2015年1月12日月曜日

生殖医療ジャーナルクラブ2015報告(そのⅠ)(ビタミンD)

生殖医療ジャーナルクラブの勉強報告を数回に分けて紹介致します。

昨年のビタミンDの重要性に関する論文が複数ありました。

1)ビタミンD欠乏症

①胚盤胞1個移植の妊娠について、ビタミンDと妊娠率を検討した。
 ビタミンD 欠乏症(20未満)では、妊娠率はおよそ6割に低下する。 Hum Reprod 9:2032-2040

 当クリニックでは、現在初診時にビタミンDも測定していますが、やはりしっかりとビタミンDは測定して補充していきましょう。

②血中のビタミンDは、AMHと関係している。
PCOSでAMHが高すぎる場合には、ビタミンD欠乏症女性にビタミンDを補充すると、AMHは低下(正常化)する。卵胞液中のビタミンDは、IVFの成功率と関係する。

③反復流産患者では、ビタミンDの欠乏の割合が高かった。
ビタミンDの欠乏は、早産、妊娠糖尿病、低出生児体重児、子癇前症と関係する。
反復流産の47%がビタミンDが30ng/ml未満だった。
抗リン脂質抗体、抗核抗体、抗DNA抗体、甲状腺TPO抗体の陽性率は、低ビタミンD群では2~4倍になった。自己免疫や細胞免疫の異常と関係した。   Hum Repro 2014;29:208-219

ビタミンDは、妊娠してからも重要であり、免疫にも関係しているようです。流産にも関係しているようなので、習慣流産の方にも、ビタミンDの検査も考慮していきましょう。
もちろん、ビタミンDですべてが変わるものではありませんが、妊娠前だけに限らず、妊娠後も必要なビタミンと言えます。検査をして欠乏している方は、妊娠後も出産まで補充した方が良いでしょう。

2)子宮内膜スクラッチング(擦過法)
 子宮内膜スクラッチングは、10年前に紹介され、報告は300以上あるが、しっかりとした比較試験は4件のみである。まだ、確かなデータがあるとは言えないし、意見の一致もしていない。
                                                                   Hum Rep 2014 8:1618-1621

当クリニックでも、2回胚移しても妊娠しない方には、子宮内膜擦過法をご紹介しています。最近は国内でも有効であったとの報告も複数ありすが、世界的にはまだ議論がある方法です。したがって、現状ではまだ、すべての方にお勧めする方法ではないという評価です。もう少しデータの蓄積が必要です。
                                       (次回に続く)

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