2017年3月22日水曜日

43才、スポイト法(シリンジ法)での妊娠例


 先日、スポイト法(シリンジ法)で妊娠された43才の方がいらっしゃいました。 
 スポイト法(シリンジ法)とは、精液をご自身で膣の中に入れる、自宅でできる人工授精なのです。滅菌カップにご主人に採って頂いた精液を、ご自身、またはご主人に膣内に入れて頂く方法です。クリニックに来ないでも出来るので、人工授精にクリニックに来られない方には便利な方法です。対象は、精子の状態が正常ですが、性交渉が持ちにくい方が主な対象です。精子の状態があまり良くない方も対象にはなりますが、精子があまり良くない方は、洗浄した精子を濃縮して子宮内注入する通常の人工授精の方がよいでしょう。

 この方は、年齢の問題もあり、体外受精も受けていた方なのですが、妊娠の可能性は広くしておいた方がよいと考えられる例でしたのでご紹介致します。
 この方は43才で、AMHは0.2。過去には子宮卵管造影検査を受け、子宮内膜ポリープの手術も受けていました。当クリニックでも体外受精を受けており、2回は体外受精で妊娠されていました。また、過去にもすでに1回スポイト方で妊娠されていたのです。合計3回妊娠されましたが残念ながら流産となっていました。
  今回も、少しでも妊娠の可能性をあげるために、体外受精の合間にスポイト法をおこないました。そして今回、妊娠されたのです。
 年齢的には、不妊治療は主に体外受精が中心とした治療が勧められますが、その以外でも妊娠の可能性がある場合には、体外受精のみに決めつけるのではなく、そちらも追求した方がよいでしょう。実際に、体外受精の合間に自然妊娠される方も少なくないのです。
 先日、胎児心拍を認めました。 今後、順調に経過することを祈るばかりです。

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