2016年10月13日木曜日

2014年 ART全国データ発表されました!

2014年の日本全国のデータが日本産科婦人科学会から発表されました。




治療法別出生児数および累積出生児数〔2014年〕


          治療周期総数 出生児数 累積出生児数
新鮮胚(卵)の治療  92,269     5,025    120,565
凍結胚(卵)の治療* 157,229    36,595    214,194
顕微授精の治療   144,247      5,702    96,867
           合計      393,745      47,322    431,626


 *凍結融解胚を用いた治療成績と凍結融解未受精卵を用いた治療成績の合計


 


2014年のART治療総数は、約40万件2014年の出生児数は47,322人、ARTで生まれたお子さんは、累計で43万人との報告です。
およそ新生児の21人に1人がARTで生まれた計算になります。



ARTの登録施設数は598で、ART実施施設数574でした。
人口比で見ると、日本は最もART施設が多い国なのです。



新鮮胚の胚移植あたりの妊娠率は、IVFで23.0% 、ICSIで18.9%、TESE-ICSIで15.9%でした。
やはり、IVFの方が4%程度妊娠率が高いです。ICSIの方が高度な技術なので、妊娠率が高いと勘違いされている方がいらっしゃいますが、ICSIは授精させる技術であり、妊娠率を上げる技術ではありません。受精しなければ話は始まらないのですが、通常のIVFで受精できるならば、その方が妊娠率が高いのですね。
なお、これは、初期胚と胚盤胞の移植の混在した妊娠率です。年齢関係ない全体の統計です。

凍結融解胚の移植あたりの妊娠率は、33.5%でした。凍結融解胚は、主に胚盤胞だろうと推測されます。これも年齢関係なく全体の統計です。

最近は卵子を凍結保存することが話題となっていますが、未受精卵子を顕微授精して、受精した胚を移植した場合の移植あたりの妊娠率は19.3%でした。やはり受精した胚を凍結保存した方が成績は良いのですね。卵子凍結は、受精胚凍結を上回る方法ではないのです。





胚移植あたりの妊娠率は青線ですが、30才から低下し始め、38才ぐらいからは急速に妊娠率は低下します。
流産率は、40才ぐらいから急速に上昇します。40才で流産率は40%、43才で50%、45才では70%位が流産する目安となります。

ただし、これらは凍結胚・新鮮胚・胚盤胞・初期胚の胚移植も一緒にした成績ですので、移植の方法により実際の成績とは多少異なります。
年齢との関連をみる目安とお考え下さい。

当クリニックでは38才以上の方は、早期の体外受精をお勧めしていますが、2014年のデータからも再確認されたと考えています。



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