2013年3月14日木曜日

体外受精13回目の妊娠例・喜びと葛藤(治療終了の判断の難しさ)

先日、43歳の方が通算13回目の体外受精(顕微授精)で妊娠され、心拍が認められました。非常にうれしい妊娠であり、良好な妊娠経過を切に願うのみです。

この方の妊娠は、同時に不妊治療の終了の判断の難しさを浮き彫りにします。
この方は、前医で4回の体外受精を受けて妊娠せず、40歳から当クリニックでの治療を開始しました。
当クリニックでも、顕微授精を繰り返すことになりました。主にクロミフェン、クロミフェンーHMGで排卵誘発し、1~4個の採卵数、ほぼ半数は変性卵や未熟卵を認めました。通算8回目の採卵周期に科学的妊娠となりましたが、12回は臨床的妊娠はしなかったのです。昨年8月にはAMH<0.1と低下し、卵巣機能も非常に悪い状況でした。
ご本人の希望もあり、治療を継続していましたが、一般的にはこれほどの回数はあまりおこなわずに、治療の終了をお話しすることが多いでしょう。実際のデータでは、体外受精でも5~6回受けて妊娠しない場合には、それ以降に妊娠する可能性は極端に低くなるので、5~6回を目安に治療の終了についてお話しすることが一般的とされています。
しかし、今回のように13回目で妊娠、心拍を認めた例を見ると、いつ治療の終了を提案するか、医師もまた悩んでしまうのです。治療を受けている皆さんにとっても、この方の妊娠は、元気づけられる良い知らせであり、同時にまた決断に迷う面もあり得るのではないでしょうか。

不妊治療の現場では、治療法の選択に、その方の考え方が大きく影響しており、患者さんも医師も迷うことばかりなのです。

なお、今回13回目は、クロミフェンHMG誘発で3個採卵、1個は変性、1個はGV期で未熟、1個にICSIし、3日目に10細胞3bで胚移植しています。酸化ストレスも強度だったのでサプリメントは、DHEA、マルチビタミン、CoQ10、Lカルニチンでした。

先日、この方は妊娠7週で心拍を認め、無事卒業されました。


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