2014年8月17日日曜日

不妊治療 2014(産婦人科臨床懇話会セミナー)参加報告(その1) 男性不妊の治療

今年の夏は、学会、セミー、講演会が立て込んでおり、夏ばて気味なのに、勉強をする機会が多く、アップアップの状態です。
8月16日(土)、お盆ですが、今年はクリニックを休まずに診療しました。お盆にもかかわらず、いつもと同じように皆さんが通院されていました。
10月のアメリカ生殖医学会(ASRM)に参加する予定なので、それが今年の私の夏休みのつもりです。やっぱり、学会参加を絡めないと休めない自分の性格が情けないですね。

さて、20年ほど前から続いている臨床懇話会の、2年ごとの不妊治療の1泊2日の勉強会です。
これは毎回、その道のエキスパートが講演して下さる、とても密度の濃い物なのですね。

私は、今回は男性不妊の講演の司会を任されました。
順天堂大学、泌尿器科専任准教授の辻村 晃先生の非常に興味のおもしろい講演でした。

男性不妊に対する治療では、当クリニックでも、マルチビタミンのアシストワンを採用しているので、その関連で興味を特に持てました。アシストワンは、女性だけではなく、男性不妊にも十分使用できる内容だと感じました。

当クリニックでは、男性に対する治療法として、
①補中益気湯+ビタミンB12
②アシストワン    を主に使用しています。
今までは、それぞれ別に使用していましたが、それぞれ機序が違うので、今後は、この2種類を同時に使用しても良いですね。

アシストワンの作用としては、
①ビタミンC
通常精液内に高濃度に存在し、精子運動率の改善に関与。1日 2,000mg(アシストワンでも1日2,000mgが標準量です)
精子濃度は1430万が3280万に増加、運動率は31%が60%に上昇、正常形態率は43%が67%に改善しました。精子の正常形態率を良くする治療薬はなかったので、その目的にビタミンC は一つの対策として重要な意味があるかもしれません。
②ビタミンE
 精子の酸化的障害を防御し、精子の運動性の維持に関与する。
 1日150~300mgで、25~45%の有効率。 アシストワンは標準量で1日300mgのビタミンEが摂取可能です。
③コエンザイムQ10
 CoQ10を単剤で1日200mgの6ヶ月投与で、運動率が33%が39%、直進性が10%が15%に改善したとされます。
アシストワンではCoQ10は1日100mgですが、一般的には体格を考えると日本人には海外の薬剤量は多いので、100mgが適切であると考えています。CoQ10の上限は、厚労省も決めていませんが、業界内では300mgを上限の目安としているようです。
④Lカルニチン
 
Lカルニチン1日2gで総運動精子数が、560万が900万に増加したとの報告があります。アシストワンでは、1日1gですが、CoQ10 と同様に日本人にはこれで十分と考えています。厚労省の摂取目安量の上限も1,000mgとされています。
⑤その他
亜鉛の単独使用は、その効果は不明とのことでした。亜鉛を66mg葉酸を5,000㎍6ヶ月使用すると、精子濃度が増加した報告がありますが、亜鉛(厚労省の目安は30mg)も葉酸(厚労省の上限目安は1,200μg)もすごい量ですね。海外の量をそのまま当てはめることは避けた方が良いようです。
私は、微量元素を多くとりすぎることには慎重に考えています。
⑥補中益気湯
 精子濃度は32~70%、運動率は22~63%の治療効果でした。


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