2014年7月27日日曜日

転機を迎えているART? 生殖バイオロジー東京シンポジウム参加報告

本日、生殖バイオロジー東京シンポジウムに参加してきました。
代表の鈴木先生は挨拶文で、ARTが大きな転機を迎えていると述べられていました。
これにはいくつもの見方があると思いますが、
一つには、安易に体外受精をおこなわれすぎている側面がある一方で、生殖医療として「体外受精さえすれば良いのか?」という問題提起です。
今日本では、年間およそ100万人の赤ちゃんが生まれていますが、年間3.2万のお子さんが体外受精などの生殖補助医療で生まれています。32人にひとりが体外受精などの生殖補助医療で生まれており、累計で30万人以上に達しています。かなり多くの赤ちゃんが体外受精で出生していますが、体外受精での出生が理想ではなく、医療としては、不妊で悩む夫婦を少なくするために、体外受精だけではなく、それ以外の面での診療も考える必要があるということなのです。
実際には、体外受精はこの35年間にめざましい発展を遂げてきましたが、技術的にはほぼ到達点に達してきているとの見方が増えています。しかし、体外受精の限界も明確になっており、特に年齢は最も大きな問題なのです。体外受精でも、35歳を超えると急速に妊娠率は低下し、40歳以上では出生率は10%を切り、47歳での出生率は0.01%(つまり1万回に1回)になるのです。
豊橋のA先生も、「一般不妊治療も、あらかじめ期間を設定して、短期勝負で行うべきである」とおっしゃっておりました。

これらのご意見は、私のクリニックでの方針と一致するものと思います。
当クリニックでは、現在
体外受精をすぐに考えている方と、半年以内には体外受精を考えている方の診察を受け入れていますが、これは積極的に妊娠を考えて、急いでいる方を優先にしているからなのです。
一方、体外受精のみをお勧めしているのではなく、体外受精も含めて、少しでも早く、少しでも妊娠する可能性が高くなるように、「体外受精か、一般不妊治療か?」ではなく、「体外受精も、一般不妊治療も」という方針で取り組んでいます。
したがって、当クリニックでは、子宮鏡手術や卵管鏡手術、減量などの生活習慣病、サプリメントの積極的活用も併せて、総合的に妊娠の可能性を追求しています。
今回は、高橋ウイメンズクリニックでの診療方針を再確認できたシンポジウムでした。
具体的な各論は、また次の機会にご報告致します。

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