2014年2月16日日曜日

子宮外妊娠での、卵管を残す意義は?

子宮外妊娠での、卵管切開(保存)と卵管切除ではその後の妊娠率はほぼ同等

ランセットという、有力雑誌で、子宮外妊娠における、卵管切開(保存)手術と、卵管切除を受けた群では、その後の妊娠率に大きな差は無かったとの論文が載りました。
卵管を残した群の3年間の累積妊娠継続率は、卵管切開術で60.7%、卵管切除術で56.2%で、ほぼ同等な結果でした。一方、卵管切開(保存)群では、子宮外妊娠の繰り返しが高かったようです。

このような報告は今までにもありましたが、有力紙に載った報告であり、再確認されたと考えて良いでしょう。
つまり、卵管妊娠では、もう一方の卵管が正常であるならば、子宮外妊娠の卵管を残しても、その後の妊娠率が上昇することはごくわずかであり、ほとんど変わらない。一方、子宮外妊娠が繰り返す率は上昇する。したっがって、無理に卵管を残す意義は少ないのですね。
ただし、すでに片方の卵管がない方にとっては、子宮外妊娠の再発が高くなるリスクを受け入れるならば、出来るだけ卵管を保存する手術はあり得る選択肢です。
Salpingotomy versus salpingectomy in women with tubal pregnancy (ESEP study): an open-label, multicentre, randomised controlled trial.The Lancet, Early Online Publication, 3 February 2014.

最近では体外受精が広く受け入れられており、卵管を残すことが少なくなっています。
また、手術ではなく、子宮外妊娠にメソトレキセートという、抗癌剤を投与することで手術せずに、子宮外妊娠部の萎縮をおこして手術せずに済ませる選択肢も増えています。

余談ですが、体外受精でも子宮外妊娠はおこります。体外受精では子宮外妊娠は予防できません。また、卵管を両方切除している場合でも、体外受精で子宮外妊娠はおこり得ます。子宮と卵管の境の卵管間質部や、子宮の入り口の子宮頸管部にも妊娠することがあり、この場合も子宮外妊娠なのですね。

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