2012年4月12日木曜日

体外受精における多数採卵のメリットの1例

最近、体外受精において、HMG誘発で多数の卵子を採取するメリットを感じた例がありましたので、皆さんにも参考になると思い、ご紹介致します。
患者さんは40才を超える方です。ご主人の体外受精へのご了承が得られず、ご本人の希望もありAIHを20回以上おこなっていました。今回、やっとご了解が得られ、初めての体外受精をおこなえたのです。幸いに多くの卵子が得られ、最終的に5個の凍結胚も得られました。
この方は、1回目の凍結胚移植で妊娠し卒業されましたが、無事元気なお子さんが誕生されることを心よりお祈り致します。
ところで、この方にはまだあと4個の胚が凍結保存されています。この方は、お子さんが誕生された後にも、二人目を妊娠/出産する可能性が十分残っていると思います。
これが、もし少数の卵子採取で、凍結胚が残っていない場合にはどうなるでしょうか?この方が無事、妊娠、出産したとしても、出産まで1年、授乳していれば、二人目の不妊治療はおよそ2年後になります。この場合、年齢的には二人目の妊娠はかなり困難な状況になってしまうでしょう。
特に、卵巣機能が低下気味であり、年齢が比較的高い方は、できるだけ若いときの卵子を採取して、できるだけ若いときの凍結胚を保存するほうが、二人目のお子さんを得られる可能性はぐっと高くなります。高齢になればなるほど、妊娠率は低下し、流産率は上昇し、染色体異常の率も上昇するのです。
以前は、「体外受精で一人授かれば十分」と考えられてきたのかもしれませんが、二人目、三人目を考えるとき、1人1人採卵・妊娠・出産するよりも、できるだけ若いときの胚を保存する方がメリットがずっと多いのではないか、とこの方の経過を振り返って見て考えました。
多数の採卵がすべてに於いて良いとは考えませんが、少数の卵子採卵がすべてにおいて良いとも限らないでしょう。皆さんの選択肢を広げる参考になれば幸いです。
皆さんご自身は如何お考えでしょうか。

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