2013年3月31日日曜日

2013年3月の妊娠数(速報)と1万例までもう少し。

2013年3月の妊娠数の速報です。
妊娠数は86例でした。妊娠数は先月の83例をこえており好調を持続しています。
このうち、体外受精・顕微授精・凍結胚移植の妊娠数は70例(81%)でした。
まずは年間800例を目指したいと思います。

1999年の開業以来、この4月で14周年です。
皆様にはクリニックをご利用頂き、心より感謝申し上げます。
開業以来の妊娠総数は、3月で9637例になりました。
10,000例まであと少しです。数が問題ではないのですが、これも一つの目標と考えて、少しでも多くの方によい結果が出るように職員と共にがんばっていきたいと思います。

46歳、AMH0.1未満、体外受精での妊娠経過報告、記録更新の期待

先日、AMH<0.1、採卵挑戦12回目、胚移植5回目の方が、46歳で妊娠反応が出たことをご報告しましたが、現在妊娠6週で胎児心拍が認められました。
出産時は46歳であり、出産となれば当クリニックの記録更新になります。出産まではまだまだ長い道のりで、様々な困難があると思いますが、今後も順調に経過して元気のお子さんが誕生されることを心よりお祈りしています。(ここまで来ますと、産婦人科医も祈りの世界なのです)

今回はクロミフェンーHMGの体外受精で、3個採卵1個のみ正常受精、1個胚移植(2日目の初期胚移植)でした。過去には自然周期で2回、クロミフェン単独周期で3回のキャンセルなどがあり、今回は5回目の胚移植でした。
先日、他院で「AMH<0.1だから妊娠は無理と言われた」との相談がありましたが、このブログを見ている方は、AMH<0.1でも少なからぬ方が妊娠されているのはご存じだと思います。AMHのみを信奉する必要はありませんね。
人間の体は「すべて同じ、いつも同じ」ではありません。医療現場では、検査結果で割り切れないことはしばしばあるのです。人間の体が検査結果通りならば我々も悩みません。今回の方の妊娠は大きな希望をもたらす事です。一方、皆さんには、医療現場の難しさや苦悩もご理解頂きたいと思います。

2013年3月22日金曜日

鉄分の取り方  「大丈夫ですか?」は難しい

最近、二人の方から、「ヘム鉄をとっていますが大丈夫でしょうか」との質問がありました。
これは二つの問題を含んでいます。

(Ⅰ)鉄/鉄剤について
ヘム鉄は、動物の血液などから作られるもので、ヘム鉄以外の非ヘム鉄(クエン酸鉄、ピロリン酸鉄など)よりも5~6倍吸収率が高い。胸焼け、胃炎、便秘、下痢など、がおこりにくい。一方、コストが高い、などがあります。
 鉄イオンはフリーラジカルの産生を促進して、細胞を障害します。つまり鉄は生体には有害であるので、鉄の取り過ぎは避ける方が良いのです。ただし、不足すると鉄欠乏性貧血になるので、適度必要なのです。多すぎると肝臓に鉄がたまりすぎて、肝機能障害をおこします。
 したがって、検査もせずにヘム鉄をずっと使用するのは、(サプリメント程度の量ならば問題ないとは思いますが)、むしろ健康を害することもあり得るのです。

鉄剤の投与は、
1)血液検査(血算とフェリチン)を検査して、鉄欠乏性貧血の方
2)強い貧血には、医薬品の鉄剤を使用

したがって、サプリメントのヘム鉄を使用する場合とは、
3)軽度の貧血(ヘモグロビンが10以上)や、胃炎や便秘・下痢になる方
 が対象となるでしょう。

ヘム鉄・鉄剤の使用は、検査を受けてから使用しましょう。


Ⅱ)次に「このサプリは大丈夫でしょうか?」との質問は、実際にはかなり難しい質問なのです。
 サプリメントは「薬」ではなく「機能・健康 食品」なので、特にしっかりとした基準がなく、品質の保証はありません。
 医薬品の本にも載っておりませんし、安全性の検査も保証もないのです。
 したがって、ご自身で購入されたサプリメントはご自身の判断・責任の下に使用されるものであり、医学データもないので、医師も責任や保証は出来ないのです。

葉酸は皆さん摂っていますか。赤ちゃんの中枢神経系の奇形(無脳児・二分脊椎)防止に妊娠前から摂る必要がありますよ。通常の食事では不足するので、1日400㎍は摂って下さいね。当クリニックでは、製薬会社の作っているサプリメントを比較的お勧めしています。



2013年3月20日水曜日

顕微授精への不安。男の子が多いの?インターネットでの情報の取り扱いとは、、、

患者さんから、「顕微授精では男の子が多く生まれるのですか?」と不安そうに聞かれました。インターネットで調べて、そのような情報を見つけたとのことでした。
このことは、いくつかの問題が絡んでいます。

1)そもそも自然妊娠では男児の方が多く生まれます。目安としては、男児が52%、女児は48%程度です。
2)医学論文は数多くあり、その対象人数、国、などにより、ばらつきはあります。男女比についても、体外受精、顕微授精で、男児が多い論文、女児が多い論文、両方の論文が様々あるのです。一つの論文の結論をそのまま鵜呑みには出来ないのです。
3)インターネットの情報は正確とは言えません。情報発信者は、出来るだけ注目を集めたいために、センセーショナルな表現をとる傾向にあります。インターネットでは、「このような場合は安心」のような情報はほとんどありません。したがって多くの場合、インターネットで調べれば調べるほど不安になるのです。インターネットの情報をそのまますべて鵜呑みにすることは避ける方が良いでしょう。皆さん、まずは、ご自身の主治医の先生を信頼してみては如何でしょうか。(ただし、こう書くと、ネットで自分のしていることを自己否定しているような事になってしまいますね)
4)顕微授精での重要な情報は、
①顕微授精では、通常の妊娠や体外受精に比較して、「奇形や染色体異常が1.2~1.5倍程度に上昇」しますが、「1%が1.5%に上昇する」程度であり、あまり心配する必要はないこと。
②顕微授精では妊娠率は上昇しない。体外受精と比較すると妊娠率は2~3%低下する。したがって顕微授精の方が妊娠率が高いと考えるのは正しくはないこと。顕微授精は受精させる技術であり、妊娠率を上げる技術ではないこと。
③顕微授精の歴史は30年程度であり、それ以上の長期的な安全性のヒトのデータは存在しないこと、
④採卵数が少ないとの理由では、顕微授精をしても受精率や妊娠率が上がる明確なデータはない。
などです。
結論としては、顕微授精にはあまり心配はいりませんよ。ただし、顕微授精は受精障害がある方が対象なのですね。
みなさんご存じだとは思いますが、インターネットでの情報は様々な事を容易に得ることが出来ますが、信頼できるかどうかはしっかりと吟味する必要があることを再度ご確認下さい。

2013年3月18日月曜日

JISART認定審査研修会とビジュアル系?婦人科医の顛末

本日、JISARTの認定審査講習会が開かれました。
JISARTについては皆さんご存じでしょうか?
日本生殖補助医療標準機関のことで、日本の生殖医療の質を向上させ、患者様に安心して満足できる生殖補助医療を受けていただく事を目的として結成された団体です。
日本には現在25施設が参加しており、当クリニックも会員ですが、認定施設になるには多くの項目の基準をクリアすることが必要なのです。なかなかこれが厳しいので、職員も全力で対応する必要があり、審査を受ける準備も大変ですが、皆さんに提供する医療技術の向上を目指してがんばるぞ~。

講習会後のランチミーティングでは、参加職員を前に、認定審査に向けての決意を語ったのですが、「ビジュアル系?婦人科医」を目指す私に、妻からは「エアー婦人科医にならないようにね。」との、優しい?突っ込みが、、、
あたしゃ、ゴールデンボンバー 多華葉志 警医知?か、、、

あ~れ~、 ビジュアル違い?で、目指すものからどんどん離れていく~~

落ちがよろしいようで。本日はここまで!

2013年3月16日土曜日

46歳の体外受精妊娠例(記録の更新と更なる葛藤)

シーズン記録更新となる、46歳の方が体外受精で妊娠反応がでました。
非常にうれしい結果であり、年明けの様々な改良・改善の効果が現れているのかもしれません。
まだ妊娠反応が出たばかりですが、今後の良好な経過を願うばかりです。
この方は、44歳から体外受精を開始し、採卵挑戦12回目、胚移植5回目での妊娠でした。
今回はクロミフェン-HMGで3個の採卵、1個のみ正常受精で、採卵2日目に1個胚移植し妊娠反応が陽性となったのです。DHEAは使用していました。

この方の卵巣機能はAMH<0.1であり低下状態でした。この方には、8回目の採卵施行後、胚移植出来なかったときには、昨年には「限界である」ことのお話をすでにしていたのです。その方が今回妊娠されたのです。
43歳以上の方のデータを示せば、妊娠の可能性がかなり低いことの説明は出来るでしょう。しかし、今年に入って、高齢の方の妊娠例を目にすると、個々人に対しては「限界である」との説明をすることは困難であると最近感じています。
治療の限界については、単純に、年齢のみ、AMHのみでは決められません。新しい基準の検討が必要でしょう。更なる葛藤が始まりました。皆さんも一緒に考えてみて下さい。



2013年3月14日木曜日

体外受精13回目の妊娠例・喜びと葛藤(治療終了の判断の難しさ)

先日、43歳の方が通算13回目の体外受精(顕微授精)で妊娠され、心拍が認められました。非常にうれしい妊娠であり、良好な妊娠経過を切に願うのみです。

この方の妊娠は、同時に不妊治療の終了の判断の難しさを浮き彫りにします。
この方は、前医で4回の体外受精を受けて妊娠せず、40歳から当クリニックでの治療を開始しました。
当クリニックでも、顕微授精を繰り返すことになりました。主にクロミフェン、クロミフェンーHMGで排卵誘発し、1~4個の採卵数、ほぼ半数は変性卵や未熟卵を認めました。通算8回目の採卵周期に科学的妊娠となりましたが、12回は臨床的妊娠はしなかったのです。昨年8月にはAMH<0.1と低下し、卵巣機能も非常に悪い状況でした。
ご本人の希望もあり、治療を継続していましたが、一般的にはこれほどの回数はあまりおこなわずに、治療の終了をお話しすることが多いでしょう。実際のデータでは、体外受精でも5~6回受けて妊娠しない場合には、それ以降に妊娠する可能性は極端に低くなるので、5~6回を目安に治療の終了についてお話しすることが一般的とされています。
しかし、今回のように13回目で妊娠、心拍を認めた例を見ると、いつ治療の終了を提案するか、医師もまた悩んでしまうのです。治療を受けている皆さんにとっても、この方の妊娠は、元気づけられる良い知らせであり、同時にまた決断に迷う面もあり得るのではないでしょうか。

不妊治療の現場では、治療法の選択に、その方の考え方が大きく影響しており、患者さんも医師も迷うことばかりなのです。

なお、今回13回目は、クロミフェンHMG誘発で3個採卵、1個は変性、1個はGV期で未熟、1個にICSIし、3日目に10細胞3bで胚移植しています。酸化ストレスも強度だったのでサプリメントは、DHEA、マルチビタミン、CoQ10、Lカルニチンでした。

先日、この方は妊娠7週で心拍を認め、無事卒業されました。


2013年3月13日水曜日

不思議な話。子供の予言?(テレパシー?)

先日、患者さんから不思議な話を聞きました。
3歳ぐらいのお子さんがいらっしゃる40歳位の方ですが、今回2回目の体外受精(自然周期)で妊娠反応が出ました。
前回の体外受精の判定の日(その時の妊娠判定は陰性)に、お子さんに「赤ちゃんが出来ているといいね」と話しかけると、お子さんは「赤ちゃんはお空にいっちゃったよ」というような答えをされたそうです。
今回の体外受精の妊娠判定の朝に、お子さんに同じように「赤ちゃんが出来ているといいね」と話しかけると、今回は「赤ちゃんは今おなかにいるよ」と答えたそうです。
今回のクリニックでの妊娠判定で、陽性であることを告げると、その方はとても驚かれ、「鳥肌が立ちました」と、上のお子さんの話を聞かせて下さいました。
科学者の端くれである(かもしれない、かな~?)医師としては、「偶然かな~?」と思いながらも、そのようなことも信じてしまいたくなるようなお話でした。
医学という科学分野の一つの領域ですが、信じたくなるような(非科学的?な)話があっても、一概に否定はせずに、生命へのロマンや不思議さ、畏敬の念を感じても良いかな、と少し気分が良くなりました。
妊娠反応が出ないと落ち込む毎日ですが、明日からも、もう少しがんばってみようかな、と思います。
その後、この方は胎嚢が確認されました。

数日前に来院されましたが、退治の心拍を認めました。お兄ちゃんは、「赤ちゃんは一人で、おなかにいるよ」と話していたそうです。お母さんも、むしろお兄ちゃんに質問するのが怖くて不安になっているそうです。不思議な話が続いていますが、1週間後まで私も良い経過であることを祈っています。


2013年3月11日月曜日

卵子の老化と酸化ストレス(受精着床学会ART生涯研修コースに参加してきました報告

本日、日本受精着床学会のART生涯研修コース(講習会)に参加してまいりました。
今回のテーマの一つは、「卵子の老化と酸化ストレス、ミトコンドリア」でした。
これは非常に興味のある内容であり、現在当クリニックでも力を入れているテーマです。
酸化ストレスと卵子の老化、ミトコンドリアとの関係、ビタミン剤などのサプリメントの可能性、などについて基礎的、実験的な情報が満載でした。
是非、4月には皆さんにも具体的なご紹介と、実践を試みたいと思います。その際には、是非ご協力をお願い致します。
なお、参加した証拠を、スマートフォンで撮影しました。
初めて、写真をブログにアップ致します。成長しているでしょう。
目指せ!ビジュアル系(何の意味がよく分からない??)婦人科医なんちって

2013年3月10日日曜日

プロの仕事と医師の成長(寿司屋での話)

昨日、クリニックをお手伝い下さっている医師と、道場の寿司屋さんに食事に行きました。

この寿司屋さんは、特にメニューがなく、毎回、食べたことのないようなものを出してくれます。
単に活きの良い魚介類を出すだけではなく、多くの種類のものを、一品一品に手をかけたものを出してくれます。千葉市内では最高の寿司屋かもしれません。
この店主は、非常に勉強家で、工夫する技術者でもあります。一流のプロの仕事とはこのようなものなのだろうと、感心しながらワインを飲みつつ(寿司にワインが良くあったのです)おなかいっぱいに頂きました。

「医師が自分の成長を感じるときとは」
卒業後およそ5年間はすべてが新しく勉強する経験ですから、自分の成長を容易に実感できるのです。
しかし、5年を過ぎて、ルーチンワークが一通り出来る様になると、しばしば、自分の成長があまり実感できなくなってしまいます。勤務場所が変わったり、仕事の内容が変わることで、成長が実感できることがしばしばあるのです。
自分の事を考えると、一流になるには、同じ事をしているだけでは不十分であり、常に新しいことに積極的に挑戦し、社会の要請に対応していかなければならないと考えました。
様々な「引き出し」を多く持てるようにがんばりたいと考えています。

クリニックを支えて下さっている医師の先生方は、非常に信頼の置ける方々であり、私はとても幸運なのですね。
私にも、まだ成長できる可能性があるのでしょうか。もがきながら進めていければ、と思います。


風疹の取り扱い

最近、風疹が流行しており、いくつかの問題点がおきています。
1)風疹抗体(HI法)で、抗体があっても、16倍以下の場合には、抵抗体価であり、再感染もありうるので、(非妊娠時に)風疹ワクチン接種を推奨しています。
2)風疹ワクチン接種後2ヶ月は避妊が必要ですが、もし万一妊娠しても、今までに問題はなく、中絶の必要性はないようです。
3)風疹抗体検査の増加に伴い、通常おこなわれているHI抗体法の供給が不足しており、EIA法による検査がおこなわれることがあります。
HI法での16倍以下の、EIA法での値は8.0(EIA価)未満が、ワクチンが必要であると判断されます。
4)HI法16倍以下、EIA法8未満の妊婦さんは
  ①人混みを避ける   風疹感染者のいる場所を避ける
 
  ②夫、子供には、ワクチン接種をする
  ③分娩後には、早期にワクチンを接種する


厚労省ホームページより

1.先天性風疹症候群の予防のためには、風しんに感染する危険性がある妊婦(風しん抗体価が低値)の周囲の人たちが風疹にり患しないことが重要であり、その意味から夫や家族の風疹ワクチン接種が望まれます。皆様の施設で外来待合室などに掲示して頂く、一般妊婦とその家族向け「風しんワクチン接種」啓発ポスターは、以下の厚労省ホームページよりダウンロードできます。ぜひご活用ください。http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/

2.風しんHI抗体検査できなくなる可能性が危惧されています。実際にHI検査が不可能となった場合は、EIA法による風しん抗体測定を行うことになります。
その場合のHI抗体価とEIA地の換算方法、EIA法の測定値に基づいた実際の具体的対応に関しては、医会ホームページ内「風しん抗体検査(HI抗体)供給不足に関する緊急通知」(PDFファイル)の中で、「風しんHI抗体価とEIA価の換算方法について」に見やすく記載してあります。
http://www.jaog.or.jp/medical/document/mhlw_2013_03_06_rubella_HI_2.pdf


2013年3月9日土曜日

2月妊娠数、怒濤の妊娠ラッシュ?(かも)

2月の妊娠数が確定しました。今年の好調な成績が持続しており、83名の方が妊娠されました。

体外受精で25名、顕微授精で8名、凍結胚移植で28名、AIHで9名、その他12名でした。
妊娠の73%が体外受精関連で妊娠され、一般不妊治療での妊娠が1/4でした。
徐々に、体外受精を必要とする方が増えています。

体外受精関連の妊娠の内訳では、
顕微授精よりも体外受精が多く妊娠されています。ちなみに、少なからずの方が誤解されていますが、顕微授精よりも体外受精の方が2~3%妊娠率が高いのです。顕微授精の方が技術が高いので妊娠率が高いと誤解されているようですが、顕微授精は受精させる技術であり、妊娠率をあげる技術ではありません。ご注意下さい。
最近は凍結胚移植での妊娠率が高くなっており、ほぼ半数が凍結胚移植での妊娠です。日本全体でも、凍結胚移植数の方が半数以上を占めてきました。
日本の凍結技術は世界一ですが、世界でも徐々に凍結胚移植の妊娠数が増加しているようです。


2013年3月8日金曜日

45歳の自然妊娠

先日、45歳の方が自然妊娠されました。
当クリニックで2回の体外受精をされましたが妊娠せず、3回目を計画していた矢先のことです。
過去のデータを詳しく調べないと明確には判りませんが、当クリニックで最高齢の自然妊娠かもしれません。
現在、妊娠7週で、心拍が確認されました。今後良い経過であることを祈りたいものです。
皆さん、性交渉を沢山持ちましょう!!!

1個の胚移植で、2卵性の双子??

先日、1個の胚盤胞移植で、双胎妊娠を経験しました。胚盤胞移植は1卵性多胎の発生率が高いとされています。1個の胚盤胞移植で、1卵性の多胎は1%程度に発生します。当クリニックでも2年に1回程度は、1個の胚盤胞移植での多胎妊娠がおこっております。

今回は、胎嚢が2個あり、1個の胚盤胞移植による2卵性双胎?である可能性がある方です。
実は、過去にも、1個の胚盤胞移植で、男児と女児が出生された経験があります。皆さん不思議だとは思いませんか?1卵性ならば同じ性であるはずですね。1卵性で性が異なるとは普通に考えると、あり得ないことですね。
しかし、現実の医療では、このようなことがあり得るのです。

実は、
妊娠した赤ちゃん一人は、凍結胚移植して妊娠した赤ちゃんです。
もう一人は、その周期が自然周期の場合に、排卵時期に性交渉があった場合、その排卵された卵子で妊娠した(と考えられる)赤ちゃんなのです。
今回の方も、自然周期の胚移植であり、卵胞発育も確認されていました。卵管も通っている方でした。当クリニックでは、体外受精を受ける方にも、卵管造影検査をおこなっているので、このようなことが、(他施設よりも多いかどうかはわかりませんが)おこるのかもしれません。(別の視点で言えば、卵管造影検査で体外受精予定の方でもしばしば妊娠する可能性があるのかも)
このような場合には、「1個の凍結胚移植による妊娠」で、男児と女児が生まれることがあり得るのです。

生命の不思議さ?、自然の不思議さ?を皆さん感じませんか?

2013年3月2日土曜日

抗精子抗体(精子不動化抗体)陽性での自然妊娠例

皆さんは、抗精子抗体(精子不動化抗体)が陽性の場合には、自然妊娠や人工授精での妊娠は不可能で、体外受精しかないとお考えでないでしょうか。
一般的には、その考えで間違いではありません。しかし、抗体は、その量・強さに変動があり、一定ではないのです。
したがって、高値体価が低いときには、自然妊娠や人工受精での妊娠もあり得るのです。
今回の方は、40歳、精子不動化抗体の抗体価は3.1と、低値~中等の値でした。子宮内膜ポリープもあったので、ポリープを切除し、卵管造影検査もおこなっていました。AMHは0.28と低く、条件も良くはなかったのですが、自然妊娠されたのです。
今回は7週まで心拍を認めたものの、残念ながら9週で流産という結果でした。

「抗精子抗体陽性=体外受精」は間違いではないのですが、今回のように自然妊娠する可能性もあることを皆さんにご紹介致します。

2013年3月1日金曜日

44歳の妊娠例(今年のシーズン記録)

今回、44歳の方が妊娠されました。今年のシーズン記録です。
当クリニックの妊娠出産の記録は、44歳妊娠45歳出産です。
昨年も44歳の方が妊娠されて今年45歳で出産されました。
この方は現在、妊娠初期で心拍も確認されており、今年出産予定ですが、出産されれば、1年間に2人の45歳の方が出産されることになり、開院以来、いまだない吉事となります。是非とも無事に出産されるようお祈りしております。
この方の排卵誘発は、HMGアンタゴニスト法で、今回4回目の採卵であり、9個採卵、顕微授精、新鮮胚盤胞移植での妊娠です。
補助治療として、ラエンネック(プラセンタ)の点滴は週2回、サンビーマー、メラトニン、DHEAなどのアンチエイジング医療も併用しました。これらも効果があったのかと(いつも自分の都合の良いように)考えております。
今年は年初から、例年以上に良い結果が得られている気配です。この状態が続くように、またがんばっていきます。
どうも最近は硬い文章しか書けません。少しは砕けた話題も探してみましょう。