2011年12月12日月曜日

体外受精の最新全国成績(2009年)

12月9日におこなわれた生殖医療専門医講習会では、最新の2009年の全国データ集計の説明がありました。
1)体外受精の妊娠率は3%程度、顕微授精より高い。(顕微授精はあくまで受精を補助するものであり、妊娠率を上昇させるものではありません)
2)生殖補助技術(ART)での出生児数は約2万6千人であった。
3)凍結融解胚移植による出生児数は、採卵周期(体外受精・顕微授精)の胚移植での出生数の1.5倍であり、凍結胚移植による出生児数がはるかに多かった。
4)排卵刺激方法は、スプレー(ロング法、ショート法)による治療割合が31%、アンタゴニスト法は17%、クロミフェン+FSHが18%、クロミフェン単独が16%、自然周期は9%だった。
5)刺激方法別の妊娠率は、GnRHアゴニスト法(ロング法・ショート法)の移植あたり約25%、採卵あたり約20%、治療あたり約19%と最も高かった。アンタゴニスト法は、3~4%前者より低かった。
6)自然周期の妊娠率は、移植あたり約25%と高かったが、採卵あたり約10%、治療あたり約6%だった。(自然周期では、胚移植までいけば高い妊娠率を期待できるが、治療途中で60%程度がキャンセルになるので、採卵あたり10%の妊娠率が実感に近いと思います。)
7)45才以上で出産まで可能なのは、ほぼ0に近かった。妊娠率は1~2%であり、妊娠しても70%程度は流産した。(45才以上での体外受精はあまりお勧めできません)
8)凍結胚移植での出生児は、低体重、周産期死亡率、先天異常など、新鮮胚移植と比べてもむしろやや低く、特に凍結胚移植の不利益なデータはなかった。
 今後は凍結胚移植がより増加していくと考えられます。女性の年齢が37~38才を超えると急速に妊娠成績が低下するので、37才以上の方は早期の体外受精を考える方がよいかもしれません。

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