2013年3月20日水曜日

顕微授精への不安。男の子が多いの?インターネットでの情報の取り扱いとは、、、

患者さんから、「顕微授精では男の子が多く生まれるのですか?」と不安そうに聞かれました。インターネットで調べて、そのような情報を見つけたとのことでした。
このことは、いくつかの問題が絡んでいます。

1)そもそも自然妊娠では男児の方が多く生まれます。目安としては、男児が52%、女児は48%程度です。
2)医学論文は数多くあり、その対象人数、国、などにより、ばらつきはあります。男女比についても、体外受精、顕微授精で、男児が多い論文、女児が多い論文、両方の論文が様々あるのです。一つの論文の結論をそのまま鵜呑みには出来ないのです。
3)インターネットの情報は正確とは言えません。情報発信者は、出来るだけ注目を集めたいために、センセーショナルな表現をとる傾向にあります。インターネットでは、「このような場合は安心」のような情報はほとんどありません。したがって多くの場合、インターネットで調べれば調べるほど不安になるのです。インターネットの情報をそのまますべて鵜呑みにすることは避ける方が良いでしょう。皆さん、まずは、ご自身の主治医の先生を信頼してみては如何でしょうか。(ただし、こう書くと、ネットで自分のしていることを自己否定しているような事になってしまいますね)
4)顕微授精での重要な情報は、
①顕微授精では、通常の妊娠や体外受精に比較して、「奇形や染色体異常が1.2~1.5倍程度に上昇」しますが、「1%が1.5%に上昇する」程度であり、あまり心配する必要はないこと。
②顕微授精では妊娠率は上昇しない。体外受精と比較すると妊娠率は2~3%低下する。したがって顕微授精の方が妊娠率が高いと考えるのは正しくはないこと。顕微授精は受精させる技術であり、妊娠率を上げる技術ではないこと。
③顕微授精の歴史は30年程度であり、それ以上の長期的な安全性のヒトのデータは存在しないこと、
④採卵数が少ないとの理由では、顕微授精をしても受精率や妊娠率が上がる明確なデータはない。
などです。
結論としては、顕微授精にはあまり心配はいりませんよ。ただし、顕微授精は受精障害がある方が対象なのですね。
みなさんご存じだとは思いますが、インターネットでの情報は様々な事を容易に得ることが出来ますが、信頼できるかどうかはしっかりと吟味する必要があることを再度ご確認下さい。

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