両側の重症の卵管水腫があり、4回胚移植をしても妊娠しなかった方が、卵管を切除して1回目の胚移植で妊娠された例がありました。卵管水腫の悪影響と卵管切除の有効性を感じた例ですのでご紹介致します。
30歳前の方で、クラミジア感染によると考えられる、重症の両側の卵管水腫を持つ方に、体外受精で新鮮胚移植1回、凍結胚盤胞移植を3回おこないましたが妊娠されませんでした。超音波検査で確認できる卵管水腫は重症と考えられます。重症の卵管水腫があると、体外受精でも妊娠率は1/2~1/3に低下します。採卵時にこの水腫の内容液を吸引除去することで、ある程度の妊娠率の改善を期待は出来るとされます。この方も採卵時に両側から10mlの卵管内溶液を吸引除去しました。また3回目の凍結胚移植の2日前にも20mlの卵管水腫内容液を吸引しました。しかし、4回の胚移植で妊娠されなかったのです。
御本人と相談して、腹腔鏡で卵管水腫の片側の卵管切除と、対側の卵管切断(片方は癒着が強く切除できなかったので子宮内腔との連絡を着れば良いので切断したのみ)をおこないました。そして胚移植をすると、術後初回の凍結胚盤胞移植で妊娠されました。
今回は、卵管水腫がある場合の手術の有効性を実感した例です。
超音波で確認できる重症の卵管水腫があって、卵管水腫内容液を吸引してもなかなか妊娠されない反復不成功の場合には、手術を考慮することも選択肢と考えてみては如何でしょうか。
単に体外受精のみをおこなっていても妊娠に至らない場合は良くあります。特に反復不成功の場合には妊娠までは総合的に考えての治療方針を考える事を今後も追求していきたいと思います。
2013年9月16日月曜日
2013年9月9日月曜日
皆さんの妊娠は私にとっても元気の源なのです!
最近、久しぶりに1日に妊娠数が11名と、10名を超えました。当クリニックの1日の平均妊娠数は4人前後なのですが、このように多くの方が妊娠されると私も元気が出るのです。一方、妊娠反応が出ないと私もがっくりきます。陰性の判定が多いと気持ちも上昇しません。
医師としては、感情の起伏を押さえて、冷静に診療を進めるべきなのかもしれません。ですが、皆さんの求める方向と、私の元気が出る方向は一致しているのですね。しばしば感情が露出してしまうことはご容赦を!
前の2施設で、5回の顕微授精を受けた40歳の方に、体外受精の準備として、卵管造影検査と子宮鏡をして、当クリニックのでの1回目の人工授精をしましたが、これで妊娠されました。当クリニックでも、この方は体外受精が第一選択と認識していますが、やはり、体外受精のみでなく、少しでも可能性を追求する意義も感じます。体外受精を受けている方も、可能性があるならば、体外受精と並行して、それ以外の可能性も併せて追求してみては如何でしょうか。
本日、英会話での診療を必要としましたが、語学の才能がない私には、スマートな英会話は出来ないのです。いつも以上にテンションを上げて、本日も「微笑み返し」と「気合い系の英会話」でまくし立てて終わりました。直後は、テンションが下がった脱力感と、その場を乗り切った達成感と、語学の才能の貧弱さへの劣等感、の混じり合った複雑な表情であろう自分を感じるのです。(また余計な事を言ってしまった)
医師としては、感情の起伏を押さえて、冷静に診療を進めるべきなのかもしれません。ですが、皆さんの求める方向と、私の元気が出る方向は一致しているのですね。しばしば感情が露出してしまうことはご容赦を!
前の2施設で、5回の顕微授精を受けた40歳の方に、体外受精の準備として、卵管造影検査と子宮鏡をして、当クリニックのでの1回目の人工授精をしましたが、これで妊娠されました。当クリニックでも、この方は体外受精が第一選択と認識していますが、やはり、体外受精のみでなく、少しでも可能性を追求する意義も感じます。体外受精を受けている方も、可能性があるならば、体外受精と並行して、それ以外の可能性も併せて追求してみては如何でしょうか。
本日、英会話での診療を必要としましたが、語学の才能がない私には、スマートな英会話は出来ないのです。いつも以上にテンションを上げて、本日も「微笑み返し」と「気合い系の英会話」でまくし立てて終わりました。直後は、テンションが下がった脱力感と、その場を乗り切った達成感と、語学の才能の貧弱さへの劣等感、の混じり合った複雑な表情であろう自分を感じるのです。(また余計な事を言ってしまった)
2013年9月8日日曜日
卵巣機能低下に対する対処法 日本IVF学会参加報告(1)
本日、日本IVF学会に参加してきました。
今回は、「AgingとART」という非常に興味のある内容です。
特に、卵巣機能の低下に対する対処法についての、様々な先生方の工夫が勉強になりました。
非常にすっきりした話題として「アンチエイジングと不妊治療は同一線上にある」と、明言した講演を聴き、当クリニックでも進めている方向性が間違いでないことを確信しました。
特に、食後血糖と妊娠率、アンチエイジング(不妊・加齢・癌・美肌は、同じ原因なのです)は密接に関連しています。採卵数の少ない方、卵子の質の良くない方は積極的に糖負荷検査やコレステロールの検査などをお勧め致します。糖尿病の薬も積極的に使用しても良いようです。
<豆知識>
通常は、卵子の99.9%は閉鎖し排卵まで行くのは0.1%以下です。卵子の有効利用を考えましょう。「自然排卵が最も良い」とは限りません。出来るだけ若いうちの卵子を利用・保存しておくことも有効な選択肢と考えては如何でしょうか。
最終妊娠能力時期と閉経(50歳前後)には、9年程度の差があります。「生理があれば妊娠能力がある」のではありません。
一方、AMH<0.1でも、卵子がないわけではありません。また数千個は残っているのです。「AMH<0.1では妊娠できない」のではなく、「残されている時間は少ないですが、急いで治療しましょう」と考えて下さい。
学会に参加して、新しい知識を仕入れると、今直面している難しい不妊症の方にすぐに試してみようという元気が出ます。
明日からもまた一緒にがんばっていきましょう。
今回は、「AgingとART」という非常に興味のある内容です。
特に、卵巣機能の低下に対する対処法についての、様々な先生方の工夫が勉強になりました。
非常にすっきりした話題として「アンチエイジングと不妊治療は同一線上にある」と、明言した講演を聴き、当クリニックでも進めている方向性が間違いでないことを確信しました。
特に、食後血糖と妊娠率、アンチエイジング(不妊・加齢・癌・美肌は、同じ原因なのです)は密接に関連しています。採卵数の少ない方、卵子の質の良くない方は積極的に糖負荷検査やコレステロールの検査などをお勧め致します。糖尿病の薬も積極的に使用しても良いようです。
<豆知識>
通常は、卵子の99.9%は閉鎖し排卵まで行くのは0.1%以下です。卵子の有効利用を考えましょう。「自然排卵が最も良い」とは限りません。出来るだけ若いうちの卵子を利用・保存しておくことも有効な選択肢と考えては如何でしょうか。
最終妊娠能力時期と閉経(50歳前後)には、9年程度の差があります。「生理があれば妊娠能力がある」のではありません。
一方、AMH<0.1でも、卵子がないわけではありません。また数千個は残っているのです。「AMH<0.1では妊娠できない」のではなく、「残されている時間は少ないですが、急いで治療しましょう」と考えて下さい。
学会に参加して、新しい知識を仕入れると、今直面している難しい不妊症の方にすぐに試してみようという元気が出ます。
明日からもまた一緒にがんばっていきましょう。
2013年9月7日土曜日
祝 妊娠1万人達成のご報告
1ヶ月半のご無沙汰でした。皆さん、お変わりがございませんでしょうか。
今年の夏は、異常な暑さでした。公式には私は「夏ばて」と雑用でブログを更新でませんでした。決して、「余計な事を書くのではなく、皆さんの役に立つものを書きなさい」と言われ、ネタが尽きたから休んでいたのではありませんよ~。(と、心の叫び?・・・これも余計な事でした)
長らく空白であった間も、多くの方がブログを見て下さり、心より御礼申し上げます。
この夏にも、様々な出来事、研修会、学びの場、出会いがありました。
また、皆さんのお役に立てる情報を心がけていきたいと思います。
さて、皆さんに非常にうれしいご報告をさせて頂きます。
2013年9月2日、クリニック開院後、妊娠された方が10,000人(例)に到達致しました。
この結果は、様々な方に支えられて達成されたものだと思います。ご協力頂いた方々に、心より御礼申し上げます。
1999年に千葉市に開院して14年目ですが、一つの大きな目標に到達したと思います。
開院時には想像していなかった数字ですが、クリニックを開院し、スタッフと協力しておこなった診療、歩んできた年月、を改めて実感致しました。この地で少しは社会に貢献できていれば幸いです。
これからも、スタッフとともに、気持ちも新たに、今まで以上に充実した診療を心がけてゆきたいと考えています。
皆さん!一緒に、またがんばっていきましょう。
2013年7月22日月曜日
クラインフェルター症候群(重度精子減少症)、射精精子でのICSIと妊娠
クラインフェルター症候群は、染色体は47XXY(男性)でます。
症状としては、重度の男性不妊であり、無精子症か、わずかな精子しか認めません。
このような方には、通常は主に精巣から手術で精子を取り出すTESEが必要になります。
今回、射精精子に、わずかながら運動精子を認め、射精精子でのICSIにより2回目の妊娠をされました。
女性は33歳であり、採卵数は20個得られました。ICSIで多数の保存胚を得られました。
男性の体細胞の染色体異常があると、精子の多くが染色体異常であると考える方もいますが、必ずしもそうではなく、精子まで分化が進む過程で染色体異常は徐々に排除されているようです。
すでにICSIで1児をもうけており、今回2回目の妊娠です。この点に通常では精子の染色体異常は少なくないとされます。次回来院時に直接ご相談致しましょう。
症状としては、重度の男性不妊であり、無精子症か、わずかな精子しか認めません。
このような方には、通常は主に精巣から手術で精子を取り出すTESEが必要になります。
今回、射精精子に、わずかながら運動精子を認め、射精精子でのICSIにより2回目の妊娠をされました。
女性は33歳であり、採卵数は20個得られました。ICSIで多数の保存胚を得られました。
男性の体細胞の染色体異常があると、精子の多くが染色体異常であると考える方もいますが、必ずしもそうではなく、精子まで分化が進む過程で染色体異常は徐々に排除されているようです。
すでにICSIで1児をもうけており、今回2回目の妊娠です。この点に通常では精子の染色体異常は少なくないとされます。次回来院時に直接ご相談致しましょう。
2013年7月16日火曜日
婦人科内視鏡手術 全国統計 励みの記事です
7月7日の読売新聞に、産科婦人科内視鏡学会の技術認定医の施設の内視鏡手術実績全国調査の結果が掲載されました。
この調査によると、当クリニックは、子宮鏡下手術では、千葉県内では最も多い手術数です。なお全国では7位でした。
当クリニックでおこなっている子宮鏡手術は、主に子宮内膜ポリープ切除術と、子宮鏡下子宮筋腫摘出術で、すべて日帰り手術なのがメリットと言えます。その他、子宮中隔切除術、子宮内膜癒着剥離術、なども日帰りでおこなっています。
朝11時に来院、午後1時頃より手術開始。ポリープ切除術は10~20分、子宮筋腫摘出術は、10~40分程度です。あまり時間はかかりません。一方、3cm以上の子宮筋腫は、日帰りでの手術は困難で入院が必要でしょう。麻酔は静脈麻酔か全身麻酔になります。夕方5時には帰宅ですが、お迎えかタクシーのご利用をお勧めしています。
体外受精での反復不成功の方では、3~4割の方に、子宮内膜ポリープや癒着が認められたとの報告もあります。したがって体外受精でも子宮鏡検査は重要な検査なのですね。
卵管鏡下卵管形成術は、全国で6位でした。これは少ないので、どんぐりの背比べでしょうか。実際にはもっと多くしている施設があります。
このデータは、内視鏡学会の技術認定医がいる施設であり、全国すべての施設のデータではありませんが、自分たちのおこなっていることが確認でき、とても励みになるものでした。
今後もがんばっていくぞ~!!
腹腔鏡 子宮鏡下 卵管鏡下
総数 手術 卵管形成術
.jpg)
この調査によると、当クリニックは、子宮鏡下手術では、千葉県内では最も多い手術数です。なお全国では7位でした。
当クリニックでおこなっている子宮鏡手術は、主に子宮内膜ポリープ切除術と、子宮鏡下子宮筋腫摘出術で、すべて日帰り手術なのがメリットと言えます。その他、子宮中隔切除術、子宮内膜癒着剥離術、なども日帰りでおこなっています。
朝11時に来院、午後1時頃より手術開始。ポリープ切除術は10~20分、子宮筋腫摘出術は、10~40分程度です。あまり時間はかかりません。一方、3cm以上の子宮筋腫は、日帰りでの手術は困難で入院が必要でしょう。麻酔は静脈麻酔か全身麻酔になります。夕方5時には帰宅ですが、お迎えかタクシーのご利用をお勧めしています。
体外受精での反復不成功の方では、3~4割の方に、子宮内膜ポリープや癒着が認められたとの報告もあります。したがって体外受精でも子宮鏡検査は重要な検査なのですね。
卵管鏡下卵管形成術は、全国で6位でした。これは少ないので、どんぐりの背比べでしょうか。実際にはもっと多くしている施設があります。
このデータは、内視鏡学会の技術認定医がいる施設であり、全国すべての施設のデータではありませんが、自分たちのおこなっていることが確認でき、とても励みになるものでした。
今後もがんばっていくぞ~!!
腹腔鏡 子宮鏡下 卵管鏡下
総数 手術 卵管形成術
.jpg)
.jpg)
ラベル:
子宮鏡下手術、 卵管鏡下卵管形成術
,
全国調査
2013年6月19日水曜日
AMH<0.1 40歳 HSG後、自然妊娠
40歳 AMH<0.1 HSG後、来院2ヶ月で妊娠された方がいらっしゃいました。
多くの方が、AMH<0.1であると、妊娠しづらいのですか?体外受精でないと無理なのですか?とお聞きになります。
AMHは残存卵子数を示しているのであり、卵子の質を反映はしていません。
したがって、AMH<0.1でも妊娠される方は少なくはないのですよ。40歳の方でも妊娠し、卒業されました。またHSG後の自然妊娠も可能なのですよ。どんどん交渉を持ちましょう。
AMH<0.1でも、排卵があるならばがんばっていきましょう。
多くの方が、AMH<0.1であると、妊娠しづらいのですか?体外受精でないと無理なのですか?とお聞きになります。
AMHは残存卵子数を示しているのであり、卵子の質を反映はしていません。
したがって、AMH<0.1でも妊娠される方は少なくはないのですよ。40歳の方でも妊娠し、卒業されました。またHSG後の自然妊娠も可能なのですよ。どんどん交渉を持ちましょう。
AMH<0.1でも、排卵があるならばがんばっていきましょう。
5回胚移植不能で、7回目に妊娠したAMH<0.1の症例
AMH<0.1で、過去6回の採卵で、胚移植出来たのは1回のみ。両側卵管水腫
7回目の自然周期で4個採卵、ICSIを1個におこない授精、胚移植、妊娠。現在妊娠5週。
卵巣機能が低下していても、卵胞が出来るならば、自然周期やクロミフェン程度で挑戦していくこともあり得る手段だとおもいます。
AMH<0.1のかなりの卵巣機能が低下している場合には、自然周期の有効症例もありますね。
また、AMH<0.1でも、かつ自然周期でも、4個採卵されることもあるのですね。3個は未熟、変性でしたが、、、
DHEA使用。、サンビーマー、メラトニンなど使用していました。
良い経過であって欲しいな~
7回目の自然周期で4個採卵、ICSIを1個におこない授精、胚移植、妊娠。現在妊娠5週。
卵巣機能が低下していても、卵胞が出来るならば、自然周期やクロミフェン程度で挑戦していくこともあり得る手段だとおもいます。
AMH<0.1のかなりの卵巣機能が低下している場合には、自然周期の有効症例もありますね。
また、AMH<0.1でも、かつ自然周期でも、4個採卵されることもあるのですね。3個は未熟、変性でしたが、、、
DHEA使用。、サンビーマー、メラトニンなど使用していました。
良い経過であって欲しいな~
ラベル:
AMH<0.1 反復不成功
12回目のAIHでの妊娠例(初回HMG注射周期)
36歳の方が、12回目のAIHで妊娠されました。PCO
第一子は、最初のクロミフェン-AIHで妊娠/出産。
第二子も、AIHの方針。
通常は決して12回まではおこなわないのですが、ご本人のご希望もあり、継続していた上での妊娠でした。
クロミフェン、メトホルミン併用、11回AIH するも妊娠せず。
今回、初めてHMG注射-AIH施行し、妊娠/卒業しました。
AIH周期でも、HMG注射の効果をアピールできる症例だと思います。
クロミフェン-AIHで結果が出ない方は、HMG-AIHを採用しては如何でしょう。
途中で2回ほどHMG注射をお勧めしているのでしたが、より強くお勧めすればとの反省が残ります。
お子様が無事誕生されることを願っております。
第一子は、最初のクロミフェン-AIHで妊娠/出産。
第二子も、AIHの方針。
通常は決して12回まではおこなわないのですが、ご本人のご希望もあり、継続していた上での妊娠でした。
クロミフェン、メトホルミン併用、11回AIH するも妊娠せず。
今回、初めてHMG注射-AIH施行し、妊娠/卒業しました。
AIH周期でも、HMG注射の効果をアピールできる症例だと思います。
クロミフェン-AIHで結果が出ない方は、HMG-AIHを採用しては如何でしょう。
途中で2回ほどHMG注射をお勧めしているのでしたが、より強くお勧めすればとの反省が残ります。
お子様が無事誕生されることを願っております。
ラベル:
AIH、HMG注射、反復不成功
2013年6月18日火曜日
男性性腺機能低下症、ICSIの恩恵
最近では顕微授精ICSIが出来る様になって、以前ではお子さんを得られない重度の男性不妊のカップルも、お子さんを抱くことが不可能でなくなってきています。
今回、男性の性腺機能低下症のため、通常では精子が作られないカップルがいらっしゃいました。
LHとFSHが分泌されないために、精巣が眠ってしまい、精子が作られないのです。
男性には、女性におこなう排卵誘発剤と同じ、HMG注射とHCG注射を定期的に注射して、少数ながらもICSIをおこなえるだけの精子が得られました。
5個の卵子にICSIをおこない、3個胚盤胞になり、1個移植。
初回の顕微授精で妊娠、卒業されました。
ご主人はとても感動していらっしゃいました。
今後も順調に経過して、元気なお子様が誕生されることをお祈りするのみです。
少量の精子のみのカップルには、ICSIのパワーを本当に感じます。
今回、男性の性腺機能低下症のため、通常では精子が作られないカップルがいらっしゃいました。
LHとFSHが分泌されないために、精巣が眠ってしまい、精子が作られないのです。
男性には、女性におこなう排卵誘発剤と同じ、HMG注射とHCG注射を定期的に注射して、少数ながらもICSIをおこなえるだけの精子が得られました。
5個の卵子にICSIをおこない、3個胚盤胞になり、1個移植。
初回の顕微授精で妊娠、卒業されました。
ご主人はとても感動していらっしゃいました。
今後も順調に経過して、元気なお子様が誕生されることをお祈りするのみです。
少量の精子のみのカップルには、ICSIのパワーを本当に感じます。
再度、不思議な体験
2週間ぶりのブログです。
再度、不思議な体験談を聞きました。
第一子が凍結胚移植での妊娠/出産。
40歳で、第二子を希望して、完全自然周期での体外受精。AMHは約0.6
2個採卵でき、1個は未熟。顕微授精で1個受精し、胚移植しました。
妊娠判定当日、ご本人は怖くて上のお子さんには何も話してなかったそうですが、
「赤ちゃんがおなかにいるよ」と話したそうです。予言?
妊娠反応が陽性で出たとき、驚いて、お話しして下さいました。
皆さんはどのようにお考えでしょう?
私は人間への不思議さと畏敬の念、今後もいろいろ知ってみたいと思っています。
再度、不思議な体験談を聞きました。
第一子が凍結胚移植での妊娠/出産。
40歳で、第二子を希望して、完全自然周期での体外受精。AMHは約0.6
2個採卵でき、1個は未熟。顕微授精で1個受精し、胚移植しました。
妊娠判定当日、ご本人は怖くて上のお子さんには何も話してなかったそうですが、
「赤ちゃんがおなかにいるよ」と話したそうです。予言?
妊娠反応が陽性で出たとき、驚いて、お話しして下さいました。
皆さんはどのようにお考えでしょう?
私は人間への不思議さと畏敬の念、今後もいろいろ知ってみたいと思っています。
2013年6月5日水曜日
早期のAMH測定で、治療を急いで奏功した一例
最近、AMHを測定することで、対策が早期にとれた方がいらっしゃったので、ご紹介致します。
31歳でAMHが2.7pMと、卵巣年齢48~49歳相当の方でした。
排卵誘発は6周期、左の卵管の癒着を疑われていました。
AMHの値と、卵管癒着の可能性を考えて、すぐにIVFを選択されました。
クロミフェン-HMGで排卵誘発し、2個採卵し、1個胚移植して妊娠、出産。
1個は胚盤胞まで分割し、凍結保存。今年、凍結胚を胚移植して妊娠し、卒業しました。
この方は初回のIVFで2個の採卵で、2人妊娠された方です。
AMHが低く、卵管因子など他の不妊要因がある場合には、IVFへの早期の移行が、それだけ妊娠する可能性が高いことを感じた症例でした。
31歳でAMHが2.7pMと、卵巣年齢48~49歳相当の方でした。
排卵誘発は6周期、左の卵管の癒着を疑われていました。
AMHの値と、卵管癒着の可能性を考えて、すぐにIVFを選択されました。
クロミフェン-HMGで排卵誘発し、2個採卵し、1個胚移植して妊娠、出産。
1個は胚盤胞まで分割し、凍結保存。今年、凍結胚を胚移植して妊娠し、卒業しました。
この方は初回のIVFで2個の採卵で、2人妊娠された方です。
AMHが低く、卵管因子など他の不妊要因がある場合には、IVFへの早期の移行が、それだけ妊娠する可能性が高いことを感じた症例でした。
ラベル:
IVF 早期 AMH
,
卵巣機能低下
2013年6月2日日曜日
人工授精で伝えたい短編
人工授精で皆さんに伝えたいことを簡単にまとめました。
ご参考になれば幸いです。
1)人工授精の効果(5~6回まで)と限界(40歳まで)
人工授精は有効な不妊治療の一手段です。妊娠率は30歳代で約10%ですが、効果は5~6回までとお考え下さい。同じ治療法をおこなっても、それ以上では妊娠率はかなり低くなります。ただし、自然周期、クロミフェン、HMG注射と、排卵誘発により妊娠率は高くなりますので、排卵誘発してのステップアップは有効です。
一方、40歳以上の方の妊娠率は2~4%で、妊娠しても約半数の方は流産します。もちろん40歳以上の方でも人工授精で妊娠/出産される方はいらっしゃいますが、「お勧めする方法」ではなく、40歳以上の方には「AIHはご希望ならばお受け致します」というニュアンスの方法なのです。「40歳以上の方の第一選択は体外受精」なのです。ただし、卵管が正常ならば、体外受精と人工授精を併用しても良いのです。体外受精の方も、自然妊娠やAIHでの可能性も併用してよいのですね。
2)人工授精への誤解
①濃い精子が良い?(禁欲期間が長い方が良い?)
人工授精では、禁欲期間が長いほど妊娠率が高くなる、と考えていませんか。実は、タイミング法でも、人工授精/体外受精でも、禁欲期間が長くなればなるほど妊娠率は下がるのです。「精子が濃い方が妊娠率が高い」と考える方が多いですが、「古い精子を貯めるよりも、新鮮な精子の方が妊娠しやすい」のです。人工授精の前日でも交渉を持って良いのですよ。
②AIHはタイミング法より低い妊娠率?
「タイミング法の妊娠率は10~15%程度、AIHの妊娠率は5~10%」とよく聞く?ので、AIHの妊娠率はタイミング法よりも低いと考えていませんか。タイミング法の妊娠率は、大きな不妊原因がない方が対象です。AIHの妊娠率は、タイミング法で妊娠しなかった、精子が良くない方が主な対象です。これらを単純に比較することは間違いであり、人工授精はタイミング方より有効な治療法なのです。
人工授精は基本的な一般不妊治療ですが、コストパフォーマンスを考えると非常に良い方法なのです。体外受精が脚光を浴びる時代ですが、AIHも見直しては如何でしょうか。
2013年5月21日火曜日
ホームページの更新(1)
今回、ホームページを更新しました。
1)アンチエイジングのページの新設
2)妊娠1万例にむけての、妊娠数の掲示
3)学会発表の実績
などです。
特にアンチエイジングの、不妊治療への応用ついて、徐々に充実させていく予定です。
皆さんも時々チェックしてみて下さい。
信頼の置けるアンチエイジングの情報をまとめたいと思います。
また、今回のアップで、投稿がもうすぐ100になります。
まだまだ少ないとは思いますが、少しずつでも、蓄積していきたいと思います。
1)アンチエイジングのページの新設
2)妊娠1万例にむけての、妊娠数の掲示
3)学会発表の実績
などです。
特にアンチエイジングの、不妊治療への応用ついて、徐々に充実させていく予定です。
皆さんも時々チェックしてみて下さい。
信頼の置けるアンチエイジングの情報をまとめたいと思います。
また、今回のアップで、投稿がもうすぐ100になります。
まだまだ少ないとは思いますが、少しずつでも、蓄積していきたいと思います。
ラベル:
アンチエイジング ホームページ 更新
,
投稿数 100
2013年5月16日木曜日
培養室の3本の矢!?
5月に培養室に工事が入り、新たに機材が増強されました。今風にいえば、培養室「3本の矢」!?です。
一の矢;エンブリオスコープ(EmbryoScope) 胚の成長過程を自動モニタリング出来るシステムです。胚の観察と、より高度な分析・評価が可能とされます。現在機材の調整中ですが、6月頃より稼働予定です。これでより良い胚の発育や評価が可能になると期待されます。これで喜ぶのは子供じみていますが、何となくうれしい。
二の矢; 培養器監視装置 培養室には多くの培養器があるのですが、それらを監視して、異常時には、院長や培養室スタッフにいつでも連絡がされるようになりました。異常時には即座に対応可能となりました。夜中の異常は出来るだけ避けたいな~。日頃の点検がより重要ですね。
三の矢; 培養室の非常電源装置が増強されました。大容量のバッテリーの増強により、ほとんどの培養器の非常電源が整い、顕微鏡などの機材への電源供給も可能となりました。東日本大震災でも幸いに停電にはなりませんでしたが、緊急時への備えがより増強されました。
一の矢;エンブリオスコープ(EmbryoScope) 胚の成長過程を自動モニタリング出来るシステムです。胚の観察と、より高度な分析・評価が可能とされます。現在機材の調整中ですが、6月頃より稼働予定です。これでより良い胚の発育や評価が可能になると期待されます。これで喜ぶのは子供じみていますが、何となくうれしい。
二の矢; 培養器監視装置 培養室には多くの培養器があるのですが、それらを監視して、異常時には、院長や培養室スタッフにいつでも連絡がされるようになりました。異常時には即座に対応可能となりました。夜中の異常は出来るだけ避けたいな~。日頃の点検がより重要ですね。
三の矢; 培養室の非常電源装置が増強されました。大容量のバッテリーの増強により、ほとんどの培養器の非常電源が整い、顕微鏡などの機材への電源供給も可能となりました。東日本大震災でも幸いに停電にはなりませんでしたが、緊急時への備えがより増強されました。
準備は整いました。これで成績がより向上し、安定して行える様になることを期待しています。
2013年5月15日水曜日
4月の妊娠数。妊娠1万例までのカウントダウン。
4月の妊娠数が集計されました。4月は81例の妊娠数でした。好調な妊娠数が2~4月まで持続しています。ARTでの妊娠数が50例。AIHが13例、それ以外の一般不妊治療で18例の妊娠数でした。開院以来の妊娠1万例まで、あと280例になりました。また皆さんと一緒にがんばっていきま~す!!
2013年5月7日火曜日
新しい出生前診断の葛藤(アエラより)
2013年5月6日~13日号に、新しい出生前診断「非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)」の記事が載っていました。技術の革新はめざましいことがある一方、人間には様々な葛藤があることを思い出させる記事となっています。「産む・産まないの2択では割り切れない」のです。非常に難しく、微妙な問題なので、私のコメントは必要ないでしょう。関心のある方は是非読んでみて下さい。
2013年5月6日月曜日
書評2 「こうのとり追って」 晩産化時代の妊娠・出産 毎日新聞社取材班
この本も、不妊治療を受けている方に読んで頂きたい本です。
当クリニックでも、職員にも課題図書として読んでもらっていますし、クリニックの待合室にも複数、おいてあります。
「まさかの不妊」「不妊治療の光と影」「卵子・精子提供という選択」「出生前診断のいま」「不育症の苦しみ」「心でつながる親子」という目次を見ると判るように、不妊治療から養子まで、多岐にわたって取材されています。
詳しい内容は直接読んで頂いた方が良いでしょう。
総評としては、不妊治療を受けるにしても、出生前診断を受けるにしても、生む選択・生まない選択、養子という選択をするにしても、決して「白黒」はっきりしているものではなく、様々な考え方があり、問題も解決策も一つではないと考えさせられる本であり、不妊治療を受けている方のみではなく、是非医療関係者にも読んで頂きたい本です。
ただし、いくつか細かい点でのコメントは述べさせて頂きます。
P24からは、当クリニックでも診療をお手伝い頂いている千葉大学医学部泌尿器科教授の市川智彦先生のコメントも載っています。市川先生は生殖医学会副理事長でもあるのです。ここまで来たら、毎日さん、高橋にも声をかけて欲しかったな~。(なんて実際は私には荷が重いでしょうね)
この本では、「排卵誘発剤を使用することで、体を痛めたり、排卵誘発剤を長年使うと採卵しにくくなる」との論調をとっていますが、これは私は誤解を生みやすい書き方だと思います。実際には排卵誘発剤を使用した方が、妊娠率が高いし、妊娠時期が早まることはデータとしてでています。むしろ使用しないでいると、それだけ妊娠までの時間がかかり、実際には時間切れになってしまう可能性が高くなります。自然の方が妊娠率が高く、妊娠時期が早いというデータは見たことがありません。(実際にはこのような比較データはとれないでしょう)この本でも最初に書かれているように不妊治療で今問題なのは、「卵子の老化」であり、女性の年齢なのです。今の大半の不妊治療の方の問題は、「年齢」です。高齢の方は排卵誘発剤を使用しなくても、急速に卵巣の機能は低下し、半年でも明らかに卵子数は低下し、染色体異常も増え、排卵障害もおこりやすくなるのです。排卵誘発剤の使用の有無ではなく、むしろ少しでも若いときの卵子を利用できるように努力する方向性を考えることが重要でしょう。私のクリニックでも自然周期やマイルド法も採用していますが、自然な事にこだわりすぎると、それだけで時間切れとなります。この本の中での方は、非常に高齢であり、排卵誘発剤の使用の有無が問題でなかった、とも考えられるのです。
私のクリニックも属しているJISARTの中の数施設は、日本での卵子提供も倫理委員会を設置して開始しています。これは日本産科婦人科学会にも容認されています。しかし、JISART全部の施設が、卵子提供を推進しているものでもありません。JISART自体は、より高度で信頼の出来る生殖補助医療を提供することを本来の目的としており、「卵子提供を目的」としているものではありません。実際に卵子提供プログラムを進めるかどうかは、各施設の判断によるのです。私のクリニックでは、卵子提供をおこなえる時期ではないと判断しています。
不育症の項目で”「また流産」原因不明が6割”は非常に誤解を招く数字です。この本でも書かれているように、流産の8割は偶然おきた胎児の染色体異常です。したがって、2回流産された方のほとんど(約2/3)は偶然おきた染色体異常であり、それ以外の不育症の原因は少ないのです。2回連続流産した方でも何もしなくても3回目では約7割の方が妊娠継続します。3回連続流産された方でも、4回目では約5割が妊娠継続します。「不育症の”原因不明”が6割」は誤解を招きます。別の言い方をすれば、「不育症の大半が、特別な不育症の原因がなく、偶然おきた赤ちゃんの染色体異常ですよ。」とも言えるのです。またこの本での不育症は、2回で不育症としていますが、習慣流産は依然として3回連続の流産と定義されます。最近では妊娠回数が少なくなっているので、2回連続でも反復流産として不育症の検査をしてもよいでしょう、という意味とお考え頂いた方が良いでしょう。また名古屋市大の杉浦教授(不育症の第一人者です)も指摘しているように、1回の検査結果で、12因子やプロテインSなどの血液凝固能などの不育症の診断は出来ません。異常値は再検査して”判断”すべきだと思います。当クリニックで異常値を再検査すると、半数以上は正常値を示します。人間の血液の検査では、このようなことは頻回におこっているのです。
具体的な医療技術の話だと、話は終わらなくなってしまいます。ここまで一気に書いたところで、反省しています。
最後に、再度、この本は、今治療を受けている当事者に限らず、医療関係者にも是非読んで頂きたい、様々な問題を投げかけている、非常にお勧めのルポルタージュです。
当クリニックでも、職員にも課題図書として読んでもらっていますし、クリニックの待合室にも複数、おいてあります。
「まさかの不妊」「不妊治療の光と影」「卵子・精子提供という選択」「出生前診断のいま」「不育症の苦しみ」「心でつながる親子」という目次を見ると判るように、不妊治療から養子まで、多岐にわたって取材されています。
詳しい内容は直接読んで頂いた方が良いでしょう。
総評としては、不妊治療を受けるにしても、出生前診断を受けるにしても、生む選択・生まない選択、養子という選択をするにしても、決して「白黒」はっきりしているものではなく、様々な考え方があり、問題も解決策も一つではないと考えさせられる本であり、不妊治療を受けている方のみではなく、是非医療関係者にも読んで頂きたい本です。
ただし、いくつか細かい点でのコメントは述べさせて頂きます。
P24からは、当クリニックでも診療をお手伝い頂いている千葉大学医学部泌尿器科教授の市川智彦先生のコメントも載っています。市川先生は生殖医学会副理事長でもあるのです。ここまで来たら、毎日さん、高橋にも声をかけて欲しかったな~。(なんて実際は私には荷が重いでしょうね)
この本では、「排卵誘発剤を使用することで、体を痛めたり、排卵誘発剤を長年使うと採卵しにくくなる」との論調をとっていますが、これは私は誤解を生みやすい書き方だと思います。実際には排卵誘発剤を使用した方が、妊娠率が高いし、妊娠時期が早まることはデータとしてでています。むしろ使用しないでいると、それだけ妊娠までの時間がかかり、実際には時間切れになってしまう可能性が高くなります。自然の方が妊娠率が高く、妊娠時期が早いというデータは見たことがありません。(実際にはこのような比較データはとれないでしょう)この本でも最初に書かれているように不妊治療で今問題なのは、「卵子の老化」であり、女性の年齢なのです。今の大半の不妊治療の方の問題は、「年齢」です。高齢の方は排卵誘発剤を使用しなくても、急速に卵巣の機能は低下し、半年でも明らかに卵子数は低下し、染色体異常も増え、排卵障害もおこりやすくなるのです。排卵誘発剤の使用の有無ではなく、むしろ少しでも若いときの卵子を利用できるように努力する方向性を考えることが重要でしょう。私のクリニックでも自然周期やマイルド法も採用していますが、自然な事にこだわりすぎると、それだけで時間切れとなります。この本の中での方は、非常に高齢であり、排卵誘発剤の使用の有無が問題でなかった、とも考えられるのです。
私のクリニックも属しているJISARTの中の数施設は、日本での卵子提供も倫理委員会を設置して開始しています。これは日本産科婦人科学会にも容認されています。しかし、JISART全部の施設が、卵子提供を推進しているものでもありません。JISART自体は、より高度で信頼の出来る生殖補助医療を提供することを本来の目的としており、「卵子提供を目的」としているものではありません。実際に卵子提供プログラムを進めるかどうかは、各施設の判断によるのです。私のクリニックでは、卵子提供をおこなえる時期ではないと判断しています。
不育症の項目で”「また流産」原因不明が6割”は非常に誤解を招く数字です。この本でも書かれているように、流産の8割は偶然おきた胎児の染色体異常です。したがって、2回流産された方のほとんど(約2/3)は偶然おきた染色体異常であり、それ以外の不育症の原因は少ないのです。2回連続流産した方でも何もしなくても3回目では約7割の方が妊娠継続します。3回連続流産された方でも、4回目では約5割が妊娠継続します。「不育症の”原因不明”が6割」は誤解を招きます。別の言い方をすれば、「不育症の大半が、特別な不育症の原因がなく、偶然おきた赤ちゃんの染色体異常ですよ。」とも言えるのです。またこの本での不育症は、2回で不育症としていますが、習慣流産は依然として3回連続の流産と定義されます。最近では妊娠回数が少なくなっているので、2回連続でも反復流産として不育症の検査をしてもよいでしょう、という意味とお考え頂いた方が良いでしょう。また名古屋市大の杉浦教授(不育症の第一人者です)も指摘しているように、1回の検査結果で、12因子やプロテインSなどの血液凝固能などの不育症の診断は出来ません。異常値は再検査して”判断”すべきだと思います。当クリニックで異常値を再検査すると、半数以上は正常値を示します。人間の血液の検査では、このようなことは頻回におこっているのです。
具体的な医療技術の話だと、話は終わらなくなってしまいます。ここまで一気に書いたところで、反省しています。
最後に、再度、この本は、今治療を受けている当事者に限らず、医療関係者にも是非読んで頂きたい、様々な問題を投げかけている、非常にお勧めのルポルタージュです。
2013年5月5日日曜日
エドワード博士を偲んで(ノーベル賞受賞者との偶然の同席)
1978年世界初の体外受精児を誕生させ、2010年にノーベル医学生理学賞を受賞したロバート・エドワード博士が4月10日に亡くなられました。87歳でした。
エドワード博士の業績は、ここで述べるまでもありませんが、初期には 「試験管ベビー」と呼ばれ、生命の誕生に人が手を加えることの是非で大論争になりましたが、現在は不妊症の中心的治療として定着しています。体外受精・胚移植により世界ですでに400万人が誕生し、日本でも、毎年1万人以上のお子さんが体外受精や顕微授精などでの高度生殖医療で誕生されています。
現在不妊治療に関わっている私にとっても、生きがいや生きる意義を与えて下さった方と考えています。
実はおよそ12年前のことですが、エドワード博士とは、2001年にお目にかかる機会がありました。日本での第4回日本IVF学会(淡路島)だったのですが、エドワード博士も招待されていたのです。
すでに発表が始まっていた学会場に遅れて入った私は、暗い中で混雑している会場で、目の前に偶然?空いていた椅子に”ラッキー”と思って座ったのです。ある発表が終わって、明かりがついたときに隣を見て驚きました。隣に座っていたのがエドワード博士だったのです。
何と、”偶然”空いていたと思っていた椅子は、おそらくは他の皆さんが遠慮して座らずにいたために空いていた椅子だったのでした。遅れてきた私は、隣が誰かも判らずに座っていたのです。
エドワード博士は、隣に座った誰だかも分からない若造に、その時の発表に対してのコメントを気さくに話しかけてきました。私は舞い上がってしまい(舞い上がってなくても同じだったと思いますが)、何を言っているのか良く判らずに、単に”YES”YES”と微笑み返しをしているだけでした。
エドワード博士は、とても温和で暖かみのある話し方をされ、理解していないであろう若造にも、笑顔で話して下さりました。私は、その時には尻込みしてすぐにでもその場を離れた方が良いのではないかと思っていましたが、今では今後2度とないであろう、ノーベル賞受賞者との接触だったのです。エドワード博士は握手にも気さくに応じて下さりましたが、暖かく柔らかい大きな手であったと記憶しています。
世界に影響を与える業績を積み上げたにもかかわらず、柔和で、気さくに話しかけて下さったエドワード博士のお人柄は、(業績では当然目標にすることさえおこがましいのですが)、今でも私のお手本でなのです。エドワード博士の日常をほとんど知らない私がこのように書くこと自体不遜かもしれませんが、勝手にお手本・目標にしていることはお許し頂きたいと思っています。
エドワード博士をお手本に、私もあと何年がんばれるか判りませんが、自分の生きがい・存在意義を認識しつつ、エドワード博士の業績の恩恵を一人でも多くの皆さんに届けられるよう精一杯生きていきたいと思います。
エドワード博士のご冥福をお祈り致します。合掌
エドワード博士の業績は、ここで述べるまでもありませんが、初期には 「試験管ベビー」と呼ばれ、生命の誕生に人が手を加えることの是非で大論争になりましたが、現在は不妊症の中心的治療として定着しています。体外受精・胚移植により世界ですでに400万人が誕生し、日本でも、毎年1万人以上のお子さんが体外受精や顕微授精などでの高度生殖医療で誕生されています。
現在不妊治療に関わっている私にとっても、生きがいや生きる意義を与えて下さった方と考えています。
実はおよそ12年前のことですが、エドワード博士とは、2001年にお目にかかる機会がありました。日本での第4回日本IVF学会(淡路島)だったのですが、エドワード博士も招待されていたのです。
すでに発表が始まっていた学会場に遅れて入った私は、暗い中で混雑している会場で、目の前に偶然?空いていた椅子に”ラッキー”と思って座ったのです。ある発表が終わって、明かりがついたときに隣を見て驚きました。隣に座っていたのがエドワード博士だったのです。
何と、”偶然”空いていたと思っていた椅子は、おそらくは他の皆さんが遠慮して座らずにいたために空いていた椅子だったのでした。遅れてきた私は、隣が誰かも判らずに座っていたのです。
エドワード博士は、隣に座った誰だかも分からない若造に、その時の発表に対してのコメントを気さくに話しかけてきました。私は舞い上がってしまい(舞い上がってなくても同じだったと思いますが)、何を言っているのか良く判らずに、単に”YES”YES”と微笑み返しをしているだけでした。
エドワード博士は、とても温和で暖かみのある話し方をされ、理解していないであろう若造にも、笑顔で話して下さりました。私は、その時には尻込みしてすぐにでもその場を離れた方が良いのではないかと思っていましたが、今では今後2度とないであろう、ノーベル賞受賞者との接触だったのです。エドワード博士は握手にも気さくに応じて下さりましたが、暖かく柔らかい大きな手であったと記憶しています。
世界に影響を与える業績を積み上げたにもかかわらず、柔和で、気さくに話しかけて下さったエドワード博士のお人柄は、(業績では当然目標にすることさえおこがましいのですが)、今でも私のお手本でなのです。エドワード博士の日常をほとんど知らない私がこのように書くこと自体不遜かもしれませんが、勝手にお手本・目標にしていることはお許し頂きたいと思っています。
エドワード博士をお手本に、私もあと何年がんばれるか判りませんが、自分の生きがい・存在意義を認識しつつ、エドワード博士の業績の恩恵を一人でも多くの皆さんに届けられるよう精一杯生きていきたいと思います。
エドワード博士のご冥福をお祈り致します。合掌
2013年5月4日土曜日
2013年4~5月の1ヶ月間の様々な出来事(1ヶ月ぶりのブログ)
ブログは1ヶ月ぶりとなります。新年度となり、通常よりも忙しい日々が続きまして、ブログを更新できませんでした。しかしこの1か月には、体外受精の祖エドワーズ博士の死去、開院14周年、妊娠10,000万例までもう少し、タイのクリニック訪問などあり、様々のことがあり、考えさせられることが沢山ありました。今後皆さんにもご報告致したいと思います。
登録:
投稿
(
Atom
)