2013年6月2日日曜日

人工授精で伝えたい短編

人工授精で皆さんに伝えたいことを簡単にまとめました。

ご参考になれば幸いです。

1)人工授精の効果(5~6回まで)と限界(40歳まで)
 人工授精は有効な不妊治療の一手段です。妊娠率は30歳代で約10%ですが、効果は5~6回までとお考え下さい。同じ治療法をおこなっても、それ以上では妊娠率はかなり低くなります。ただし、自然周期、クロミフェン、HMG注射と、排卵誘発により妊娠率は高くなりますので、排卵誘発してのステップアップは有効です。
 一方、40歳以上の方の妊娠率は2~4%で、妊娠しても約半数の方は流産します。もちろん40歳以上の方でも人工授精で妊娠/出産される方はいらっしゃいますが、「お勧めする方法」ではなく、40歳以上の方には「AIHはご希望ならばお受け致します」というニュアンスの方法なのです。「40歳以上の方の第一選択は体外受精」なのです。ただし、卵管が正常ならば、体外受精と人工授精を併用しても良いのです。体外受精の方も、自然妊娠やAIHでの可能性も併用してよいのですね。

2)人工授精への誤解
①濃い精子が良い?(禁欲期間が長い方が良い?)
 人工授精では、禁欲期間が長いほど妊娠率が高くなる、と考えていませんか。実は、タイミング法でも、人工授精/体外受精でも、禁欲期間が長くなればなるほど妊娠率は下がるのです。「精子が濃い方が妊娠率が高い」と考える方が多いですが、「古い精子を貯めるよりも、新鮮な精子の方が妊娠しやすい」のです。人工授精の前日でも交渉を持って良いのですよ。
②AIHはタイミング法より低い妊娠率?
 「タイミング法の妊娠率は10~15%程度、AIHの妊娠率は5~10%」とよく聞く?ので、AIHの妊娠率はタイミング法よりも低いと考えていませんか。タイミング法の妊娠率は、大きな不妊原因がない方が対象です。AIHの妊娠率は、タイミング法で妊娠しなかった、精子が良くない方が主な対象です。これらを単純に比較することは間違いであり、人工授精はタイミング方より有効な治療法なのです。

人工授精は基本的な一般不妊治療ですが、コストパフォーマンスを考えると非常に良い方法なのです。体外受精が脚光を浴びる時代ですが、AIHも見直しては如何でしょうか。

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