど)を応用しようと考えています。研究方法が確定した場合には、また皆さんにご協力の依頼をお知らせ致しますので、その際には是非ご参加下さい。

2016年1月16日土曜日

5回の胚移植後の自然妊娠例(HSG、タイミングも重要です)

今回、自然妊娠されて卒業された30歳前半の方がいらっしゃいました。
この方は、前医で1回採卵、4回の胚移植(初期胚1個、胚盤胞4個)を移植されていました。
当クリニックでは、体外受精の予定でも、反復不成功の方には、卵管水腫の有無の確認も含めてHSGをしています。
この方には、当クリニックでも13個採卵し、1個初期胚移植するも妊娠しませんでした。胚盤胞は6個残っています。
さて、この方は体外受精のつぎの周期で自然妊娠されて、卒業となったのです。当クリニックに来て、4ヶ月での卒業でした。
このような方を経験すると、やはり、不妊治療では、体外受精をおこなっていても、卵管が通っている場合には、治療を体外受精のみに限定するのではなく、少しでも可能性を高めるために、HSGなどの基本的な検査や、性交渉の回数を多くする、なども軽視しないでおこなうことが大切であることを感じるのです。
多くの方が、「自分でできる事はありませんか?」とよく質問されます。これがその最も適当な回答例かもしれません。

2016年1月14日木曜日

AMH<0.1で、同日にAIH妊娠された2例

先日、AMH<0.1にもかかわらず、同じ日にAIH妊娠された方が2例いらっしゃったのでご紹介致します。

1)40歳代前半。前医では不妊治療施設で、採卵を8回試み、胚移植を4回受けていました。
当クリニックに来院したときには、AMH<0.1、FSH=20.34とかなり卵巣機能は低下しており、かつ、
ビタミンDとDHEAsは低く、酸化ストレスも高かったので、アシストワンとDHEAを開始しました。
AIHを今まで一度も受けていなかったので、AIHを施行し2回目で妊娠反応が出ました。
体外受精を受けていても、AIHも決して無駄でないと考えられます。

2)30歳代後半。不妊治療歴なし。
当クリニック受診時には、AMH<0.1でした。FSH=8.57
HSGでは、右卵管閉塞でしたが、HSG施行周期のAIH(1回目)で、妊娠反応が出ました。ビタミンDが低値だったので、アシストワンも使用していました。

お二人とも、まだ妊娠4週で胎嚢や心拍も認めていませんので、妊娠後の経過はわかりません。
しかし、このように、「AMH<0.1では妊娠しにくい」のではないことの一例だと思います。
「AMH<0.1では、体外受精しか方法がない」と決めつけるのではなく、少しでも妊娠の可能性を広げるために、様々な方法を考えてみては如何でしょうか。
AMHは、妊娠しにくいことを示しているのではなく、不妊治療に残されている卵子、時間を示しているのですね。

2016年1月12日火曜日

AMH<0.1、生理65日目の排卵でのAIH妊娠/出産例

先日、AMH<0.1で、FSH=29.21、生理も30~49日と不順な、かなり卵巣機能が低下していたかたが、生理65日目の排卵でのAIHで妊娠・卒業、そして出産されたとのご報告を受けました。
排卵が遅くても、挑戦する意義がある例ですので、皆さんにもご紹介致します。
年齢は30歳代前半。
生理も不順で、ピルで生理をおこしているような状況でした。AMH<0.1、FSHも上昇し、閉経間近のような状態です。
ホルモン検査、卵管造影検査もあきらめずにしっかりとおこないました。DHEAs=90と低下、ビタミンD=15.4と低下、ビタミンC=8.6と低下。
また、BMIは26.6と肥満傾向にあり、糖負荷試験では、インスリンが高いインスリン抵抗性と、血管年齢も52歳と全身状態も問題がありました。
減量に努め(結果的に妊娠までに4kg減量)、糖代謝改善薬のメトグルコも使用。
治療方針は、「1個でも卵胞があれば体外受精」でした。
HMG注射をしたり、プレマリンを使用したりして、卵胞があれば採卵を試みました。
1回目の採卵では変性卵1個のみ。2回目は採卵できず。3回目は1個採卵でき1個胚移植。
4回目の採卵に向けて、卵胞を超音波検査で確認していましたが、50日目まで卵胞がなかなかできずに、64日目で23×19mmの卵胞を見つけました。E2=282、LH=29.9、FSH9.44、P=1.1とホルモン的にはOK.
生理開始64日目にAIHをおこない、妊娠/卒業されました。(さすがに65日目で体外受精は、当方からもなかなかお勧めしにくいのです)
そして、先日、出産されたとの連絡を受けたのです。
この方には、メトグルコ、アシストワン、DHEAを継続して飲んで頂きました。

排卵は生理2週間目頃が理想的であり、排卵が遅れると卵子の質が良くないため、あきらめて何もしないことがあると思います。
しかし、この方はまれな例ではありますが、卵巣機能が悪い場合には、生理開始65日目でも卵胞ができ、ホルモン的にも問題なければ、タイミング、AIH、体外受精に挑戦する意義がある例といえるのではないでしょうか。

体外受精3回受けた後の、AIH妊娠もまだまだあるのです

30歳代前半の方です。
前医で、採卵を3回、胚移植を3回受けていた方です。すべてG4の余り良くない胚ばかりだったようです。
BMIが28.7と肥満傾向でしたので、糖負荷試験をおこないました。その結果、インスリンが高いインスリン抵抗性がありました。糖尿病の2歩手前です。
この方には、糖代謝改善薬のメトグルコを飲んで頂き、AIHもおこないました。
そして4回目のAIHで妊娠/卒業されました。
体外受精での妊娠には、卵子の状態が最も重要です。今回はAIHであり、体外受精ではないので卵子の状態はわかりませんが、肥満や血糖への対策で卵子が良くなったのではないかと考えています。
また、体外受精を受けていても、AIHで妊娠される方も少なくないのです。
肥満傾向の方は、血糖検査(できれば糖負荷試験)も受けて下さい。
不妊治療は体外受精だけではありません。総合的に治療を考えていきたいですね。

乳がん手術後の方からの、出産のご連絡

最近、乳がんの手術後の方が多くなり、妊娠、卒業の方について報告しました。そうした中、先日、乳がんの手術後の方が、出産されたことをご連絡頂いたので、また皆さんにもご報告致します。
この方は、40歳直前の方です。
乳がんの手術は、妊娠される3年前であり、放射線療法も受けていらっしゃいました。
千葉県の他施設で、すでに3回の採卵、6回の胚移植を受けていましたが妊娠されずに当クリニックを受診しました。一通りの検査の後、ロング法で体外受精をおこないました。
17個採卵し、1個の新鮮胚移植では妊娠されませんでしたが、凍結胚盤胞移植1回目で妊娠され、卒業となりました。あと4個胚盤胞が残っています。当クリニックでは、アシストワンを1ヶ月前から服用されていた事のみです。
乳がんの方も、このように無事に出産されている方が増えています。
乳がん検診をしっかり受けることと、早期に手術を受けてしっかりと治療すれば、その後の妊娠/出産も十分可能なのですね。
皆さんも癌検診は、積極的に受けて、そして積極的に治療にも向き合って、そして妊娠/出差へとつないでいきましょう。

2016年1月8日金曜日

2015年の妊娠数(1000例に、もう一歩でした)

2015年の年間妊娠数がまとまりました。

1年間、923例の妊娠数でした。

残念、1000例に到達しませんでした。今年は8月のクリニック移転があり、1週間の休診、その前後での体外受精の中止などが影響したようです。

妊娠の内訳は、

1) AIHの妊娠数  151例   これは今までで最多数の妊娠数です。 体外受精と異なり、すぐにおこなえることから、クリニック休診の影響も受けなかったようです。 累計 1892人の方が妊娠されました。 皆さん、人工授精の実力も見直して下さいね。 「体外受精を始めたら、AIHは意味がない」などと思わずに、体外受精の合間には、AIHもおこなって良いのですよ。少しでも妊娠する可能性を上げるためには、総力戦でいきましょう。

2) ARTの妊娠数 641例  これは今までで2番目の妊娠数です。 累計 4643人の方が妊娠されました。これはクリニック移転時の休診の影響を受けていますね。
ART妊娠の内訳は凍結胚(主に胚盤胞)での妊娠数が 375例と、今まで最多数。 累計でも2382人の方が凍結胚移植で妊娠されました。ART妊娠数でも、累計で凍結胚移植が半数を超えたことになります。 IVF新鮮胚移植では 192例 (2番目)  ICSI 新鮮胚移植 74例 (6番目) でした。やはり、凍結胚移植妊娠が増えてきています。 今後も、卵子数が15個以上の多い方や、エストラジオールが高い方、を中心に、積極的に凍結していくことになると予想されます。

さて、クリニックも移転し、新しくなりました。このメリットを今年は十分に発揮して、より多くの方と,妊娠の喜びを共有したいと思います。
皆さん、ともにがんばっていきましょう。

2016年1月7日木曜日

2016年最初の大入り袋(久しぶりの妊娠10人越え)

今年も4日から診療を開始しました。
気持ちも新たに、皆さんの妊娠の喜びを共有できるように、またがんばっていきたいと思います。

今回は、うれしい一日の報告です。
先日、久しぶりに1日10例を超える、11人の方が妊娠されました。
職員のみんなにも、大入り袋が久しぶりに配布されました。高橋ウイメンズクリニックでは、1日の妊娠者数が10人に達すると、大入り袋を職員全員に配ることにしているのです。
職員も、やはり多くの方が妊娠されると、一緒に喜んでくれるのです。妊娠される方が増えると、職場の雰囲気も、(私の機嫌も)どんどん良くなるのですね。
私自身の幸福感のため(単に自分のためだけの医者か???)にも、またがんばるぞ~~~。
、、、、、、、、今年初めての「ぼけ突っ込みでした」


2016年1月5日火曜日

2016年ご挨拶

2016年、明けましておめでとうございます。
皆様は年の初めをどのようにお過ごしでしょうか?
高橋ウイメンズクリニックは昨年8月に移転し、新たな施設で診療を始めました。
新しいクリニックは、広くなり働きやすくなったと思うのですが、様々な問題も頻発します。
やはり、改めて考えるのは、「最も大切なものはヒトである」ということです。
その中で、当クリニックの現在の 受付/事務、 ナース、 胚培養士、 保母さん、 管理栄養士、
臨床心理カウンセラー、 総務/秘書部門、などの職員は、皆さんに誇れるラインナップです。
様々な問題に対して、積極的に対応し、解決しています。
新クリニックでの成績も、今年は胸を張ってご紹介できるようになると確信しております。

今年は、今まで以上にアンチエイジング技術を生殖医療に応用したいと思います。
様々な検討を皆様にご提案致しますので、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

移転後、特に再認識したのですが、妊娠例が出ると私はすごくうれしいのです。そして忙しくても疲れず、より仕事に没頭できます。一方、妊娠例が少ないと、非常につらく、元気も出ないのですね。
あまりにも単純な自分に、時に嫌悪することにもなるのですが、皆さんの妊娠が、私の幸福感やパワーの源なのです。

さて、今年も
ひとりでも多くの方が妊娠されるように、
皆さん!今年も一緒にがんばっていきましょう。
これが私の第一の欲求でもあるのです。


クリニックでは、職員の手作りのミニ門松で、皆様をお迎え致します。
皆様にも、今年が良い年でありますように!!