2014年4月14日月曜日

凍結精子による人工授精という選択肢(単身赴任夫婦)

先日、35歳前後の方で、夫が北海道や九州などの遠隔地に単身赴任している状況で、凍結精子を用いて人工授精をおこないました。初回のAIHで妊娠されて、無事卒業されました。
 この方は、前医で2回すでにAIHを受けており、当クリニックへは、体外受精も考えての転院でした。卵管造影検査をおこない、精子凍結して1回目のAIHでの妊娠です。
 精子は凍結すると、およそ半分は運動を停止します。したがって凍結精子を用いる場合には、注意が必要です。
 AIHでは相当数の運動精子が必要なので、正常な精子で無いとAIHには使用できません。また1回のAIHで、1回分の凍結精子をすべて使用する必要があります。
 一方、顕微授精をするならば、多少精子が悪くても、わずかな精子でICSIが可能なので、いくつにも小分けして凍結できますし、1回の射精精子で何度でもICSI可能です。
 夫が単身赴任で遠隔地にいる場合には、このように凍結精子を用いての人工授精も可能なのですね。ただし、AIHでは1回ですべて使用するので、何回分も凍結する必要があります。その分の凍結費用(約1万円)も必要とします。したがって一般的には凍結精子を用いる場合には、体外受精や顕微授精が主におこなわれているのです。
 ただ、体外受精をまだ考えておらず、人工授精を数回受けたい場合には、このような選択肢もあるのですね。

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