2013年の1月の妊娠数は60名でした。昨年1月を上回る妊娠数であり、今年の滑り出しの成績は良好だと考えています。これもスタッフの協力、新規に導入した最新式(と考えている)超音波装置、設備を増強した胚培養室などの賜だと(都合良く)考えているのです。
現在の妊娠の内訳は、体外受精・凍結胚移植による妊娠が2/3以上であり、高度の不妊治療を必要とする方が年々増加している状況です。
昨年は1年間で785例の方が妊娠されましたので、今年は何とか年間妊娠数800例を目指したいと考えております。
先日も、減量をしっかりされて妊娠し、出産された方がお子さん共にクリニックに報告にいらっしゃいました。診療している我々もその姿を見ると、とてもうれしいですし本当に元気が出ます。今年も一人でも多くの方が妊娠されるよう、共にがんばっていきましょう。
2013年2月2日土曜日
2013年1月29日火曜日
胚移植後の乳がん
先日、42歳の方で、体外受精・胚移植後に、乳がんと診断された方がいらっしゃいました。当クリニックでの胚移植後に、他院で受けていた乳がん検査の結果が届き、そう診断されたのです。まずはこの治療が良好に進むことをお祈り致します。
乳がん検診は、40歳以上の方が対象とされているようですが、以前、20歳代の方の芸能人の方が乳がんで急逝されたこともありました。
今は、女性の8人に一人の方が乳がんになるとも言われています。
40歳以上、
出産経験がない、
肥満、
家族に乳がんになった方がいる、
などもリスク因子とのことです。
不妊治療を受ける方も、乳がん検診、自己検診をおこなって下さることをお勧め致します。
乳がん検診は、40歳以上の方が対象とされているようですが、以前、20歳代の方の芸能人の方が乳がんで急逝されたこともありました。
今は、女性の8人に一人の方が乳がんになるとも言われています。
40歳以上、
出産経験がない、
肥満、
家族に乳がんになった方がいる、
などもリスク因子とのことです。
不妊治療を受ける方も、乳がん検診、自己検診をおこなって下さることをお勧め致します。
45歳、AMH<0.1の出産報告
今年に入り、45歳の方の出産報告を受けました。この方は、AMHが0.1未満であり、初回の体外受精で1個胚移植し、幸運にも妊娠され、今回無事に出産されました。私としても、妊娠後も経過が気になっていた方でしたので、本当にうれしい限りです。このような朗報は多くの方に希望を抱かせることでもあり、皆さんにご報告致します。
一方、この方は本当に幸運であったと思います。実際には、このような成功例は非常に稀なので、妊娠を考えている方は、女性の年齢が最も影響しますから早めの治療をお考え下さい。
一方、この方は本当に幸運であったと思います。実際には、このような成功例は非常に稀なので、妊娠を考えている方は、女性の年齢が最も影響しますから早めの治療をお考え下さい。
2013年1月20日日曜日
一卵性品胎(三つ子)の出産例(凍結胚盤胞移植)
凍結胚盤胞を1個移植して、1卵性品胎(三つ子)になり、2児が誕生された例がありましたのでご紹介致します。
胚盤胞移植では、1%程度に1卵性双胎(双子)がおこります。当クリニックでは、胚盤胞移植は通常1個なのですが、今までに5例ぐらい双胎がおきています。
今回の方も1個の胚盤胞移植でしたが、1卵性品胎となり、心拍も3人とも妊娠10週時点では認めていました。3人のままでがんばる方針となり、妊娠33週で帝王切開分娩となりました。1児は途中で心拍停止となったようです。1卵性の多胎では、流早産になる可能性が高くなります。今回2児が早産でしたが誕生されました。今後、健やかに成長されることをお祈り致しています。
今回のように、1個の胚移植でも1卵性の多胎となることがあります。2個戻すと、2卵性の品胎もおこり得ますし、それ以上の場合もあります。
医療現場においては数字通りにはいかないこともしばしばあり、生殖医学はまだまだ解らないことも多いのですが、生命の神秘に畏敬の念を抱きながら、皆さんと共に赤ちゃんの誕生に向かって進んでいきたいと思います。
胚盤胞移植では、1%程度に1卵性双胎(双子)がおこります。当クリニックでは、胚盤胞移植は通常1個なのですが、今までに5例ぐらい双胎がおきています。
今回の方も1個の胚盤胞移植でしたが、1卵性品胎となり、心拍も3人とも妊娠10週時点では認めていました。3人のままでがんばる方針となり、妊娠33週で帝王切開分娩となりました。1児は途中で心拍停止となったようです。1卵性の多胎では、流早産になる可能性が高くなります。今回2児が早産でしたが誕生されました。今後、健やかに成長されることをお祈り致しています。
今回のように、1個の胚移植でも1卵性の多胎となることがあります。2個戻すと、2卵性の品胎もおこり得ますし、それ以上の場合もあります。
医療現場においては数字通りにはいかないこともしばしばあり、生殖医学はまだまだ解らないことも多いのですが、生命の神秘に畏敬の念を抱きながら、皆さんと共に赤ちゃんの誕生に向かって進んでいきたいと思います。
新年のご挨拶とクリニックの今年の方針
皆さん、新年明けましておめでとうございます。(かなり遅いご挨拶になってしましました)
年末年始には、留学先だったシアトルのワシントン大学の教授夫妻への挨拶と、サンフランシスコのクリニックを訪問してきました。
帰国後、時差ぼけ、疲労のためか体調が優れず、皆さんへのご挨拶も本日になってしまいました。
さて、昨年は、NHKの「卵子老化」の放映のためか、昨年半ばより、卵巣年齢検査や不妊治療をご希望なさる方が、予想以上に増加したために、待ち時間が長くなる、予約が取りにくい、電話が通じにくい、などのご不便をおかけ致しました。
その反省を元に、今年は、通院中の皆さんへのご不便を解消すべく、電話・携帯での予約システムの導入、事務処理の効率化、などを4月をめどに導入することと致しました。
一方、お手伝い頂いている女性医師が、諸事情により、一時的に休診となるため、クリニックの診察能力が2月より当面の間低下致します。
このような事情により、クリニックの診察能力が回復するまで、しばらくの間、新規診察ご希望の方は、体外受精など、不妊治療を急ぐ方を優先せざるをえない状況になってしまいました。新規診察をご希望の方には大変申し訳ありませんが、検査のみ、タイミング療法などをご希望の方は、しばらくお待ち頂けるよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
クリニックの状況が変わりましたらば、ホームページなどでお知らせ申し上げます。
通院中の皆さんには、より早期に、効率よく妊娠されるよう、診療内容も改善していく所存です。
今年もよろしくお願い申し上げます。
高橋ウイメンズクリニック
高橋敬一
年末年始には、留学先だったシアトルのワシントン大学の教授夫妻への挨拶と、サンフランシスコのクリニックを訪問してきました。
帰国後、時差ぼけ、疲労のためか体調が優れず、皆さんへのご挨拶も本日になってしまいました。
さて、昨年は、NHKの「卵子老化」の放映のためか、昨年半ばより、卵巣年齢検査や不妊治療をご希望なさる方が、予想以上に増加したために、待ち時間が長くなる、予約が取りにくい、電話が通じにくい、などのご不便をおかけ致しました。
その反省を元に、今年は、通院中の皆さんへのご不便を解消すべく、電話・携帯での予約システムの導入、事務処理の効率化、などを4月をめどに導入することと致しました。
一方、お手伝い頂いている女性医師が、諸事情により、一時的に休診となるため、クリニックの診察能力が2月より当面の間低下致します。
このような事情により、クリニックの診察能力が回復するまで、しばらくの間、新規診察ご希望の方は、体外受精など、不妊治療を急ぐ方を優先せざるをえない状況になってしまいました。新規診察をご希望の方には大変申し訳ありませんが、検査のみ、タイミング療法などをご希望の方は、しばらくお待ち頂けるよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
クリニックの状況が変わりましたらば、ホームページなどでお知らせ申し上げます。
通院中の皆さんには、より早期に、効率よく妊娠されるよう、診療内容も改善していく所存です。
今年もよろしくお願い申し上げます。
高橋ウイメンズクリニック
高橋敬一
2012年12月23日日曜日
1か月1,000個の卵子の減少
本日、日本を代表する九州のT先生、仙台のK先生、東京のS先生の4人で、座談会が開催されました。皆さんそれぞれご自身のポリシーを持ちつつ治療をおこなっており、大変勉強になる座談会でした。
さて、その中で、体外受精で、マイルド(自然)周期が良いか、排卵誘発剤を使用した方が良いか、やはり議論になりました。
もちろん、皆さんもマイルド(自然)周期もおこなっているのですが、やはり「一つの方法ですべての方に最も良い方法」はないとの意見でした。
PCOや卵巣機能低下症例は、マイルドや自然周期が良いようですが、卵巣機能がしっかりしている方には、しっかりと排卵誘発した方が、妊娠率も高く、経済的な面でも有効であるとの意見がでました。
自然周期を希望される皆さんの中には、排卵誘発剤を使用すると卵子が早く消費されて、閉経が早くなると考えている方がいらっしゃいます。
しかし、排卵誘発剤の使用で、卵子の消費が多くなり閉経が早く来るとの意見は明確ではありません。一方、自然周期でも1ヶ月1000個の卵子が消費されているのです。むしろ、卵子が少ない方こそ、早期の妊娠を目指すべきであるとの意見もあるのです。
排卵誘発は、やはりその方の卵巣機能、年齢などを考えて変える必要があるとお考え下さい。
一つの方法で最も良い方法があるわけではないのですね。
さて、その中で、体外受精で、マイルド(自然)周期が良いか、排卵誘発剤を使用した方が良いか、やはり議論になりました。
もちろん、皆さんもマイルド(自然)周期もおこなっているのですが、やはり「一つの方法ですべての方に最も良い方法」はないとの意見でした。
PCOや卵巣機能低下症例は、マイルドや自然周期が良いようですが、卵巣機能がしっかりしている方には、しっかりと排卵誘発した方が、妊娠率も高く、経済的な面でも有効であるとの意見がでました。
自然周期を希望される皆さんの中には、排卵誘発剤を使用すると卵子が早く消費されて、閉経が早くなると考えている方がいらっしゃいます。
しかし、排卵誘発剤の使用で、卵子の消費が多くなり閉経が早く来るとの意見は明確ではありません。一方、自然周期でも1ヶ月1000個の卵子が消費されているのです。むしろ、卵子が少ない方こそ、早期の妊娠を目指すべきであるとの意見もあるのです。
排卵誘発は、やはりその方の卵巣機能、年齢などを考えて変える必要があるとお考え下さい。
一つの方法で最も良い方法があるわけではないのですね。
ラベル:
卵巣年齢 卵子の減少
2012年12月3日月曜日
卵管切除側での排卵による妊娠
卵管を切除した側の卵巣から排卵した場合、皆さんは、妊娠の可能性は0だとお考えでしょうか。
今回、左の卵管を切除し、左側の卵巣から排卵(2回超音波検査をして確認済み)した周期に、妊娠された方がいらっしゃいました。今回は残念ながら、流産とはなりましたが、このようなこともあり得るのですね。以前にも何回かあるのですが、今回は超音波検査を2回しており、左右の間違いはないと思いますので、皆さんにご報告致します。
卵管や卵巣は、ある程度動きます。したがって、子宮の後ろで、左右の卵巣や卵管が近づいたときには、反対側の卵管に卵子が拾われて妊娠することは、多くはないのですが、時々あるのです。
片方の卵管を切除されている皆さん。卵管切除側の排卵でも、妊娠の可能性は0ではありません。交渉は普通通りに持ってみては如何でしょうか。
2012年11月27日火曜日
母体血液検査によるダウン症検査(米国産婦人科学会見解転載)
アメリカの産婦人科学会が、ダウン症の診断などに役立つ、母体の血液検査での出生前検査についての見解を出したとのメールがありましたので、転載致します。
米国産科婦人科学会(ACOG)は11月19日、無細胞胎児DNA(cffDNA)による血液検査によるトリソミーの出生前診断について委員会見解を発表した。検査の精度の高さを認めた上で、使用は高リスクの女性に限るべきであると説明している。
cffDNAによる検査は13番、18番、21番のそれぞれの染色体のトリソミーを検出することができる。妊娠10週目から検査可能。結果が1週間で出る。
学会はcffDNA検査の欠点として、3疾患の検査にしか対応していない点、確定診断には羊水穿刺や絨毛採取といった侵襲的な検査を必要とする点を挙げた。
その上で、検査は、35歳以上の妊婦、トリソミーの子を産んだことのある女性、超音波検査で異常を確認されたケースに限るべきと指摘。低リスクの女性、複数の子を産んだことのある女性には使うべきではないと強調した。
つまり、この検査は3つのトリソミー(3倍体)しか診断できないのです。一方、羊水検査では、染色体分析はすべておこなう事が出来ます。
日本では、現在委員会が開かれており、試験的に血液による検査がおこなわれ始めようとしています。実際には受けるまでには、もう少し時間がかかりますが、血液検査は、羊水染色体分析に完全に取って代わるものではないことも知っておくべきでしょう。
ラベル:
出生前診断 血液検査 母体血
無精子症の方へのICSIの威力(クラインフェルター妊娠例)
顕微授精が行えるようになって、無精子症の方へのICSIの威力には、本当に感心させられます。
ご主人がクラインフェルター症候群で無精子症の方に、TESE(精巣精子採取)をおこない、精子が得られたので精子を凍結保存しました。その後、顕微授精をおこない、ひとりめ出産。今回、ふたりめの挑戦で、やはり凍結していた精子を用いてICSIを行い、妊娠/卒業されました。
顕微授精が出来ない時代には、決して得られないであろう妊娠/出産を顕微授精は可能にしたのです。
生殖医学に関われている自分の存在の意義を実感できる例でした。
今後も皆さんと喜びを共有できることを目指して、またがんばれそうです。
風邪を引き、体調がすぐれなかった1ヶ月ですが、皆さんもお体を大切に!!
ご主人がクラインフェルター症候群で無精子症の方に、TESE(精巣精子採取)をおこない、精子が得られたので精子を凍結保存しました。その後、顕微授精をおこない、ひとりめ出産。今回、ふたりめの挑戦で、やはり凍結していた精子を用いてICSIを行い、妊娠/卒業されました。
顕微授精が出来ない時代には、決して得られないであろう妊娠/出産を顕微授精は可能にしたのです。
生殖医学に関われている自分の存在の意義を実感できる例でした。
今後も皆さんと喜びを共有できることを目指して、またがんばれそうです。
風邪を引き、体調がすぐれなかった1ヶ月ですが、皆さんもお体を大切に!!
ラベル:
ICSIとクラインフェルター
レーザー筋腫核出術後の困難と努力
1ヶ月のご無沙汰でした。この間、風邪を引き、なかなか体調が戻らず、毎日の診療で精一杯であり、ブログを更新することが出来ませんでした。やっと、体調も戻ってきましたので、皆さんのご参考になる情報提供を再開致します。
この間、レーザーによる子宮筋腫核出術後に子宮筋層が薄くなったために、妊娠・出産が難しく、危険であるとされた方が来院し、妊娠/卒業されました。
皆さんは、「レーザーによる子宮筋腫核出術は癒着が少なく、きれいな手術が可能である」というような情報をお聞きになったことはあるでしょうか。なかには、自費でレーザーによる子宮筋腫核出術をおこなっているとこともあるようです。
私のクリニックに来られた方は、レーザーによる子宮筋腫核出術(自費)をうけて、子宮筋層が非常に薄くなり、妊娠/出産が難しく危険であると診断されて、3~4件目で来られた方でした。
当方からも大病院にもコンサルトし、ご本人もいろいろ調査して、茨城の病院で子宮形成術を受け、その上で当クリニックで体外受精を受けて妊娠、その後、子宮破裂の危険性もありましたが、何とか無事に帝王切開をうけて、お子さんを授かりました。今年、二人目をご希望し、凍結胚移植をおこない、再度妊娠されて卒業されました。以前よりもリスクは高いのですが無事な経過と出産をお祈りします。この方の妊娠・出産までの行程には、多くの信頼おける医師や施設が関与し、それぞれの立場で最高の医療技術がまとまって、妊娠/出産に至ったのです。この方の努力、多くの医師の方々の努力に本当に感謝し、私自身も力づけられました。
さて、ここで、レーザーと子宮筋腫核出術についてお話し致します。
レーザーによる切開や凝固は確かに癒着を少なくする手段の一つです。ただし、開腹しての子宮筋腫核出術にたいしては、その利点はあまりありません。通常の電気メスによる筋腫核出術で問題はほとんどないのです。実際にはその術者の腕によるでしょう。したがって、自費で、レーザーの子宮筋腫核出術をうけるのはほとんどメリットはないと考えた方が良いでしょう。ただし、腹腔鏡でレーザーを使用しての筋腫核出術はまだメリットはあり得ます。
この方のように、ある施設でレーザーによる筋腫核出術を受けて、ひどい癒着や子宮自体がほとんどなくなっていた方も何人かいらっしゃいました。術前の状態が分からないので簡単に手術自体の是非は言えませんが、やはりこのような手術を受ける前に、信頼の置ける施設でセカンドオピニオンを受けることも考慮されても良いでしょう。
レーザー自体は様々な可能性を持ちますが、この方のような例もご参考にされて下さい。
この間、レーザーによる子宮筋腫核出術後に子宮筋層が薄くなったために、妊娠・出産が難しく、危険であるとされた方が来院し、妊娠/卒業されました。
皆さんは、「レーザーによる子宮筋腫核出術は癒着が少なく、きれいな手術が可能である」というような情報をお聞きになったことはあるでしょうか。なかには、自費でレーザーによる子宮筋腫核出術をおこなっているとこともあるようです。
私のクリニックに来られた方は、レーザーによる子宮筋腫核出術(自費)をうけて、子宮筋層が非常に薄くなり、妊娠/出産が難しく危険であると診断されて、3~4件目で来られた方でした。
当方からも大病院にもコンサルトし、ご本人もいろいろ調査して、茨城の病院で子宮形成術を受け、その上で当クリニックで体外受精を受けて妊娠、その後、子宮破裂の危険性もありましたが、何とか無事に帝王切開をうけて、お子さんを授かりました。今年、二人目をご希望し、凍結胚移植をおこない、再度妊娠されて卒業されました。以前よりもリスクは高いのですが無事な経過と出産をお祈りします。この方の妊娠・出産までの行程には、多くの信頼おける医師や施設が関与し、それぞれの立場で最高の医療技術がまとまって、妊娠/出産に至ったのです。この方の努力、多くの医師の方々の努力に本当に感謝し、私自身も力づけられました。
さて、ここで、レーザーと子宮筋腫核出術についてお話し致します。
レーザーによる切開や凝固は確かに癒着を少なくする手段の一つです。ただし、開腹しての子宮筋腫核出術にたいしては、その利点はあまりありません。通常の電気メスによる筋腫核出術で問題はほとんどないのです。実際にはその術者の腕によるでしょう。したがって、自費で、レーザーの子宮筋腫核出術をうけるのはほとんどメリットはないと考えた方が良いでしょう。ただし、腹腔鏡でレーザーを使用しての筋腫核出術はまだメリットはあり得ます。
この方のように、ある施設でレーザーによる筋腫核出術を受けて、ひどい癒着や子宮自体がほとんどなくなっていた方も何人かいらっしゃいました。術前の状態が分からないので簡単に手術自体の是非は言えませんが、やはりこのような手術を受ける前に、信頼の置ける施設でセカンドオピニオンを受けることも考慮されても良いでしょう。
レーザー自体は様々な可能性を持ちますが、この方のような例もご参考にされて下さい。
ラベル:
子宮筋腫 レーザー手術
2012年10月21日日曜日
卵子若返り治療薬ES-46???
この数日で、卵子若返り治療薬のES-46について、複数の方から質問されました。全く知らないサプリメント?薬?でしたので調べてみました。私がどうこう言うのもおかしいのですが、基本的に疑問が多いので、いくつかの疑問をあげてみました。判断は皆さんご自身でしてみて下さい。この場では判断材料の一部を提示するのみに致します。
1)これを発売している医師は、癌を扱っていた外科医のようです。HPを見る限りは、日本生殖医学会にも受精着床学会にも入会していないようです。
2)日本の医学論文の検索をしましたが、当該医師の癌についての論文はありましたが、不妊症に関しての論文、学会発表は、10月21日現在では検索にはかかりませんでした。
3)ES-46についての、日本語論文も英語論文も検索しましたが見当たりません。
4)日本不妊治療学会は、いつ設立されたかが記載されていません。理事長は当該医師ですが、それ以外の役員の医師名はなく、会員数は20名と記載されています。活動実績が全く分かりません。
5)HP上の数字ですが、体外受精より人工授精の妊娠率が高い、など通常ではない数字です。また、ES-46 を使用していない初回の人工授精が35%もあるような治療成績は見たことがありません。一般的には人工授精の妊娠率は5~10%程度です。また10回以上の体外受精の妊娠率が10%をこえる様な数字も通常ありません。全く実際とは異なる数字と考えられます。
6)当該医師は、「日本アトピー治療学会」の理事長もなさっているようです。「日本不妊治療学会」と同じ手法のようですね。当該医師の検索をグーグルやYAHOOでおこなってみると、かなりきわどい話もでてきました。興味のある方はご自身で調べてみて下さい。
以上、皆さんのご判断のご参考にしてみて下さい。
1)これを発売している医師は、癌を扱っていた外科医のようです。HPを見る限りは、日本生殖医学会にも受精着床学会にも入会していないようです。
2)日本の医学論文の検索をしましたが、当該医師の癌についての論文はありましたが、不妊症に関しての論文、学会発表は、10月21日現在では検索にはかかりませんでした。
3)ES-46についての、日本語論文も英語論文も検索しましたが見当たりません。
4)日本不妊治療学会は、いつ設立されたかが記載されていません。理事長は当該医師ですが、それ以外の役員の医師名はなく、会員数は20名と記載されています。活動実績が全く分かりません。
5)HP上の数字ですが、体外受精より人工授精の妊娠率が高い、など通常ではない数字です。また、ES-46 を使用していない初回の人工授精が35%もあるような治療成績は見たことがありません。一般的には人工授精の妊娠率は5~10%程度です。また10回以上の体外受精の妊娠率が10%をこえる様な数字も通常ありません。全く実際とは異なる数字と考えられます。
6)当該医師は、「日本アトピー治療学会」の理事長もなさっているようです。「日本不妊治療学会」と同じ手法のようですね。当該医師の検索をグーグルやYAHOOでおこなってみると、かなりきわどい話もでてきました。興味のある方はご自身で調べてみて下さい。
以上、皆さんのご判断のご参考にしてみて下さい。
2012年10月9日火曜日
AMH<0.1で妊娠した3例
今までにも、何例かAMH<0.1で、かなり卵巣機能が低下している方での妊娠例を数例報告していきましたが、今回3例ご紹介致します。AMH<0.1の妊娠例紹介も、そろそろこれで十分かもしれません。
AMH<0.1は、確かに卵子数は少ないのですが、決して採卵数一つではなく、複数採卵出来ることもしばしばあり、自然妊娠もあり得るのです。AMH<0.1になる前に妊娠出来る方が良いのですが、0.1未満でも、諦めずに挑戦する意義はあるでしょう。
また、卵巣機能が低下していても、自然妊娠の可能性を否定しないで、少しでも可能性を広げるために、卵管造影検査などの一般不妊治療の検査や、交渉回数を日頃より多く持つことも大切だと思います。ご参考にして下さい。
1)28歳 AMH<0.1 FSH:11.72 初回の体外受精では採卵できず。2回目の体外受精は自然周期(DHEA4ヶ月内服)で1個採卵・8分割胚移植し妊娠。
2)40歳 AMH<0.1 FSH;10.92 1回目体外受精はHMG注射で排卵誘発するも1個採卵のみで、化学的妊娠。メトグルコとエパデールは1ヶ月前より内服。 2回目はクロミフェン使用しての体外受精。1個採卵し、9分割胚1個移植で1卵性双胎妊娠。メトグルコとエパデールは3ヶ月、DHEAは2ヶ月服用。
3)37歳 AMH<1pM FSH;35.54 月経不順あり。クロミフェンで1個採卵するも、採卵時に異常卵のため体外受精は中止。次の周期に自然妊娠。半年前に卵管造影検査施行で正常。
体外受精や人工授精でも、禁欲期間が長くなればなるほど妊娠率は低下する報告が最近散見します。出来るだけ禁欲期間が短い方(毎日交渉が最も妊娠率が高い)が良いでしょう。当クリニックでは最近は「禁欲は3日以内」をお願いしています。
AMH<0.1は、確かに卵子数は少ないのですが、決して採卵数一つではなく、複数採卵出来ることもしばしばあり、自然妊娠もあり得るのです。AMH<0.1になる前に妊娠出来る方が良いのですが、0.1未満でも、諦めずに挑戦する意義はあるでしょう。
また、卵巣機能が低下していても、自然妊娠の可能性を否定しないで、少しでも可能性を広げるために、卵管造影検査などの一般不妊治療の検査や、交渉回数を日頃より多く持つことも大切だと思います。ご参考にして下さい。
1)28歳 AMH<0.1 FSH:11.72 初回の体外受精では採卵できず。2回目の体外受精は自然周期(DHEA4ヶ月内服)で1個採卵・8分割胚移植し妊娠。
2)40歳 AMH<0.1 FSH;10.92 1回目体外受精はHMG注射で排卵誘発するも1個採卵のみで、化学的妊娠。メトグルコとエパデールは1ヶ月前より内服。 2回目はクロミフェン使用しての体外受精。1個採卵し、9分割胚1個移植で1卵性双胎妊娠。メトグルコとエパデールは3ヶ月、DHEAは2ヶ月服用。
3)37歳 AMH<1pM FSH;35.54 月経不順あり。クロミフェンで1個採卵するも、採卵時に異常卵のため体外受精は中止。次の周期に自然妊娠。半年前に卵管造影検査施行で正常。
体外受精や人工授精でも、禁欲期間が長くなればなるほど妊娠率は低下する報告が最近散見します。出来るだけ禁欲期間が短い方(毎日交渉が最も妊娠率が高い)が良いでしょう。当クリニックでは最近は「禁欲は3日以内」をお願いしています。
2012年10月8日月曜日
iPS細胞から卵子を作成
マウスのiPS細胞(新型万能細胞)から卵子を作ることに、京都大が、世界で初めて成功し、この卵子を使用して健康なマウスが誕生した、との報道がありました。
まだ様々な問題があり、直ちに人に応用することはできませんが、将来的に、卵巣機能不全、早発閉経、などの不妊症に利用できる可能性がある報告です。
これは雌のマウスの皮膚からiPS細胞を作製してから、始原生殖細胞を作り、それから卵子を作製してから受精させて、約10匹の成熟した雌の卵管に移植したところ、2匹から健康な子どものマウス3匹が誕生した。またその子どもの世代も生まれた、とのことです。
iPS 細胞からすぐに卵子が作製できるのではなく、いくつもの段階を経て、またその受精卵をいくつも移植して3匹誕生した、のですから、まだ効率を議論する段階ではありません。
しかし、iPS細胞を使用して、卵子や精子を作製することが可能であると証明された事実は、体外受精をおこなっている私から見ても、非常に衝撃的です。
本日、京都大学の山中教授が、ノーベル医学賞を受賞したとの報道がなされました。昨年は体外受精のエドワード博士がノーベル賞を受賞され、今年はiPS細胞でノーベル賞、また卵子と精子も作製されました。非常に象徴的な出来事が続いています。生殖医学はまた新たな段階に入ったのかもしれません。
まだ様々な問題があり、直ちに人に応用することはできませんが、将来的に、卵巣機能不全、早発閉経、などの不妊症に利用できる可能性がある報告です。
これは雌のマウスの皮膚からiPS細胞を作製してから、始原生殖細胞を作り、それから卵子を作製してから受精させて、約10匹の成熟した雌の卵管に移植したところ、2匹から健康な子どものマウス3匹が誕生した。またその子どもの世代も生まれた、とのことです。
iPS 細胞からすぐに卵子が作製できるのではなく、いくつもの段階を経て、またその受精卵をいくつも移植して3匹誕生した、のですから、まだ効率を議論する段階ではありません。
しかし、iPS細胞を使用して、卵子や精子を作製することが可能であると証明された事実は、体外受精をおこなっている私から見ても、非常に衝撃的です。
本日、京都大学の山中教授が、ノーベル医学賞を受賞したとの報道がなされました。昨年は体外受精のエドワード博士がノーベル賞を受賞され、今年はiPS細胞でノーベル賞、また卵子と精子も作製されました。非常に象徴的な出来事が続いています。生殖医学はまた新たな段階に入ったのかもしれません。
2012年9月19日水曜日
チョコレート嚢腫へのダナゾール使用で妊娠された例
チョコレート嚢腫がある方は、体外受精をおこなう対象となるのですが、卵子の質は一般的には不良となります。その場合にはダナゾール(ボンゾール)を使用することも選択肢の一つです。ダナゾールのチョコレート嚢腫への治療と、ステロイド作用が影響している可能性があります。
今月、5cmのチョコレート嚢腫があった方に対して、ボンゾールを使用し、チョコレート嚢腫を吸引して、その後、体外受精・胚移植をおこない、3回目の体外受精で妊娠されて卒業された方がいらっしゃいます。
一般的には、卵巣機能が良い方が対象になるのですが、この方のAMH は0.83でした。
大きなチョコレート嚢腫は、採卵の邪魔になったり、採卵後の感染症、排卵誘発への反応不良、などをおこし、手術が必要になりますが、卵巣の手術により卵巣機能は低下します。
卵巣機能の低下を避けるために、今回のように、ボンゾール・吸引、これに連続して体外受精をおこなう方法も選択肢となり得るのです。
今月、5cmのチョコレート嚢腫があった方に対して、ボンゾールを使用し、チョコレート嚢腫を吸引して、その後、体外受精・胚移植をおこない、3回目の体外受精で妊娠されて卒業された方がいらっしゃいます。
一般的には、卵巣機能が良い方が対象になるのですが、この方のAMH は0.83でした。
大きなチョコレート嚢腫は、採卵の邪魔になったり、採卵後の感染症、排卵誘発への反応不良、などをおこし、手術が必要になりますが、卵巣の手術により卵巣機能は低下します。
卵巣機能の低下を避けるために、今回のように、ボンゾール・吸引、これに連続して体外受精をおこなう方法も選択肢となり得るのです。
2012年9月9日日曜日
45歳、AMH<0.1での妊娠/卒業(非常に幸運な例なのです)
今年、45歳、AMH<0.1、初回の体外受精で妊娠/卒業された方がいらっしゃいます。先日のお話では、順調に経過しているとのことで、無事に出産されることをただただ祈るのみです。
無事出産されれば、この方は、当クリニックでもトップ3の妊娠/出産例になります。
ただ、この方の妊娠は非常に幸運であったと考えられます。
実際には、40歳以上での妊娠はかなり低くなり、43歳以上での妊娠・出産は1~2%程度でしょう。
体外受精も万能ではありません。年齢は越えられない壁なのです。
当クリニックでも37歳以上方には、体外受精も選択肢に入れる旨をお話ししています。
当クリニックでは、体外受精のみをお勧めする方針ではありませんが、比較的高齢の方は、「何をするにも、急ぎましょう」の考え方をお勧めしています。
無事出産されれば、この方は、当クリニックでもトップ3の妊娠/出産例になります。
ただ、この方の妊娠は非常に幸運であったと考えられます。
実際には、40歳以上での妊娠はかなり低くなり、43歳以上での妊娠・出産は1~2%程度でしょう。
体外受精も万能ではありません。年齢は越えられない壁なのです。
当クリニックでも37歳以上方には、体外受精も選択肢に入れる旨をお話ししています。
当クリニックでは、体外受精のみをお勧めする方針ではありませんが、比較的高齢の方は、「何をするにも、急ぎましょう」の考え方をお勧めしています。
AMH<0.1 FSH;11.7の方の妊娠例
先日、アンチミューラリアンホルモンの事に関して、テレビで放映されたようで、木曜日、金曜日に、不妊症でもない方からの検査の電話の問い合わせがいくつも来ました。
当クリニックでは、不妊症の方が対象なので、妊娠を考えていない方の検査はお受けできないことと致しました。皆さんもご了解をお願い致します。
AMHは0.1未満は感度以下ですが、今までも妊娠例をご紹介して参りました。
今回の方は、AMH<0.1 FSH;11.7の方で、クロミフェンの反応も不良であり、プレマリンを使用した自然周期で、1個採卵・胚移植し、先日、妊娠/卒業されました。
困難ではありますが、AMHが感度以下でも、卵胞ができた場合には挑戦していきましょう。
当クリニックでは、不妊症の方が対象なので、妊娠を考えていない方の検査はお受けできないことと致しました。皆さんもご了解をお願い致します。
AMHは0.1未満は感度以下ですが、今までも妊娠例をご紹介して参りました。
今回の方は、AMH<0.1 FSH;11.7の方で、クロミフェンの反応も不良であり、プレマリンを使用した自然周期で、1個採卵・胚移植し、先日、妊娠/卒業されました。
困難ではありますが、AMHが感度以下でも、卵胞ができた場合には挑戦していきましょう。
着床障害の主原因は胚の状態です(体外受精11回目での出産報告)
今年の前半に、体外受精11回目で妊娠されて出産された30歳中程の方から、出産報告のはがきを頂きました。無事に妊娠/出産されて胸をなで下ろしています。
この方は、内膜掻爬を2回、また弓状子宮もあり、子宮内膜がいつも薄い方でした。卵子の質もあまり良くなく、精子所見より顕微授精も必要な状況で、また子宮外妊娠も乗り越えての妊娠/出産でした。採卵直前の子宮内膜が7mmで妊娠されています。
経過より、当初は私も内膜が問題と考えていたのですが、実際には胚の状態が問題であった考えられた方です。
着床障害(つまり妊娠しないこと)を子宮や子宮内膜、免疫的な問題であると考える方が少なくないようですが、実際には、胚の状態が最も着床に関係するのです。
子宮内膜の厚さも妊娠/着床に関係しますが、胚の状態が第一に重要であることは変わりはありません。その次に内膜の改善策が位置づけられるのです。
今後も、胚の状態をどのように改善するかを皆さんと考えていきたいと思います。
この方は、内膜掻爬を2回、また弓状子宮もあり、子宮内膜がいつも薄い方でした。卵子の質もあまり良くなく、精子所見より顕微授精も必要な状況で、また子宮外妊娠も乗り越えての妊娠/出産でした。採卵直前の子宮内膜が7mmで妊娠されています。
経過より、当初は私も内膜が問題と考えていたのですが、実際には胚の状態が問題であった考えられた方です。
着床障害(つまり妊娠しないこと)を子宮や子宮内膜、免疫的な問題であると考える方が少なくないようですが、実際には、胚の状態が最も着床に関係するのです。
子宮内膜の厚さも妊娠/着床に関係しますが、胚の状態が第一に重要であることは変わりはありません。その次に内膜の改善策が位置づけられるのです。
今後も、胚の状態をどのように改善するかを皆さんと考えていきたいと思います。
体外受精4回後の、初回でのHMG-AIHによる妊娠例
今年の前期の妊娠例です。
他施設で5回体外受精を受けて妊娠されない20代後半の方が、当クリニックでHMG-AIHの1回目で妊娠卒業(通院2ヶ月)されました。排卵障害があり、クロミフェン3~4回、HMG注射6回程度での排卵誘発を受けていました。AIHは受けていなかったようです。
今回、ホルモンの状態を見て、HMG注射の種類を考えてAIHをしてみました。
体外受精が最終手段とは考えずに、一般不妊治療での可能性も追求する必要性を感じた例でした。
皆さんも、体外受精のみではなく、妊娠の可能性を少しでも広くする事もお勧め致します。
他施設で5回体外受精を受けて妊娠されない20代後半の方が、当クリニックでHMG-AIHの1回目で妊娠卒業(通院2ヶ月)されました。排卵障害があり、クロミフェン3~4回、HMG注射6回程度での排卵誘発を受けていました。AIHは受けていなかったようです。
今回、ホルモンの状態を見て、HMG注射の種類を考えてAIHをしてみました。
体外受精が最終手段とは考えずに、一般不妊治療での可能性も追求する必要性を感じた例でした。
皆さんも、体外受精のみではなく、妊娠の可能性を少しでも広くする事もお勧め致します。
診療に生き方が表れる? プロフェッショナル-仕事の流儀-(高倉 健スペシャルより)
昨日、NHKのプロフェッショナル(仕事の流儀)高倉 健スペシャルを見ました。日本の映画界を代表する役者にも、役者のあり方に対する悩みがあったことに、驚きと納得を感じました。
また、「演技にはその人の生き方が表れる」との言葉には重みを感じます。
見逃した方は是非再放送の視聴をお勧め致します。
私の診療にも生き方が表れるのでしょうか。葛藤・もがきの毎日ですが、良い意味で生き方が表れる診療をおこないたいものです。
また、「演技にはその人の生き方が表れる」との言葉には重みを感じます。
見逃した方は是非再放送の視聴をお勧め致します。
私の診療にも生き方が表れるのでしょうか。葛藤・もがきの毎日ですが、良い意味で生き方が表れる診療をおこないたいものです。
2012年9月2日日曜日
妊婦血液の出生前診断
妊婦血液の出生前診断(新型)
本日、妊婦血液で、ダウン症などの染色体異常(数的異常)を99%の確率で診断できる検査方法が、臨床応用されるにあたっての報道がありました。
対象は、妊娠10週以降の方であり、おもに妊娠7週で転院する当クリニックでは直接関わる可能性は低いですが、様々な注意点があると思うので、コメント致します。
まず最初に注意して頂きたいのは、まだ情報が明確でない部分もあり、すぐに一般の施設でおこなわれる検査ではありません。31日に研究会も発足?したばかりであり、検査の正確性や問題点などの検討はこれからなのです。現時点では臨床研究のみが容認された状況です。
日本産科婦人科学会は、声明で、「安易な実施は慎むべきだ」として、無制限に広がらないよう求める声明を発表した。診断内容や結果を妊婦に正しく理解してもらうため、専門家による診断前後のカウンセリングが不可欠と指摘。医療従事者と妊婦双方に「疾患を多様性として理解し、尊重する姿勢」が必要とした。出生前診断に関する見解を改定し、こうした新たな診断方法について、十分なカウンセリングの実施を求める、などとした。」との立場です。
概略は、インターネットでの記事を転記致します。一部補足
米国の会社が開発した新型妊婦血液の出生前診断 妊婦の血液に含まれる胎児のDNAを調べ、ダウン症の原因となる染色体異常(21番染色体)の有無を99%の確率で診断する。他に2種類の染色体異常(13番、18番染色体)も分かる。妊娠10週から実施可能で、臨床研究施設での費用は21万円の予定。
従来の血液検査は精度が低く、確定には流産の危険を伴う羊水検査などを行う必要があった。
流産の危険があった従来の検査に比べ、安全に調べることができる一方、異常が見つかれば安易な人工妊娠中絶にもつながることから、カウンセリング体制の整備などが課題になりそうだ。
現時点では臨床研究として行う。
コメントです。
妊娠すると、ごくわずかに胎児の血液が母体血中にも紛れ込みます。この紛れ込んだ胎児血を選び出して、染色体の量を測定することで、染色体の数的異常(ダウン症では21番染色体が通常は2本が3本になっている)を調べる方法です。この研究自体は20年ほど前からなされていましたが、胎児血をどのように選び出すかが課題でした。
これらの「診断」としては、羊水検査や絨毛検査で染色体分析がなされていますが、羊水を採取するのには針による穿刺をして羊水を採取するのでおよそ0.5%程度の流産の可能性がありました。
今回の検査は、母体の採血でおこなえるので、流産の危険性は基本的にはありません。
なお、某女性有名人が受けたクアトロ検査、トリプル検査などの採血による検査は、危険率を計算する「確率計算」であり、「診断」ではありません。
おそらく、この検査をするには、遺伝の専門家によるカウンセリングが必要となる可能性が考えられます。または、実際におこなわれるには検査の指針ができあがってからになるでしょう。厚生労働省も、早期にガイドラインの作成を求めているようです。
したがって、逆にすぐに一般で受けることは困難でしょうし、今はもう少し経過を見る必要があります。
本日、妊婦血液で、ダウン症などの染色体異常(数的異常)を99%の確率で診断できる検査方法が、臨床応用されるにあたっての報道がありました。
対象は、妊娠10週以降の方であり、おもに妊娠7週で転院する当クリニックでは直接関わる可能性は低いですが、様々な注意点があると思うので、コメント致します。
まず最初に注意して頂きたいのは、まだ情報が明確でない部分もあり、すぐに一般の施設でおこなわれる検査ではありません。31日に研究会も発足?したばかりであり、検査の正確性や問題点などの検討はこれからなのです。現時点では臨床研究のみが容認された状況です。
日本産科婦人科学会は、声明で、「安易な実施は慎むべきだ」として、無制限に広がらないよう求める声明を発表した。診断内容や結果を妊婦に正しく理解してもらうため、専門家による診断前後のカウンセリングが不可欠と指摘。医療従事者と妊婦双方に「疾患を多様性として理解し、尊重する姿勢」が必要とした。出生前診断に関する見解を改定し、こうした新たな診断方法について、十分なカウンセリングの実施を求める、などとした。」との立場です。
概略は、インターネットでの記事を転記致します。一部補足
米国の会社が開発した新型妊婦血液の出生前診断 妊婦の血液に含まれる胎児のDNAを調べ、ダウン症の原因となる染色体異常(21番染色体)の有無を99%の確率で診断する。他に2種類の染色体異常(13番、18番染色体)も分かる。妊娠10週から実施可能で、臨床研究施設での費用は21万円の予定。
従来の血液検査は精度が低く、確定には流産の危険を伴う羊水検査などを行う必要があった。
流産の危険があった従来の検査に比べ、安全に調べることができる一方、異常が見つかれば安易な人工妊娠中絶にもつながることから、カウンセリング体制の整備などが課題になりそうだ。
現時点では臨床研究として行う。
コメントです。
妊娠すると、ごくわずかに胎児の血液が母体血中にも紛れ込みます。この紛れ込んだ胎児血を選び出して、染色体の量を測定することで、染色体の数的異常(ダウン症では21番染色体が通常は2本が3本になっている)を調べる方法です。この研究自体は20年ほど前からなされていましたが、胎児血をどのように選び出すかが課題でした。
これらの「診断」としては、羊水検査や絨毛検査で染色体分析がなされていますが、羊水を採取するのには針による穿刺をして羊水を採取するのでおよそ0.5%程度の流産の可能性がありました。
今回の検査は、母体の採血でおこなえるので、流産の危険性は基本的にはありません。
なお、某女性有名人が受けたクアトロ検査、トリプル検査などの採血による検査は、危険率を計算する「確率計算」であり、「診断」ではありません。
おそらく、この検査をするには、遺伝の専門家によるカウンセリングが必要となる可能性が考えられます。または、実際におこなわれるには検査の指針ができあがってからになるでしょう。厚生労働省も、早期にガイドラインの作成を求めているようです。
したがって、逆にすぐに一般で受けることは困難でしょうし、今はもう少し経過を見る必要があります。
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