2012年8月30日木曜日

受精着床学会報告(2)低刺激かHMG注射か?

皆さん。ご心配かけました。
何とか受精着床学会の司会に間に合いました。15分前の学会場到着でしたが、何とか役割は務められました。

さて、肝心の発表内容ですが、不妊治療が新しいステージに入ってきたような印象を受けました。
まだまだ不妊治療でおこなえることはたくさんあります。

「成功率の高いART治療とは」シンポジウムで、
効果的な卵巣刺激とは?
セントマザー産婦人科医院の田中 温先生が、JISART各施設での共同検討での成績を発表されました。
今回は、低刺激法(クロミフェンのみか、クロミフェン+HMG隔日投与)
と調節刺激法(ロング法、ショート法、アンタゴニスト法)を
35歳未満の低年齢層と、35~39歳までの中年齢層の2群で比較しました。

中年齢での妊娠成績は、低刺激群で10.3%(10/97)対、調節刺激群で34.2%(52/152)であり、調節刺激群(つまりHMG注射での排卵誘発)群が3倍程度妊娠率が高かったとの報告でした。

低年齢層での妊娠成績は、低刺激22.7%対、調節刺激群34.9%と、調節刺激群が高いものの統計的には有意差はありませんでした。

これらからの結論としては、
1)35歳未満の若い方には、低刺激でもHMG注射での排卵誘発でも、どちらでも良好な成績が期待できるかも。(症例数が増えれば有意差がでる可能性はあり)
2)35~39歳までの方には、HMG注射での排卵誘発が、成績が良い。

3)ただし、40歳以上の方の検討はしていない。(おそらく卵巣機能の低下により、必然的に低刺激法が多くなっているのが実情でしょう。)

もうすぐ東京駅です。本日はここまでです。また明日以降報告致します。

受精着床学会参加報告(1) 朝からてんやわんや

本日より、日本受精着床学会が始まります。
今回の受精着床学会は、アジア太平洋生殖医学会(ASPIRF2012)との共同開催もあるのか、受着学会の内容は前年にもまして非常に興味が持てて有用な内容が目白押しです。皆さんにもいくつかの報告を致します。
ところで、私の司会セッションは10時からの予定ですが、朝の始発の新幹線に乗り遅れ、後発の「のぞみ」に何とか「のぞみ」を託して乗り込み、間に合ってくれることを祈りながらのブログです。少しでもトラブルがあれば司会遅刻です。知り合いの先生方にご迷惑をかけることだけは避けたい。間に合ってくれ~。
事情を説明するならば、学会に参加するには様々な準備が必要なのです。昨日(今朝)は1時半までかかって雑用を済ませ、留守の先生方のために机の周りのゴミ?(高橋は宝の山と言っているのですが)を(少し)かたづけるなど、大変なのです。朝4時半にはおきる必要があったのですが、2個の目覚まし時計の音には全く反応せず(鳴った記憶が全くありません)、愛妻?????の声にはすぐに反応して飛び起きて、駅へと駆け込んだのでした。
学会の報告は、抄録集も見ながら次回より致します。
もうすぐ京都駅です。

2012年8月23日木曜日

国際学会の恐怖と帰国してからの英会話学校ワイルド~

8月30日には、大阪で受精着床学会、9月1,2日には、アジア太平洋生殖国際学会(ASPIRE)が開催されますので、参加して様々な情報を収集して、皆さんに還元致します。
幸か(不幸か)受精着床学会でもAPSIREでも、1セッションの司会を任されているのです。受精着床学会ではカウンセリングのセッションを、ASPIREでは、胚の成長過程のセッションを担当します。
問題は、国際学会の司会を、英語でしなければならないことです。半数以上が日本人だと思いますが、日本人の前で英語を話すことの辛さ・恐怖をご理解頂けますでしょうか?英語が必ずしも得意でない人間には、外人(だけ)と英語で話すことはそれほど恐怖ではないのですが、日本人のまえで英語を話すのは非常に恐怖なのです。
アメリカのシアトル近辺で、「職場の周辺の人は、留学から帰国してきた人間は英語がべらべらだから、外人の相手(患者)はすべて回してくる。(1年程度で英会話がべらべらになるわけないのです。実際には頭の中はべろんべろんです。)だから、帰国したら真剣に英会話学校にいかなくてはならない」というジョークが、現地の日本人の中でひととき流行したそうです。
実はこのジョークは、私がシアトルにいたときに「真剣に」「ジョークなどとは思わずに」「受けを狙わずに」友人に話したことだったと自分では思っています。
高橋のワシントン大学留学の主だった成果は、このジョークのみだったのか???
少しはクラミジアの研究もしたんだけどな~!ワイルドだぜ~!

不妊治療2012、学会参加の意義

このところ様々な用事が重なり、アップできませんで、久しぶりのブログです。
8月18日と19日に、横浜で「不妊治療2012」というセミナーに参加してきました。今回も非常にインパクトのある内容でした。
不妊治療の最近の流れや習慣流産(検査と治療)、排卵誘発、着床障害(子宮内膜の改善法)、アンチミューラリアンホルモン(考え方と利用法)などのテーマでの講演がありましたが、このようなセミナーに出ると非常に元気がわきます。まだまだ不妊治療でおこなえることがあるのですね。
皆さんにもできるだけ早く、勉強会で仕入れたものを提供していきたいと思います。
これを機会に、9月ぐらいより、高橋ウイメンズクリニックのレベルアップした不妊治療を提供したいと思います。

AMH<0.1、FSH>30でも5個採卵できた方

1ヶ月の空白期間でした。酷暑の毎日が続きますが、皆さんお変わりありませんでしょうか。
この1ヶ月は夏休みのはずなのですが、日々の用事に追われ、ブログも書けずに1ヶ月があっという間に過ぎてしまいました。
また、様々な情報をお伝え致します。
今回ご紹介は、40歳の方です。
生理が不順で、AMH<0.1、FSH>30を示した方です。
初回の体外受精ではショート法で、卵胞発育不十分でキャンセル。
2回目の体外受精は自然周期で1個採卵胚移植。3回目は排卵後でキャンセル。
4回目はHMG法でなんと5個採卵、2個胚移植で妊娠しないものの、1個胚盤胞凍結。
という結果でした。
まだ成功されているわけではありません。しかし、AMH<0.1、FSH>30はほぼ閉経に近いと考えられますが、DHEAとビタミン剤などの強力な補充、ウォーキングなどの循環改善策(と勝手に考えています)により、今回5個も採卵できたことは多くの方が勇気を得られる事かもしれませんので、今回報告致します。
1例のみでは偶然おきたことかもしれませんが、AMH<0.1、FSH>30であっても、すぐに諦めるのではなく、このような方法を試みても良いのではないでしょうか。
今後残っている凍結胚移植で、良い結果が得られた場合にはまた皆さんにご報告致します。