2012年11月27日火曜日

レーザー筋腫核出術後の困難と努力

1ヶ月のご無沙汰でした。この間、風邪を引き、なかなか体調が戻らず、毎日の診療で精一杯であり、ブログを更新することが出来ませんでした。やっと、体調も戻ってきましたので、皆さんのご参考になる情報提供を再開致します。
この間、レーザーによる子宮筋腫核出術後に子宮筋層が薄くなったために、妊娠・出産が難しく、危険であるとされた方が来院し、妊娠/卒業されました。
皆さんは、「レーザーによる子宮筋腫核出術は癒着が少なく、きれいな手術が可能である」というような情報をお聞きになったことはあるでしょうか。なかには、自費でレーザーによる子宮筋腫核出術をおこなっているとこともあるようです。
私のクリニックに来られた方は、レーザーによる子宮筋腫核出術(自費)をうけて、子宮筋層が非常に薄くなり、妊娠/出産が難しく危険であると診断されて、3~4件目で来られた方でした。
当方からも大病院にもコンサルトし、ご本人もいろいろ調査して、茨城の病院で子宮形成術を受け、その上で当クリニックで体外受精を受けて妊娠、その後、子宮破裂の危険性もありましたが、何とか無事に帝王切開をうけて、お子さんを授かりました。今年、二人目をご希望し、凍結胚移植をおこない、再度妊娠されて卒業されました。以前よりもリスクは高いのですが無事な経過と出産をお祈りします。この方の妊娠・出産までの行程には、多くの信頼おける医師や施設が関与し、それぞれの立場で最高の医療技術がまとまって、妊娠/出産に至ったのです。この方の努力、多くの医師の方々の努力に本当に感謝し、私自身も力づけられました。
さて、ここで、レーザーと子宮筋腫核出術についてお話し致します。
レーザーによる切開や凝固は確かに癒着を少なくする手段の一つです。ただし、開腹しての子宮筋腫核出術にたいしては、その利点はあまりありません。通常の電気メスによる筋腫核出術で問題はほとんどないのです。実際にはその術者の腕によるでしょう。したがって、自費で、レーザーの子宮筋腫核出術をうけるのはほとんどメリットはないと考えた方が良いでしょう。ただし、腹腔鏡でレーザーを使用しての筋腫核出術はまだメリットはあり得ます。
この方のように、ある施設でレーザーによる筋腫核出術を受けて、ひどい癒着や子宮自体がほとんどなくなっていた方も何人かいらっしゃいました。術前の状態が分からないので簡単に手術自体の是非は言えませんが、やはりこのような手術を受ける前に、信頼の置ける施設でセカンドオピニオンを受けることも考慮されても良いでしょう。
レーザー自体は様々な可能性を持ちますが、この方のような例もご参考にされて下さい。

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