2014年6月18日水曜日

子宮腺筋症が体外受精の妊娠と流産へ及ぼす影響

ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の雑誌Human Reproductin5月号のからの抜粋です。
子宮腺筋症(子宮内膜症が子宮筋肉層にできた状態)がある場合、体外受精、顕微授精に対して、どれだけの影響があるか、9件の信頼できそうな論文を調べた報告(メタアナリシス)がありました。
9件の研究で、1,865名の患者さんの調査でした。
医学論文は、すべて同じような結果ではなく、子宮腺筋症があっても妊娠率や流産率に影響ないという結果の論文もあります。したがって、一つの論文のみで判断はできないので、多くの論文をあつめて検討する必要があり、この手法をメタアナリシスと言います。

今回の結論として、
子宮腺筋症があると、(腺筋症がない方に比べて)
  体外受精/顕微授精の妊娠率は、28%低下する。
             (つまり妊娠率は2/3程度になる)
                流産率は、2.12倍に増加する。
という結果でした。
結論としては目新しいものではありませんが、多くの論文をまとめて明確にした意義があると思います。
子宮腺筋症の重症度と結果の関連は明確ではありませんが、重症になるにつれて成績も悪化すると推測されます。したがって、腺筋症のある方は、時間が経つにつれて悪化する可能性も高く、成績の低下が危ぶまれます。やはり治療を急ぐ必要があるでしょう。
また、不妊症予防の面からも、生理痛がひどい方は子宮腺筋症の可能性もあり、早期からピルなどを積極的に使用することをお勧めしても良いと思います。

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