2017年1月15日日曜日

子宮に問題があった方の妊娠例:その2(重複子宮)

子宮に問題(中隔子宮・重複子宮)のあった方がお二人卒業されましたので、ご紹介致します。
 
その2)重複子宮、30代後半、今回2回目の妊娠・卒業前医では、HSGでうまく造影できず、中隔子宮の診断。
当クリニックの診察では、膣中隔あり、子宮口も2個、重複子宮の診断。HSG、子宮鏡では、両側の子宮口、子宮内腔を確認。子宮の左右差はほとんどなくほぼ同じ大きさ。
AMH=5.6で、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、重症の乏精子症であり、顕微授精を施行。
①内服薬+HMG注射で14個採卵。1個胚移植し、妊娠、卒業。4個胚盤胞凍結。膣口が右側が大きめでしたので、 右子宮に胚移植1個。
重複子宮・骨盤位だったので、帝王切開分娩。
②今回、二人めを希望されて来院。
子宮鏡では、右子宮内腔は問題なし。左子宮は小さな子宮内膜ポリープを複数認めたため、今回も右子宮に移植することした。
凍結していた胚盤胞を1個移植し、妊娠、卒業となりました。

参考事項
①子宮奇形の診断は、結構苦労することもあるのです。今回はHSGで両側の子宮も造影できましたが、有効な不妊治療には、やはりしっかりとした診断が必要ですね、
②重複子宮も、不妊症の原因とは言えません。この方の体外受精の適応は、重複子宮ではなく、重症の乏精子症だったのです。
③重複子宮、単角子宮、中隔子宮の流産率はおよそ50%とされています。中隔子宮は手術可能ですが、重複子宮、単角子宮は手術の対象ではありません。しかし、半分は出産できるのですから、どんどん妊娠にチャレンジして良いのです。この方も無事にお子様が誕生されることを祈るばかりです。
④子宮口が2つある方の分娩様式は、通常は帝王切開することが多くなります。中隔子宮、単角子宮では、経膣分娩もしばしばおこなわれます。この方は、骨盤位でもあったので前回帝王切開になりました。今回の出産も帝王切開になります。また、このような方には、現在当クリニックでは、胚移植は1個ずつにしています。
⑤凍結胚移植の前には、やはり子宮鏡でポリープなどがないかどうか調べることも大切であると、今回再確認できたと思います。
























図はMamas upよりコピー。








0 件のコメント :

コメントを投稿