2014年2月25日火曜日

重複子宮の方への診療(腟中隔切除のメリット)

最近、重複子宮の方が複数受診され、いくつか気になりました。重複子宮とは、子宮が完全に左右に分かれており、子宮が2個あり、それぞれの子宮に1本の卵管がある状態です。

重複子宮の方の中には、しばしば腟中隔といって膣にも中隔があり、膣が2分されています。
1)このような方の中には、腟口も2分されるので、痛くて性交渉が困難な方もいらっしゃいます。(普通に交渉も持てる方もたくさんいらっしゃいますが)
この様な場合には、腟中隔を切除すると、交渉の痛みが軽減する可能性があります。当クリニックでは日帰りでおこなっていますが、手術時間も10分程度であり、術後の痛みもあまりありません。
2)膣が2分されていると、性交渉を持てても、精子は交渉を持てた側の子宮/卵管にしか行けないので、通常は妊娠のチャンスが少なくなります。しかり、腟中隔を切除することとで、両側の子宮/卵管に精子が進めるので、左右どちらの排卵でも妊娠の可能性が得られます。
3)腟中隔があると、通常は腟口は左右同じ大きさではないのですが、中隔を切除することで、人工授精の場合でも、どちら側の子宮にも容易に人工授精もおこなえるようになります。また子宮鏡検査や卵管造影検査も、容易に両側おこなえるようになります。

腟中隔をそのままにしても、不妊治療は可能なのですが、このように腟中隔を切除することで、不妊症の検査や治療も容易におこなえるメリットがあるのです。
今回の対象の方々は、前医では腟中隔をそのままで、治療を受けていました。
そのために、行える検査や治療が制限されていたのです。

今回、39歳の方は腟中隔切除後、人工授精2回(前医で3回)の後に、体外受精・凍結胚移植で妊娠されました。今後も順調に進んでいくことを祈るばかりです。
重複子宮があっても、人工授精や体外受精なども大きな問題なく受けられるのですね。

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