2012年7月17日火曜日

禁欲期間と精子の質

本日は、禁欲期間と精子の質について、ある文献を目にしましたので、お伝え致します。
当クリニックでは、従来より、「性交渉は多ければ多いほど妊娠率が高い。実際には毎日性交渉があるカップルが最も妊娠率が高い。」と、お話をしています。「性交渉交渉も持ちすぎると、精子が薄くなって妊娠率が下がる。」のは間違いであり、むしろ「古い精子などためておいても妊娠率は上がらない。」と考えて頂いた方が良いのです。「精子の濃さ」と「妊娠しやすさ」を単純に比例すると考えるのは間違いなのです。
今回の論文は、この考えを支持する結果でした。
内容は、以下のごとくです。

禁欲期間が短いほうが精子のDNA損傷率が低くなる


男性の禁欲期間が短く、選別した精子のほうが、DNA損傷率が低いことを、スペインのグループが報告しました。
96時間(4日間)の禁欲の後と、その後24時間毎に射精した96時間後のDNA損傷率を比較した。
96時間の禁欲後の平均の精子DNA損傷率は22.2%であったのに対して、24時間毎に射精した96時間後は17.0%と、DNA損傷率が25%低下した。

また、密度勾配法(パーコール法:当クリニックでも採用)で選別した精子では、96時間の禁欲の後よりも、その3時間後に射精したほうが48%もDNA損傷率が低下していた。

男性の禁欲期間が短く、そして、密度勾配遠心分離法によって選別した精子のほうがDNA損傷率が低いことがわかりました。

従来、自然妊娠でも、人工授精や体外受精に用いる場合でも、3~4日くらいの禁欲期間を設けるほうが妊娠に有利であるとしばしば聞きますが、禁欲期間が短いほうがDNAの損傷率が低いこと、人工授精でも洗浄・分離した方良いことがこの研究でも示されました。
皆さん、性交渉はどんどん持って頂く方が、精子も良いのですよ。禁欲期間は特にいらないのです。

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