2016年11月7日月曜日

生殖医学会2016参加報告 生殖医療専門医講習会より

11月3日、4日日本生殖医学会が横浜で開催されました。
参加報告致します。
今回は、生殖医療従事者講習会での内容です。
つまり、生殖医療専門医の先生方の勉強会講習です。
したがって、学会の考え方を基本的に示しています。

ARTでの
Ⅰ)採卵に際しての合併症
1)膣壁出血  100mlを超える出血  0.8%
2)腹腔内出血 ①採卵から24時間での腹腔内出血量 平均230ml
          ②重篤な腹腔内出血  0.06~0.2%  止血のための手術の可能性もある

3)骨盤内感染症
  ①0.3~0.6%
  ②卵巣膿瘍(0.2~0.3%)

Ⅱ)妊娠に伴う合併症
1)異所性妊娠(子宮外妊娠)
  自然妊娠の2.5~5倍  妊娠あたり1.5~1.9%
  単一胚移植時では、1.4%
 ①自然妊娠より発症率が上昇
 ②胚盤胞より初期胚移植で上昇
 ③凍結胚より新鮮胚移植で上昇

2)多胎妊娠
 1個移植でも一卵性双胎が上昇する
      自然妊娠  0.4%
      ART     0.9% 
      胚盤胞移植 1.9%


Ⅲ) ARTが児に与える影響

1)先天異常 (つまり奇形が1~2%発生する)
   IVF           1.21%
   ICSI           1.68%
   凍結胚移植      1.47%
   一般       1.7~1.9%    つまり、一般よりもARTでの奇形は少ないかも。

2)染色体異常
  0.5~2.9%


 Ⅳ)排卵誘発法
1)ロング法   スケジュールの調節性に優れる
          卵胞数20以上、E2>3000では、OHSS重症化の予防策必要(全胚凍結も)

2)HMGアンタゴニスト法
     ロング法と比較して、妊娠率・出産率が低い (アンタゴ法より、ロング法が妊娠率高い)
     アンタゴ法は、OHSS発症率は低い(半減)


     
Ⅴ)採取卵について
1)採卵率  約77%   つまり、10個刺して、平均7~8個採卵
     
2)卵子成熟率      ロング・アンタゴニスト法  約85%
                クロミッド法         約75%

   未熟卵の割合が、採取卵の25%以上症例では、低妊娠率
   MI卵子は4.5時間の培養で、46%がMⅡになる。


Ⅵ) 採精
  精液検査では、 2~7日間の禁欲
  ARTでは、禁欲期間は短いほど良い

Ⅶ) IVFの受精障害
 完全受精障害   5~15%におこる   再発率30~40%
  低受精率    35%以下との定義が多い

Ⅷ) 顕微授精(ICSI)
  ICSIが有利とは言えない例
 ① 非男性因子ケース  精子が良いのに、ICSIでは妊娠率は上昇しない
 ② 高齢夫人        卵子の質の低下は、ICSIでは補えない
 ③ 少数卵子ケース    卵子が1~2個では、ICSIの理由は低下する
   「卵子が少ないから顕微授精をする」というのは、学会でも有効とは考えていないのですね。

また、胚盤胞発生率は、ICSIは体外受精よりも低い。 顕微授精では良好にはならない。

顕微授精は、受精させる技術であり、妊娠率を上げる技術ではないのですね。
この点は誤解ないようご注意下さい。


















上の写真は、2次会での写真です。アリバイはしっかりと保管しました。





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