2014年12月23日火曜日

刺激周期のメリットが現れた成功例。以前と異なる方法もありなのです。

体外受精で、自然周期か刺激周期か、各施設により、医師により、それぞれの考え方があり、皆さんもとても悩むことも多いと思います。
実際に、世界中でもどの方法が良いかは決まっておらず、それぞれ一長一短があるのです。
私のクリニックでも、排卵刺激周期もあれば、自然周期の採卵も少なくありません。その方にあった方法を、ひとりひとり検討していく必要があると思います。
「すべての方に、最も良い方法」は、ないのですね。
ざっくり言えば、「卵子が多く採れるならば刺激周期が良いでしょう。ただし、5~15個の採卵が最も妊娠率が高いようです。卵巣の機能が低下して、刺激周期でも卵子が多く採れないならば、マイルドや自然周期で良いと思います。また刺激周期で何度やってもよい結果、良い卵子が採れない場合にはマイルドや自然周期を試してもよいと思います。PCOの方は、安全性からまずはマイルドで開始致しましょう」と考えています。
さて、今回は、埼玉県からわざわざ来て下さった方の例をご紹介致します。
30代後半。AMH:0.95 都内で自然周期で4回採卵、2回胚移植、1回妊娠反応のみ陽性。
ビタミンC、ビタミンD、DHEAsの低下も認めたので、アシストワン、DHEAも補充。
今までとは異なる治療法を、ということで、HMGアンタゴニスト法を施行。
11個採卵し、体外受精で、10個正常受精。2個新鮮胚移植するも妊娠せず。5個胚盤胞凍結。
1回目の凍結胚盤胞移植で妊娠するも5週で流産。
2回目の凍結胚盤胞移植で妊娠し卒業。残存胚盤胞3個。
この方は、1回採卵で妊娠され、複数の胚盤胞も保存できています。この点が刺激法の利点と言えます。
もちろん、この例をみて「刺激周期が良い」と断言することではなく、逆に刺激周期でうまくいかない場合に自然周期でうまくいく例もあります。
最近では、すべての人に同じ方法ではなく、「個別化」を打ち出している施設も多くなってきました。
スタンダードをしっかりおこなう事は非常に重要ですが、医療は、ひとりひとりをどれだけ個別化できるか、も重要なのですね。できるだけ多くの方を診療することは、相反する面もあり、日常では思う様に行かないこともあるのですが、何とか両立させていきたいものです。

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