2014年8月10日日曜日

ビタミンDの重要性と正常値とは?(受精着床学会参加報告)

先日、新宿で受精着床学会報告がおこなわれました。
その中のシンポジウムで、習慣流産の方に対して、ビタミンDがどのように関係しているかの講演がありました。
ビタミンDが不足すると、免疫の拒絶が高くなり、自己抗体(抗リン脂質抗体、抗核抗体、抗PE抗体など)の陽性率も、高かったと報告されました。したがって、原因不明の習慣流産の方には、ビタミンDが新しい治療薬になる可能性が指摘されました。
また、ビタミンDが不足すると、妊娠糖尿病の発生も上昇する、胎児発育が遅れる、出産後の成長も悪化する、との報告もあります。
ビタミンDが低いと、体外受精の妊娠率が低い報告も数多くあります。
結論から言うと、ビタミンDは妊娠前から出産まで、生殖のすべての過程において重要な働きをしていると考えて良いでしょう。
当クリニックでも、体外受精の反復不成功の方には、ビタミンDを測定して、低い方にはビタミンDをお勧めしていました。しかし、今回のシンポジウムの講演を聴きますと、それでは不十分であると感じました。
今後は、当クリニックでは、ビタミンDは、不妊治療の最初の検査時に測定し、不足している方には積極的にビタミンDをお勧してまいります。

実際にビタミンDを測定してみますと、8割以上方が30ng/mL 未満です。これは最近、日光を避ける方が増えていることが大きな原因と考えています。実際には15分ほど日光に当たれば、十分なビタミンDが産生されるそうですが、実際にはそれで日光にあたる方はほとんどいないようです。そうすると、サプリメントを積極的に妊娠中でもとっていくことをお勧めすることになるのです。
実際には、日本人のビタミンDの正常値は明確にはなっておらず、30ng/mL以上が理想値、20~30は低下(不足)状態、20未満はビタミンD欠乏症、とされる事が多かったのですが、この値は欧米での値をそのまま当てはめていたのですね。
しかし、本日、メディカルトリビューンの記事にあったのですが、骨代謝学会、内分泌学会、厚労省研究班での「ビタミンD不足、欠乏症ガイドライン」策定でも、この基準を軸に検討されているようです。やはり、日本でも、この値を基準に考えても良いと考えられます。
日本でのビタミンDの検討はまだ多くはないのですが、当クリニックでも今後は、より積極的にビタミンDも測定していきますので、皆さんのご理解とご協力もお願い致します。


表情のない自分取り写真は、全くおもしろくないですね。
反省して、次からは何とか致します。

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