2016年10月10日月曜日

麻疹・風疹の抗体価の判断基準は?(ワクチン接種基準)


秋の訪れを感じる風景を見つけました。
今年も、年の終わりがち近づきつつあるのですね。
 







最近、麻疹感染が問題となっていますが、クリニック内で抗体を測定してみると、確かに抗体が陰性の方も少なくありません。
抗体がない方にはワクチンが必要なのですが、抗体価が少ない方にもワクチン接種が奨励されています。その基準をあらためて確認してみました。
出典は、日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版(H26年)です。




風疹の検査方法と抗体価の判定

   陰性     抗体価陽性    抗体価陽性
         (基準を満たさない) (基準を満たす)
 HI法< 8倍  HI法: 8倍 16倍  HI法:32倍以上

または
 EIA法(IgG):陰性 (±)~8.0            8.0以上

 HI法では、風疹抗体が8倍、16倍は抗体があるのですが、抗体価が低いので再感染の可能性があるのでワクチンの接種が必要とされています。EIA法では、8,0未満はワクチン接種が必要なのです。当クリニックではHI法を採用しています。



麻疹の検査方法と抗体価の判定


      陰性    抗体価陽性     抗体価陽性
           (基準を満たさない)(基準を満たす)
 EIA法(IgG):陰性  (±)~16.0           16.0以上
 または
 PA法< 16倍 16倍 32倍 64倍 128倍   256倍以上
または
 中和法< 4倍        4倍               8倍以上
  
ガイドラインでは麻疹の検査には、HI法は感度が良くないので推奨しないとのことです。当クリニックでは、従来はHI法をおこなっていましたが、現在はEIA法を採用しています。
麻疹は、EIA法では、抗体価が16.0未満の場合にはワクチン接種が必要です。
 
妊婦が麻疹にかかると、30%程度の確率で流産・早産になるとの報告もあります。
非妊娠の女性が麻疹感染すると、約10%が肺炎を発症し、死亡率は0.5%であったのに対し、妊娠中の麻疹感染では約26%が肺炎を発症し、死亡率は3.4%と報告もあるようです。
妊娠によって免疫機能が低下することが関係して、重症化すると考えられています。



麻疹ワクチン、風疹ワクチン、MRワクチンは、妊娠中は接種できません。また、接種後は2ヶ月は
 避妊する必要があります。

なお、 ワクチンは、風疹単独、麻疹単独よりも、混合のMRワクチンが推奨されております。

抗体が陽性であっても気になる方が時々いらっしゃいますが、このガイドラインでは、基準を満たす抗体価があった場合には 、「必要ならば4~5年後に抗体測定を1度だけ実施し、基準を満たしている事を確認する」としています。
前回1~2年前に検査して抗体価が十分ならば、4~5年は再検査の必要はないと言うことになりますね。

当クリニックでは、必要な方には、風疹ワクチンの抗体検査をお勧めしてきましたが、今後は麻疹ワクチンの抗体も合わせて検査をお勧め致します。一般的には、検査は自費で5,000円程度が多いようですが、当クリニックでは半額程度でおこなっています。2項目合計5千円程度でおこなっていますので、是非ご利用下さい。

現在は、麻疹感染の報告で、MRワクチンは品薄になり、子供接種が優先され入手できないので、当面MRワクチンは接種できませんが、風疹ワクチンが必要な方には、風疹単独ワクチンを接種しています。






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