2014年9月28日日曜日

2012年ARTの学会報告

日本産科婦人科学会は、9月4日に、2012年のARTの実績の報告を、HPにアップしました。
国内で約32万6千回のARTが行われ、3万7953人の子どもが生まれたと報告されました。12年の総出生数は約103万7千人なので、ARTの子どもの割合は約27人に1人となります。




新鮮胚移植(初期胚が多い)では、体外受精児と顕微授精での出生児数はほぼ同数で、約5,000妊ずつです。一方、凍結胚移植(胚盤胞移植が多い)での児は、その5倍以上で、約28,000人です。今後も凍結胚移植での児の増加が予想されます。ただし、良い妊娠率を得るには、基本は良い胚ができることが一義的になるのです。



全体の妊娠率は、IVFで22.6%、ICSIで19%、TESE-ICSI で15%でした。
やはりIVFの方が、ICSIよりも3~4%妊娠率が高いのですね。
流産率は、IVFで24.8%、ICSIで28.0%、TESE-ICSIで26.2%でした。
したがって、IVFで受精するならば、ICSIよりもIVFの方が、妊娠率が高く流産率が低い傾向があるのですね。安易にICSIをおこなう事はやはり勧められません。

凍結胚移植の妊娠率は約34%であり、年々上昇しているようにみえます。日本の凍結技術は世界一なのですね。



胚移植まで行ければ、40歳の妊娠率は約25%、流産率は35~40%位です。したがって赤ちゃんを得るまで、平均約6回の胚移植を必要とします。

一方、総治療で見ますと、つまりARTの治療を開始する時点で見ますと、40歳で妊娠率が約9%、流産率が約35%位ですから、赤ちゃんを得られる率は1回のARTで5~6%です。つまり赤ちゃんを得るのには、平均20回のARTが必要となる計算です。
43歳を超えると、総治療の妊娠率は2~3%で、流産率は50%を超えます。したがって赤ちゃんを得られる率は約1%位で、赤ちゃんを得られるまで100回のART を必要とする計算です。多くの施設では、この年齢ぐらいに治療の壁を感じていると思います。
45歳では、妊娠率1%、流産率が約70%ですので、赤ちゃんを得られる率は約0.3%位になります。つまり赤ちゃんを得られるまで300回ぐらいのARTを必要とするのです。
今回の統計を見ても、あらためて、年齢の壁を感じます。
40歳未満の方にはできるだけ40歳までには何とか一人をうむスケジュールを考えて頂きたいと思います。また、40歳以上の方は、最速の方法を即座に受けることをお勧め致します。

 

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