2014年1月23日木曜日

人工授精の黄体補充 (生殖医療ジャーナルクラブ報告その3) 

人工授精での黄体補充は、HMG注射周期でのみ有効である。
人工授精では、排卵誘発をした方が妊娠率が高くなります。そして、黄体期にプロベラやルトラールなどの黄体ホルモンがしばしば使用されます。
当クリニックでは、単に黄体ホルモンを補充することは推奨しておらず、黄体機能不全の治療には、クロミフェンやHMG注射などの排卵誘発をお勧めしています。これは、黄体機能不全は、良い排卵がおこっていない結果であって、単に黄体ホルモンを補充することで卵子の質が改善して妊娠率が上がるとは考えていないからです。根本的には良い排卵をおこすために排卵誘発剤を使用することで、結果的に高温期も安定すると考えているからです。
人工授精でも、クロミフェン周期では、御本人の希望や、クロミフェンを使用しても高温期が短い方などに対して、黄体ホルモンは補助的な意味で使用していました。
一方、HMG注射での排卵誘発では、高温期が短いことがしばしばおこる(約20%)ので、HMG注射を使用する場合には、ルトラールを使用することを標準としてきました。

今回の2013年の報告(Fer.Ster. 2013;100:1373~1380)では、5つの有効な論文を集めて検討した結果、人工授精での黄体ホルモン補充は、HMG注射をおこなった場合に有効であったと報告されました。HMG注射+人工授精では、黄体ホルモンを補充した方が、1.5倍の妊娠率、2倍の生産率得られるようです。
一方、クロミフェン+AIH、 クロミフェン+HMG注射+AIHでは、黄体ホルモン使用による妊娠率の上昇は認められなかったようです。クロミフェン使用周期には、漫然と黄体ホルモンを使用するのではなく、黄体ホルモンが低く、高温期が短い場合などに限定する方が正しいのでしょうね。

これは今まで当クリニックでおこなってきた方法が正しかったことを証明した論文であり、黄体補充の意義を明確にしたものです。
皆さんへもこれで、今まで以上に明確に自信を持って黄体ホルモンの使用/非使用を説明できると思います。

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