2016年12月28日水曜日

生殖医療専門医講習会報告(2016.12)その3 精子 編

Ⅲ) 顕微授精で生まれた男児の精子の正常について

ベルギーの大学から調査検査が発表されました。
18~22才のICSIで生まれた男児 54人

結果ICSIで生まれた男性の精子は、濃度、総精子数、運動率が、通常男性の半分程度だった。
WHOの定義では異常所見を示す人は2倍ぐらい多いのですが、顕微授精で生まれた子供が、自然妊娠する可能性は十分あり、全員が顕微授精を必要とするものではありませんでした。






















Ⅳ) 生殖免疫
 精子不動化抗体

不妊原因不明の13%の女性に、精子不動か抗体を認める。
 一般的には、全不妊患者の2.6%程度に認めます。(40人に1人程度)
抗体価は、SI50値で判断しますが、定性検査のSIVでは強さは分かりません。
抗体価SI50値は変動します。

 SI50値    低値<10  中等値10前後  高値 常に>10

AIH妊娠率  7/25(28%)  5/38(13%)    0/29(0%)   

IVFET     3/11(27%)  17/31(54%)  10/27(37%)

SI50値が、10程度以下ならば、タイミングやAIHをしても良さそうですね。
常に10以上ならば、体外受精を勧めましょう。

妊娠周期のSI50値

         妊娠数    SI50値
自然妊娠     3      2.9 
AIH        12      10.8
IVF         30       66

精子不動化抗体は、精子の透明帯への結合を阻害する。



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