2016年11月6日日曜日

卵管水腫切除後のIVF妊娠。IVFでもHSG検査は必要ですね。

IVFで3回採卵、2回胚移植を他院で受けて妊娠せず。
当クリニックのHSG再検査で卵管水腫を認めたので、卵管水腫切除し、妊娠卒業された方をご紹介致します。

35才。他県の大学病院で、卵管造影で異常あり、腹腔鏡での癒着剥離術の既往あり。
前医でHSG正常との診断で、AIHを5回、採卵を3回、2回胚盤胞移植を受けていました。
HSGは正常だったとのこと。
IVF1回目 クロミフェン誘発、3個採卵2個受精するも凍結できず(たぶん胚盤胞に至らず)
IVF2回目 クロミフェン誘発 1個採卵 顕微授精 胚盤胞1個凍結  後に融解移植
IVF3回目 HMGアンタゴニスト法 12個採卵 顕微で3個授精 胚盤胞1個移植  胚盤胞1個凍結

その後に当クリニック受診。  AMH;4.79
当クリニックでは、少しでも妊娠率を上げる目的で、またIVF反復不成功の方にはより強く、卵管造影検査をお勧めしています。この方は前医ではHSG正常とのことでしたが、反復不成功でもあり、再度HSG検査もお勧め致しました。
結果、当クリニックでのHSGでは、右の卵管水腫を認めました。これは超音波検査でもわかるものであり、重症の卵管水腫で、体外受精の成績を低下させるものと判断しました。
ご本人と相談の上、卵管水腫硬化療法と手術の選択肢のうち、卵管水腫の切除を希望され、他院で腹腔鏡下に右卵管水腫の切除を受けました。

その後、当クリニックでの治療を再開。
HMGアンタゴニスト法で誘発。27個採卵。4個胚盤胞凍結。(全胚凍結)
初回の凍結胚盤胞(本院希望で)2個移植  双胎妊娠するも9週で流産。
2回目、本人希望で2個凍結胚盤胞移植し、双胎妊娠されて卒業。
つまり、卵管水腫手術後は、胚盤胞4個とも着床したことになります。

この方の教訓としては、
前医でHSG正常とされていても、再検査では卵管水腫を認めた事。検査は絶対正しいものとは言えないですね。
体外受精でもHSG検査の意義がある事。(特に手術既往や反復不成功症例)
超音波でもわかるような重症の卵管水腫がある場合には、卵管水腫への対策を考慮すべき事。
卵管水腫の有無を確認することは、着床障害の検査の一つであること。
マイルド法はOHSS予防にはなるが、キャンセル率も上がることがデメリットである。(今回の2回のクロミッドは適当であると思いますが、途中からHMG注射を追加すると採卵数が増えたかもしれません)
などがあげられるでしょう。
当クリニックでは、体外受精のみをお勧めしているのでは無く、少しでも妊娠する可能性を高めるために、HSG検査もお勧めしています。また、体外受精反復不成功の方には、着床障害の検査としてのHSG検査も重要であると思います。
皆さんには、治療法をむしろ限定するのではなく、多方面からの検査と対策をお勧め致します。


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