2014年5月31日土曜日

43歳、採卵9回・胚移植11回経験後の、AIH妊娠例

先日、43歳で、9回採卵8回胚移植の方が、体外受精の合間の人工授精で妊娠され、卒業しました。40歳から不妊治療を開始し、人工授精は11回目での快挙でした。
この方は、過去に、新鮮胚移植、凍結胚盤胞移植で2回の妊娠・流産を経験し、部分胞状奇胎も乗り越えての妊娠でした。
自然妊娠の可能性も考えて、昨年には卵管造影検査もおこない、可能性を信じて体外受精の合間には、粘り強く、タイミングや人工授精もおこなっていたのです。
決してたくさんある例ではありませんが、このような例は珍しくはありません。
皆さん。体外受精を始めると、それ以外では妊娠できないと、体外受精以外の可能性を捨てていませんか。卵管が通っており、精子がある程度あるならば、自然妊娠や人工授精の可能性も併せて考えてみては如何でしょうか。
体外受精か、それ以外かの「二者択一」ではなく、「体外受精も人工授精も、タイミングも」の、可能性を少しでも上げるために、すべてをおこなう考えもあり、当クリニックではこのような治療方針を皆さんにお勧めしています。

2014年5月30日金曜日

産婦人科内視鏡学会 技術認定医リスト

本日、産科婦人科内視鏡学会から、学会雑誌が届きました。
私も学会の技術認定医(子宮鏡)ですので、しっかり?と学会誌の内容を確認しました。こんな事を書くと少し後ろめたい気持ちになるのはなぜかしら???ごめんなさい。

さて、今回は4月12日現在での、技術認定医の最新リストが載っていました。学会のホームページは本日付ではまだ更新されていないようですが、公表されていますので皆さんも技術認定医のリストを確認可能です。日本産科婦人科内視鏡学会のホームページで是非確認してみて下さい。
内視鏡学会の技術認定医のハードルは結構厳しいのです。もちろん、このリスト以外の先生で技術経験共にすばらしい方もたくさんいらっしゃいますが、このリストは、平均以上の技術のある先生方の目安になります。参考にしてみて下さい。
少し説明しますと、技術認定医にも2種類あります。腹腔鏡の技術認定医と、子宮鏡の技術認定医です。腹腔鏡の技術認定医はちょうど400名いました。子宮鏡の技術認定医は40名でした。両方持っている医師もいます。ほとんどが腹腔鏡であり、子宮鏡技術認定医は少ないですね。
私のクリニックで説明しますと、高橋ウイメンズクリニックでは現在腹腔鏡手術をおこなっていませんので、腹腔鏡の医術認定医はとれないのです。過去にたくさん腹腔鏡手術をしていても、現在、十分な手術数を実際におこなっていないと、認定医の更新は出来ないのです。したがって、内視鏡学会の技術認定医は、実際に現在手術を日常的におこなっていることを証明しているのです。
私のクリニックでも、子宮鏡の手術を年間100例以上おこなっていますが、子宮内膜ポリープの手術では技術認定されません。粘膜下筋腫、子宮中隔切除術、子宮内腔癒着剥離術、などの難しい手術が50例以上ないと更新できません。これは結構大変なのですよ。
千葉県では、子宮鏡の技術認定医は、私を含めて2名しかいません(もう一人は佐倉市の病院の先生)が、全校的に言えば、2名の子宮鏡技術認定医のいる県は、東京、大阪、神奈川についで、4位タイの県です。(絶滅危惧種ではありませんよ~)
また、千葉県の腹腔鏡の技術認定医は10名います。全国的には、9位タイの人数です。トップ3はやはり、東京、大阪、神奈川でした。
このような面からも、千葉県の産婦人科のレベルは、全校的にも上位にあるのかな~と思っています。維持することが目的ではありませんが、今後も技術認定を更新していけるように、健康に注意してがんばります!



2014年5月21日水曜日

開院15周年のご挨拶と御礼

高橋ウイメンズクリニックは、この4月で開院15周年を迎えました。
また、昨年には妊娠10,000例を達成しましたが、これだけ多くの方が妊娠され、私もそれだけ多くの方に喜びを共有させて頂き、むしろ私から皆様に心より御礼申し上げます。

日々の診療に明け暮れていると、15年の月日はあっという間でした。私の幸せなことは、日々同じようなことをやっているようで、患者さんはひとりひとり異なるので、全く同じ事をしているわけではないのですね。日々は常に変化してきた職場でした。

1999年に開院したときには、まだ不妊治療、体外受精のことをみなさんに伝える手段が少なく、開院1週間では、外来患者がたった2名でした。今では、このようにインターネット、SNSで、様々な情報を発信できることを考えると、隔世の感があります。
また、体外受精をお勧めしても、まだ皆さんの中には抵抗感が強いようでなかなか体外受精へのステップアップをためらうことが多い状況でした。今では、むしろ体外受精をご希望なさる方が多くなっています。
したがって、診療の力を集中するのは、開院当時は一般不妊治療であったのですが、今では体外受精へ力を集中する必要性が高まってきました。
現在、体外受精を希望される方を受け入れるだけで、クリニックの治療能力いっぱいであり、皆様にもご不便をおかけしています。
しかし、最近では新しいスタッフも増員、スピードアップもされつつあり、徐々に受け入れ数も拡大しつつある状況です。
ホームページのトップページも更新しましたので、是非ご覧下さい。

5月に入り開院16年目がスタートしました。昨年中には、JISARTの審査、ISOの更新審査も無事すみ、今年には外部からも新しいコンサルタントも迎え、今までとは異なる次元へのステップアップを目指していきたいと考えています。
皆さんとの喜びをこれからも共有できることを望んでいます。あらためて、皆さんと一緒に目標に向かってがんばっていきましょう。

2014年5月18日日曜日

メラトニンについて(2014年5月)

今回、メラトニンのパンフレットの改訂をおこなうことになりました。
当クリニックでは、メラトニンも積極的に不妊治療に使用しているのですが、この機会に、メラトニンについて再度整理をしてみました。
改めて調査、勉強してみますと、非常におもしろいホルモンですね。すでに私も飲んでいるのですが、不妊症にとどまらず、アンチエイジングにも積極的に使用する価値はありそうです。

メラトニンとは?
脳の松果体から分泌されるホルモンで、夜に高くなり、日内リズムや睡眠と関連し、リラックスさせる作用があります。アンチエイジングや不眠症、時差ぼけの解消にも利用されます。
アメリカでは、メラトニンはサプリメントとして市販されていますが、ホルモン剤なので日本では市販されていません。当クリニックでも、信頼できるところを通じて輸入して使用しています。

用法用量
日本人には1日1~3mgが適当なようです。翌日にふらつきや頭痛がある場合には減量する方が良いでしょう。
就寝30分~1時間前(または午後10時頃)の服用です。

注意事項
①妊娠中または授乳中、14歳未満の方は服用しない。
これは「危険」と言うよりも、「はっきりしていない」という理由のようです。また、若年者は十分メラトニンが分泌されているから必要ないということでしょう。
②夜以外には使用しない。
昼に使用すると、日内リズムがむしろ崩れてしまうからです。
③服用後に車の運転や機械の操作などをしない。
服用すると眠くなりますから、車の運転や機械の操縦は危険です。

副作用
副作用が皆さん気になるところでしょう。
しかし、調べた限りにおいては、特に問題になる副作用は無いようです。また、一部の睡眠薬のような、依存性も無いようですね。
ただし、翌朝にふらつきや頭痛が残る場合には減量した方が良いでしょう。効果は個々人で異なります。
一方、ひどいアレルギー症状,自己免疫疾患の方 、リンパ腫,白血病等免疫系にガン症状のある方は、使用を避けるようにと記載されていることもあります。免疫機構を刺激し症状を悪化させる恐れがあるからだとの理由です。ただし、その報告は調べた限りでは見当たりませんでした。これは、メラトニンが免疫系をアップさせるから、自己免疫疾患を悪化させる可能性があるとの「推測」によるものかもしれません。
確認はしていませんが、「オランダで、1日75mgのメラトニンを1400人の女性に最高で4年間投与したところ、健康を害するような結果はみられませんでした。FDA(日本の厚労省のような薬品管理局)は、メラトニンが米国内で一般に発売されて2年以上経った段階で、懸念すべき副作用は1件も報告されていないと発表」という情報もありました。 

メラトニンと不妊治療
不妊治療では、抗酸化作用やミトコンドリアの影響が期待され、卵胞内で卵子を保護し、卵子の質の改善(変性卵の減少)や、受精率・妊娠率の上昇が報告されています。
メラトニンは、卵胞液内にも認められて、卵子を保護していると考えられています。2013年の生殖医学会でも、メラトニンの投与で、採卵率、成熟卵、受精率の上昇を認めて、妊娠率は2倍になったとの報告がされました。(採卵率40%未満、体外受精での受精率35%未満、ICSIでの受精率40%未満の方が主な対象でした)
今後も、卵子の質が不良の方、未熟卵が多い方、受精率が低い方には、積極的に使用していきたいと思います。
体外受精の場合には、1~3ヶ月前から、採卵までの服用です。

アンチエイジングとメラトニン
今回は、アンチエイジング、認知症の予防、発がん抑制などの不妊治療以外の事も多く学びました。
メラトニンは、核やミトコンドリアのDNA保護作用も持ち、免疫系の活性化、発がん抑制作用、抗老化作用、血中脂質改善作用、うつ症状の改善、肌を若く保つ、などが報告されています。
美肌にも良いそうですよ!!
メラトニンと寿命の関連を示す臨床研究はありませんが、マウスの実験では最長20%も寿命が長くなった報告もあるようです。 男性の年齢による性欲減退にも効果があるようです。

睡眠障害とメラトニン
年齢を重ねるごとにメラトニンの分泌は減り、70歳を超えると、夜間のメラトニンの量は昼間と同じくらい少なくなるそうです。このため、老人は朝が早く、夜中に何度も目が覚めてしまうので、皆さんのご両親が眠りが浅いようならば、メラトニンをお勧めしても良いかもしれませんね。 
中年以降の睡眠障害には非常に効果的と考えられています。まさに私にぴったりのサプリメントですね。
メラトニンはアルコールに溶けやすく、併用すると体内吸収性が良くなり効果が強力になるので、アルコールとの併用は避けた方がよいですね。
 少量のメラトニンは睡眠を促進し,時差ぼけを和らげるので、時差ぼけ予防の薬としても試用されているようです。時差ぼけが発生する海外旅行にも積極的に利用しても良いでしょう。
メラトニンを使用し十分に睡眠をとれたなら,起床時は爽やかで活力に溢れて、気分も良くなると思います。

抗がん作用とメラトニン
最近では、メラトニンがNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性化などの免疫系を活性化し、発ガンを抑える作用などの腫瘍増殖抑制作用、血管新生抑制作用、DNA修復作用もあり、抗腫瘍効果や抗癌剤の毒性を減少させる効果もあることから、抗癌剤治療との併用で、治療成績の向上、生存率の改善、副作用の軽減の報告も数多くあるようです。抗腫瘍効果を目的とした場合の投与量はに20mg/日としている文献が多いとのことです。

神経系疾患とメラトニン
認知症、アルツハイマー、パーキンソン病の予防、症状軽減への効果も報告されています。 まさに私にぴったりかも?
2003年の日本医科大学の試験ではアルツハイマー病患者 にメラトニン3mgの投与で睡眠から覚醒リズムの改善が見られたそうです。また、アルツハイマー病やパーキンソン病は動脈硬化とも関連しているようですが、メラトニンは動脈硬化、生活習慣病などの予防に役立つと考えられています。

ここまで見てきましたら、メラトニンは万能薬のように感じると思います。しかし不妊治療もアンチエイジングも、メラトニンのみで十分な効果が得られるものではありません。一つの手段ではなく、様々な手段を組み合わせて、総合的に対応していくものであることをご理解下さい。
以下の点にはご注意とご理解を頂きたいとお思います。

サプリメントの限界と使用の責任
サプリメントは薬品ではありません。時に、医師の処方した治療薬を服用せずに、ご自身の判断でサプリメントを薬品代わりに摂る方がいらっしゃいますが、これは間違った考えです。サプリメントは「栄養補助食品」であり、治療薬の代わりにはなりません。サプリメントに過剰な期待はしないほうがよいでしょう。
また、しばしば、ご自身で購入されたサプリメントについて、大丈夫かどうかコメントを求められますが、残念ながら医師はコメントは出来ないのです。サプリメントは薬品ではありません。したがって様々な企業が様々なサプリメントを作っているのですが、その品質は保証されているものではありませんし、試験や調査もほとんどされていないのです。薬ではないサプリメントに対しての信頼おけるデータがそもそも無いので、医師も一つ一つの商品に対してコメント出来ないのです。自己購入のサプリメントについては、自己責任での使用になることをご理解下さい。



2014年5月12日月曜日

148回 関東生殖医学会 報告(0PN,1PNの胚盤胞の検討)

一昨日の、5月10日(土)に、関東生殖医学会が東京、四谷でおこなわれました。これは毎年1回、関東地区の各大学が持ち回りで主催している地方部会です。
今回は、千葉大学が主催であり、、私も久しぶりの演題発表をしてきました。
今回は、普段よりもたくさんの30題の演題発表があり、とても盛り上がった学術講演会だったと思います。地方部会ですので、若手の発表が多く、非常に勢いのある発表を感じてきました。一方、私もいつの間にか、ベテランの域になっていることを実感しましたが、がんばっている人を見ると、やはり刺激を受けますね。
さて、私の発表ですが、0PN、1PNという、受精がはっきりしなかった胚で、胚盤胞まで成長した場合には、どうするかは今まで明確ではなかったのですが、他に胚盤胞がない場合に使用することがあります。これらの胚を移植して、妊娠成績は、2PN胚と同じような妊娠率、流産率でした。8年間で21人のお子さんが生まれましたが、染色体異常と考えられるような問題はおこりませんでした。やはり胚盤胞まで成長した胚は選ばれている胚と考えられます。受精が明確に確認できなかったのは、単に、受精した前核が見える時間が観察した時間とずれていたことによると考えられました。今後は、このようなズレは、タイムラプスなどで連続して観察できれば、ある時点で認めると思いますので、安心して移植できる証拠が得られてくるでしょう。ただ、すべての施設でタイムラプスが導入される事は難しいと思いますから、胚盤胞まで成長した場合には、胚移植可能であることの証明としては、大切なデータであると思っています。


 
関東生殖医学会後の運営スタッフの集合写真です。
パワーを感じて頂けますでしょうか。
私も顔の大きさ(顔が広い、訳ではない)では、トップスリーぐらいにはパワーを出しているようですね。(残念~~!)

2014年4月の妊娠実績

一昨日の、関東生殖医学会の準備などがあり、ブログの更新が出来ませんでしたが、4月の妊娠数をご報告致します。

2014年4月の妊娠数の報告をいたします。

1)4月の妊娠数 81例       今年の累積妊娠数 291例   全累積妊娠数 10,611例

 ART妊娠    56例    (内訳:  IVF 19例  ICSI 8例     凍結胚移植 29例) 

 AIH妊娠    11例     

その他一般不妊治療      12例  (タイミング、クロミフェンなど) 


 2月76例、3月81例、4月79例と妊娠数は安定しています。   
 
 
 

 今後は、また新しいことを、徐々に導入していく予定です。
 5月からは、エンブリオスコープという新型培養器も積極的に活用していきます。
 また、皆さんにもご紹介していきます。
 


2014年5月2日金曜日

ネット情報:角化症治療薬のエトレチナート(チガソン)の服用による先天異常症例

インターネットで、目にとまりましたので、注意が必要と思いご紹介します。

 皮膚科領域の、角化症治療薬のエトレチナート(商品名チガソン)の服用で先天異常症例が国内2例目におこったとの報告がありました。
 1985年に販売開始され、当初より催奇形性への注意を喚起されていたようです。
 今回の報告は、先天性魚鱗癬を患っていた20歳代女性。胎児機能不全の診断で緊急帝王切開にて出産。出生児には、耳介変形、両肩関節や肘伸展拘縮、両母指や第1趾の低形成などの先天異常が見られたようです。
 
 中外製薬は、チガソンには重大な催奇形性があり、副作用の発現頻度が高いため、他の治療が無効な重症例にのみ使用するよう呼び掛けており、特に妊娠する可能性がある女性には原則投与しないよう求め、処方ごとに催奇形性について説明し、書面で同意を得ることを勧めている。
 本剤の服用時だけでなく、服用後も男性は6カ月、女性は2年間にわたり避妊を徹底するよう求めているとのことです。

 一般的に、今販売されている薬は、抗癌剤などの特殊な薬剤以外は、ほとんど奇形をおこすようなものはありません。しかし、この薬は、女性では使用終了後も2年間、男性でも6ヶ月の避妊期間を求められております。
 妊娠の可能性があるときには、絶対に使用してはいけないほどの薬ですね。
 



 

凍結胚移植、2月の妊娠率57%のうれしさ(ラボスタッフのがんばりを褒めてあげて下さい)

先日、2月の凍結胚盤胞移植の成績の概略報告を受けました。
54周期の凍結融解胚盤胞移植をおこない、すべて1個胚移植です。
平均年齢(凍結時)は36.5歳で、妊娠率は31妊娠、妊娠率(着床率)は57.4%と堂々たる成績です。流産率はわずか3.2%でした。6周期連続の妊娠など、非常に良い成績でした。
短期間の成績に一喜一憂してはいけないのですが、実際にはそんな私なのです。
凍結胚盤胞移植の妊娠率は50%以上を目指しているのですが、全年齢層においては、それほど簡単な数字ではありません。ラボのスタッフのがんばりを褒めてあげて下さい。
1ヶ月の成績ですが、うれしかったので、小さく報告させて頂きました。
このような月が少しでも増えるように、1人1人への工夫や、日常的な積み重ねをまた続けていこうと思います。最後まで読んで下さりありがとうございました。

2014年4月29日火曜日

凍結胚移植後1卵性双胎、高血圧合併妊娠で無事出産、本当に幸運でした!

おめでとうございます。そして産科の先生、ありがとうございました。
先日、30代後半の方で、妊娠前の血圧が192/122だった方が、降圧剤を飲みながら、凍結胚盤胞移植、1卵性双胎で妊娠し、30週中頃で双子を出産されたとのご報告を頂きました。
大変な経過であったようですが、何とか出産まで漕ぎ着けられたことは、非常に幸運であったと思います。御本人の覚悟と努力、そして産科の先生のご尽力にもよるところです。産科の先生に御礼を、そして御本人にはお祝いを申し上げます。
この方の経緯は、まさに様々な施設と先生方の総力戦でした。
当初、右の卵管閉塞に対しては、当クリニックで卵管鏡下卵管形成術を施行。
その後、左の重症の卵管水腫には、他院で腹腔鏡下に卵管切除。
降圧剤は、多剤併用し、妊娠の許可に関しては、内科や大学病院にコンサルトし、その上で体外受精。胚移植4回目(凍結胚盤胞移植1個)で、一卵性双胎となり、当クリニック卒業。
大学病院ではバイアスピリンも使用し、早産傾向もあり管理入院。妊娠35週前に血圧が危険状態に上昇となり帝王切開となりました。児はNICUに入院したものの無事その後退院。
お子様も特に問題なく、本当に良かったです。

さて、この方の結果的に良かったことのみを皆さんにお伝えすることが主目的ではなく、これを読んでいる皆さんに何が参考になるか考えてみましょう。
①まず、血圧に関しては、最初の血圧は妊娠を許可される状態ではありませんでした。高血圧のまま妊娠すると、とても30週以降まで妊娠を維持できません。妊娠後に血圧をコントロールすることは非常に難しく、薬を使用してもコントロールできる保証は全くないのです。結果として、脳出血、痙攣、胎盤剥離などをおこす可能性が高くなり、妊娠を中断し、人工中絶も考えることになるのです。
皆さんは、単に妊娠することが目的ではありません。元気なお子さんを手に抱くことが目的です。したがって、妊娠前に、出産までを考えた準備が必要なのです。
この方は、妊娠前から降圧剤を使用していました。薬を使用することをためらうのではなく、もし妊娠継続に不利な条件が今あるならば、それに対する対策をしっかりと取る必要があるのです。
この方は肥満ではなかったのですが、肥満の方は減量をして、高血圧や高血糖をしっかりとコントロールする必要があるのです。
②この方は35週前で帝王切開になりましたが、これがぎりぎりの選択だったと推測されます。妊娠24週ぐらいで妊娠継続が不可能な場合もあり得るのです。皆さん、妊娠したら最後まで妊娠継続できると漠然と考えていませんか?様々な合併症があると、最後まで妊娠継続できる可能性はかなり低くなるのです。一般的に、合併症のある場合には、最後まで妊娠継続できない可能性についても理解して頂く必要があります。
③この方は比較的若く、卵巣機能もしっかりしていたので、卵管水腫の切除もおこなう余裕がありました。例えば40歳以上の方や、卵巣機能がすでに低下している方には、重症の卵管水腫があってもその手術をする意義が低下し、余裕もないのです。年齢や卵巣機能の低下により、不妊治療の選択肢も徐々に狭まっていくのです。したがって、治療を迷っている方は、まずは一人を急いで妊娠/出産することを考えてみては如何でしょうか。
④妊娠/出産で死亡される方は、日本でも毎年40人程度いらっしゃいます。これは世界的には最も低いグループの数字です。一例を挙げると、日本では2010年の妊産婦10万人あたりの死亡は4.1人ですが、アメリカは63人、ヨーロッパでも20人なのです。いかに日本の産科の先生方ががんばっているかをご理解頂きたいと思います。日本の産科の成績は、世界的には奇跡的なものなのですね。しかし、妊娠中の対策は、本人と赤ちゃんの両方を考えておこなう必要があるので、対応できる限界が様々あるのです。この方にも、いつ御本人に異常が起きてもおかしくない状況だったと思います.御本人もご家族も、実際に命を賭けての挑戦だったと思います。妊娠のみではなく、出産までの道のりを考えて、リスクがある場合には、その必要性の理解と、覚悟が必要になるのですが、その覚悟の元に、今できる対策をどんどん進めていきましょう

この方は、ご自身の覚悟と努力が実を結んで本当に良かったです。しかし、不妊治療は結果が出ないことも少なくありません。その可能性を少しでも上げるためには、スピードも含めて、その対策をしっかりと取っていきましょう。

2014年4月24日木曜日

日本産婦人科学会参加報告2014年4月

去る4月20日、日本産科婦人科学会第66回学術講演会に参加してきました。
今回は東京フォーラムでの開催です。
今回は、縁があり、Dr. Sedar E. Bulumご家族とも交流する機会を得ました。今回、産婦人科学会から招聘されて、今回の学術講演会で、講演をなされました。生殖内分泌、子宮筋腫の原因の究明などで有名な、アメリカ・シカゴのNorthwestern Universityの教授です。
私の参加の証拠写真、セルフィッシュ?も取りましたが、非常に残念なのが、手をいっぱいに伸ばして撮影したものの、ほとんど自分の顔で、証拠となる背景がほとんど映りません。残念の極みです。また会場では、笑顔を作れませんでした。周辺に産婦人科医がいっぱいいる中で、一人で笑顔を作って写真を撮ることがいかに難しいか、ご理解下さい。



 
学会場を出て、KITTEの空中庭園から東京駅をバックに、笑顔を作って撮影しましたが、結局のところあまり変わりませんね~。残念~~。
 
さて、前置きはこれくらいで、今回の皆さんへのご報告です。
 
①PCO女性に、レトロゾール(フェマーラ)を使用すると、1.1~1.6個の卵子がとれ、胚盤胞まで成長したならば、胚移植あたりおよそ50%の妊娠率が得られた。・・・胚移植するまで、キャンセルが半分以上あると思いますが、試してよい方法と言えます。
②40歳未満のAMH<0.1の方では、約半数の方に、甲状腺の自己抗体陽性でした。閉経にも関係しているようで、今後当クリニックでも検査してみたいと思います。
③琉球大学の報告では、採卵後6日目の胚盤胞は、5日目胚盤胞と同等の妊娠率であったが、流産率が高い傾向にあった。・・・当クリニックでも、5日目、6日目の胚盤胞での妊娠率に差はありませんでした。
 
他にも、もう少し調べてから、導入してみたい薬もありました。
その際には、また皆さんのご協力をお願い致します。
 
 
 

ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)の子宮内膜症ガイドライン(抜粋)

ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)の、子宮内膜症に対するガイドラインが、Human Reproduction 2014年3月号に載ったので、不妊治療に関する項目を抜粋してみました。
①子宮内膜症のある不妊女性に、スプレキュアやボンゾールなどの薬を試みるべきではない。・・・つまり、内膜症のある不妊女性には、不妊治療として薬剤療法が中心とはならないと言うことでしょう。手術やHMG-AIH、体外受精などが中心となるべきであると言うことです。
②子宮内膜症の1期、2期(つまり軽症~中等症)の不妊女性には、手術療法(最近は腹腔鏡手術)による癒着剥離で妊娠率を高められる。
③3期、4期(つまり重症の内膜症)の方には、待機療法よりも腹腔鏡手術により、妊娠率の上昇が期待できる。・・・つまり、重症の方には、手術などが必要であり、排卵誘発剤や人工授精などでは妊娠率の上昇は期待できないと言うことでしょう。最近では体外受精が主流になっています。
軽度の内膜症患者さんには、HMG-AIHをおこなうことで、待機療法(つまりタイミング法など)よりも5.6倍妊娠率が上昇する。
自然周期のAIHよりも、HMG-AIHでは5.1倍の妊娠率が得られる。
内膜症のある不妊女性に、体外受精をおこなう場合には、3~6ヶ月前から、ナフェレリール、ブセレキュア、リュープリンなどの治療薬を使用すると、妊娠率の向上が得られる
⑦3cm以上のチョコレート嚢腫があっても、体外受精前に手術をおこなうことで妊娠率が高まる根拠はない。・・・つまり、体外受精をするならば、3cm以上のチョコレート嚢腫があっても、手術せずにそのままおこなって良い、ということです。ただし、卵胞を取りにくい場合には、手術の意義はある。

内膜症への対応の目安となるガイドラインだと思います。皆さんも参考にしてみては如何でしょう。

2014年4月22日火曜日

今年2回目の、ふた桁妊娠!やはりうれしいのです。

先日、今年2回目のふた桁の妊娠数が出ました。堂々の11例の妊娠です。
内訳は、クロミフェン+AIHでの妊娠2例、凍結胚移植妊娠8例、体外受精新鮮胚移植1例でした。凍結胚盤胞移植妊娠が大多数を占めており、全国的な流れですが、今後も凍結胚移植の妊娠が増加していくのでしょう。
この日は、患者さんも比較的多く、午前中の診療が終わって、ややバテ気味でしたが、午後に妊娠6例目、7例目の妊娠者が出てきたときには、10例に達するかもしれない、という期待感が出てきて、むしろ気持ちは高ぶってくるのが判りました。(非常に単純な精神構造には諦めもありますが、、、、)
そして、8例目になると、看護師さんにも「どうかな?どうかな?」と話しかけながらの診療です。
診療が終了近くになり、妊娠の検査が、もうないかどうか、検査室まで様子を見に行く始末。
診療が終わるか、10例に達するか、の瀬戸際のぎりぎりの鍔迫り合い!(いったい日々の診療で、何の戦いをしているのだ~~~)
そして、ついに10例に達すると、周りに職員や、1階のラボ課の技師さん達にも触れ回る(若干、約1名のみの)騒ぎです。ヤッタ~~!
職員のみんなも一緒に喜んでくれるのは、またとてもうれしいですね。喜びも増幅されます。
さあ、今夜はうれしく過ごせそうだ。
また、こんな気持ちの良い日を目指して、皆さんと一緒に、またがんばるぞ~。
また、最後まで読んで下さった皆さん、お付き合いありがとうございました。

2014年4月14日月曜日

凍結精子による人工授精という選択肢(単身赴任夫婦)

先日、35歳前後の方で、夫が北海道や九州などの遠隔地に単身赴任している状況で、凍結精子を用いて人工授精をおこないました。初回のAIHで妊娠されて、無事卒業されました。
 この方は、前医で2回すでにAIHを受けており、当クリニックへは、体外受精も考えての転院でした。卵管造影検査をおこない、精子凍結して1回目のAIHでの妊娠です。
 精子は凍結すると、およそ半分は運動を停止します。したがって凍結精子を用いる場合には、注意が必要です。
 AIHでは相当数の運動精子が必要なので、正常な精子で無いとAIHには使用できません。また1回のAIHで、1回分の凍結精子をすべて使用する必要があります。
 一方、顕微授精をするならば、多少精子が悪くても、わずかな精子でICSIが可能なので、いくつにも小分けして凍結できますし、1回の射精精子で何度でもICSI可能です。
 夫が単身赴任で遠隔地にいる場合には、このように凍結精子を用いての人工授精も可能なのですね。ただし、AIHでは1回ですべて使用するので、何回分も凍結する必要があります。その分の凍結費用(約1万円)も必要とします。したがって一般的には凍結精子を用いる場合には、体外受精や顕微授精が主におこなわれているのです。
 ただ、体外受精をまだ考えておらず、人工授精を数回受けたい場合には、このような選択肢もあるのですね。

生殖医療専門医制度認定研修施設証とどく!

 日本生殖医学会の「生殖医療専門医制度認定研修施設証」が届きました。この4月から5年間、生殖医療専門医の研修施設として認められたと言うことになるのです。
 千葉県では、千葉大などの大学病院付属病院4カ所、個人クリニックでは、当クリニックともう1カ所の、合計6カ所のみでした。全国では196施設あります。
これは、生殖医療専門医が1名以上常駐し、年間100例以上の体外受精をおこなっている、という基準があります。
これ自体が、なにかの目標になるものではありませんが、一つの基準を取得している指標と考えて頂ければ幸いです。
 
 クリニックに掲示致します。皆様も是非一度見て頂けますか。
職員のがんばりの一つの証明なのです。

 


2014年4月12日土曜日

1017件のアクセスへの感謝。まだまだがんばらねば!

4月3日に、このブログの1日のアクセス?が1,017件と、初めて一千件を超えました。
この数字がどの程度のものなのかはよく分かりませんが、とにかく多くの方がブログやホームページをみて下さっているのだと再認識しました。
このブログを見ている皆さんに感謝申し上げます。
開業した15年前には、ネットでのこのようなブログやフェイスブック、ツイッターなど、まだ良く存在が判らなかったのですが、今では情報を探す中心になっているのですね。
未だにこれらの情報ネットワークの構造を良く理解できずに、何とか判る範囲で利用している、いつまで経ってもネット初心者の私ですが、テクニックは未熟でも、何とか中身のある不妊治療の情報をお届けしていきたいと思います。
時には(しばしば)ふざけた言葉もありますが、その辺はご理解、諦めて頂き、眺めて下されば幸いです。
またがんばるぞ~~!

2014年4月11日金曜日

Dr.Quinnがやってきた! 15th Anniversary night at TAKAHASHI WOMEN'S CLINIC

Dr.Quinnがやってきた!
15th Anniversary meeting at TAKAHASHI WOMEN'S CLINIC
4月8日に、DR.Patrick Quinnが、高橋ウイメンズクリニックに、表敬訪問に来院しました。皆さんは、DR. Quinnをご存じでしょうか。25年前に、体外受精の市販培養液を作製した世界的にも有名な博士なのです。25年前、私は体外受精を日本で先駆けて始めていた虎の門病院で、体外受精にたずさわれたのですが、Dr. QuinnのHTF培養液を使用することで、妊娠率が劇的に改善したのでした。
そのHTF制作者のDr.Quinnが、訪問してきてくれたのです。始めてHTFを知ってから、なんと4半世紀経っての交流であり、非常に感激、感慨深いものがありました。
今回はQuinn の培養液のユーザーとの意見交換と、将来の培養液の提案でクリニックを回ってきたようです。ちょうど4月が、当クリニックの15周年だったので、
TAKAHASHI WOMEN'S CLINIC
15th ANNIVERSARY NIGHT with Dr. Quinn
 と銘打って、ミニカンファレンスを開催致しました。
 私のクリニックからは、昨年の実績と妊娠率などの成績や日本の体外受精の特徴などを話しました。今回は、関東近辺の主だった施設への3泊でのハードスケジュールな訪問で、千葉県では、当クリニックだけの訪問だったようです。



今回は、Ms. Kiri(胚培養士・コーディネータ-)も同行されました。英語で成績を発表して、また英語で話をするのがもう大変なのです。しかし、内容を判ってくれたかは不明なのですが、大事なことは、「めげずに話し切る。とにかく、話を進める」ことなのですね。例えば、お笑い芸人のすごいところは、たとえ会場がしらけても、ネタを話しきることなのです。それがプロなのですね。(いったい私は何の話をしているのでしょうか。感動する話をしているのですが、ネタが滑るお笑い芸人のすごさを話してしまっている自分が情けない。何を目指しているのだ~~。)

 
レクチャー後に、千葉大学の産婦人科の先生方とも、一緒に集合写真!いつもサポートありがとうございます。
 

講演会後の懇親会! これは燃えるのです。酔うと、舌も滑らかに、英単語が出るわ出るわ、よどみない英会話が出来る(個人の感想であり、効果を保証されるものではありません、、、、)のです。単に酔っ払って、相手が何を言っているのか、自分がどういっているか、を全く気にならなくなるからでしょうか。私の場合、酔った方が良いようなのです。問題点は、口が滑らかになるほど酔っていると、肝心の学術的な話が出来なくなってしまうのです。折角の機会が、単なるオヤジの飲み会となってしまったことに自己嫌悪!顔の大きさの違いにまた愕然!
どうしたら良いのでしょうか?

不妊治療を通じて、今回のDr.Quinnとの出会いのように、様々な方との交流をおこなえることは本当に幸せなのですね。拡大写真にして、エドワード博士との写真の横に、クリニック内に掲示します。

2014年4月2日水曜日

2014年3月の妊娠数

2014年3月の妊娠数の報告をいたします。

1)3月の妊娠数 81例       今年の累積妊娠数 212例   全累積妊娠数 10,532例

 ART妊娠    65例    (内訳:  IVF 23例  ICSI 5例     凍結胚移植 37例) 

 AIH妊娠    6例     

その他一般不妊治療      10例  (タイミング、クロミフェンなど) 

1月55例、2月76例、3月81例と妊娠数は増加しています。これは治療日数の増加に比例しており、成績は同等と考えられ、安定した治療をおこなっている指標と考えています。   
 前月との大きな変化はありませんが、凍結胚移植妊娠の増加が比較的大きな特徴です。
 
 

 昨年の同期の成績と比較すると、妊娠総数は同等ですが、一般不妊治療での妊娠数は低下し、ARTの妊娠数が上昇しています。当クリニックの受け入れ体制の事情から、昨年4月から体外受精を考えている、治療を急ぐ方のみ、新規に受付ているのですが、現在8割がART関連の妊娠となっています。
 



 高濃度総合ビタミン剤の「アシストワン」は、現在、当クリニック通院中の方のみに院内での販売としています。しかし、最近、院外からの問い合わせも多くなり、院外販売も開始する事に決定致しました。インターネットでの注文、宅配で、6月上旬の販売を目指して、現在準備中です。
 今しばらくお待ち下さいますよう、お願い申し上げます。

 本日も、今までたくさんのサプリメントをのんでいた方から、お褒めの感想を頂きました。
アシストワンの特徴の一つとして、その利便性と、保存法、携帯性、を挙げて下さいました。
 ①20種類以上のビタミン、サプリが1回で、高用量飲める
 ②1回毎に、パックされているので、毎日ふたを開ける必要が無く、サプリメントが古く(酸化)されない。
 ③旅行などにも、いくつものかさばる容器をいくつも持ち歩かず、必要な回数分のパックを持ちあるけて、かさばらない。



 
 
 今まで、看護師の人員不足で、皆さんの待ち時間が長くなり、大変ご迷惑をおかけ致しました。
 4月に入り、人数は十分に補充され、待ち時間も徐々に改善されています。
 新人の方が,また慣れてくれば、待ち時間は今後も徐々に改善される見通しですので、もう少し猶予を頂きたいと存じます。
 比較的午後は待ち時間が少ないので、午後の診察時間もご利用下さい。

2014年3月27日木曜日

2013年人工授精成績(グラフ)

2013年の人工授精の成績がでましたので、ご報告致します。
AIH施行は、920例、1930周期でした。
妊娠率 7.4%   (妊娠143周期/1930周期)
 
流産率 24.5%  (流産35周期/143周期) 
多胎妊娠は 1.4%  (2例  双胎1例  三つ子 1例)



全体の妊娠率、 7.4%は例年と同じでした。
35歳未満では妊娠率はおよそ10%、40~42歳では妊娠率は4.4%でした。
40歳以上は、AIHの意義は少ないとお話ししていますが、42歳までならば、がんばってみても良いかもしれません。ただし、AIHに固執して、体外受精の導入が半年も遅れてしまうと、マイナス面が強くなるでしょう。
また40歳以上の場合には、自然周期よりもHMG注射など、排卵誘発を強力にした方が良いでしょう。



40歳未満では、流産率は25%未満でしたが、40~42歳では40%と、約半数が流産しました。
そして43歳以上では、妊娠は2.6%と低いのですが、すべて流産してしまいました。例年でも、43歳以上の方はおよそ80%の方が流産します。したがって、43歳以上の方の人工授精は、可能性が0ではありませんが、ほぼ0なのです。

その他、累積妊娠率をみると、6回まではAIHの妊娠を期待できました。
5回以上AIHをする場合には、HMG注射での排卵誘発もお考え下さい。

日本生殖再生医学会参加報告(生殖細胞とミトコンドリア)

3月16日、大阪で第9回日本生殖再生医学会が開催され、参加してきました。
例年、基礎的なテーマが多かったのですが、学会長はIVFなんばの森本先生。今年は「生殖細胞とミトコンドリア」を主要テーマとして、卵子の老化についての講演と討論がありました。森本先生は卵子の老化とミトコンドリアについては先進的な取り組みをなさっており、すばらしい講演者の先生方を集められて、とても興味のもてる学会でした。
その内容の一部をご報告致します。


1)ミトコンドリアと精子
ミトコンドリアの機能が悪いと、精子の形態も異常をおこすとのことです。
奇形精子が悪いときは、その治療法がなかったのですが、奇形精子が高い場合に、ミトコンドリアの機能を上昇させるビタミンなどを使用したら、奇形精子が低下するかもしれませんね。
今度、アシストワンを使用して、検討してみようと思います。

2)早期に卵巣機能が低下している方の12%(79/648例)に、セイン食滞の問題があったようです。今後当クリニックでも、例えば40歳未満でAMH<0.1の方には、染色体分析もお勧めすることも考えてみます。

3)IVFなんばクリニックの報告でも、
①メラトニン使用で、受精率が改善し、移植胚数が上昇したようです。
②カウンセリングで、妊娠率が3倍になりました。当クリニックでも、臨床心理士の小倉智子先生ががんばって下さっています。不安を抱えている、同じ事を考えている、などの方は、積極的にご相談下さい。習慣流産でも、カウンセリングにより明らかに流産率も低下することが、全世界ですでに認められています。人間は、精神的なことも、妊娠、流産に深く関わるのですね。

4)その他
胚の不良例に、Lカルニチンを使用すると、胚盤胞到達率が、31%から50%に上昇し、妊娠率が20%から39%%に上昇したそうです。
当クリニックでも、アシストワンには1000㎎(4包、20カプセル)のLカルニチンが含まれています。
ビタミンC、Dが問題ない方でも、積極的に使用しても良いかもしれません。

このような学会に参加すると、いろいろまた試してみたいことが出てきますね。
その際には、また皆さんのご協力、ご参加もお願い致します。
皆さんの方から試してみたいことがあれば、ご相談下さい。

2014年3月26日水曜日

2013年体外受精、凍結胚移植の成績(グラフ)

1213年の体外受精(顕微授精を含む)、凍結胚移植の成績がでました。
皆さんの参考に概略をご報告致します。
今回も、昨年の報告を皆さんにご報告できることに安堵しております。
また皆さんにご報告できる成績を出しているスタッフにも本当に感謝しているのです。
このコメントを見ている方で、なぜ成績報告することに、安堵しているのか不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これは非常に大切なことなのです。
なぜならば、信頼できる診療をしている施設かどうかは、治療成績をしっかりと開示しているかどうか、が大きな指標のひとつなのです。信頼おける治療をおこなっているかどうかは、なかなかわかりにくいと思いますが、治療成績の公示の有無を、信頼の一つの指標にしてみては如何でしょうか。

(Ⅰ)新鮮胚移植
2013年の採卵周期はおよそ1,400件で平均年齢は38.7歳でした。
新鮮胚の移植が出来なかった方は、およそ300件弱で、その平均年齢は40.1歳です。やはり年齢が高くなるとキャンセルになる率も上がります。
採卵できても、受精卵が得られない、胚の質が非常に悪い、などで、約20%の方が胚移植できずにキャンセルになってしまうのです。
胚移植できた周期が、約1,000周期で、270周期で妊娠(妊娠率26.5%)されました。


 35歳未満では、ほぼ1個移植なので、妊娠率と着床率はほぼ同じであり、それで妊娠率(着床率)が40%と超えています。これは自画自賛となってしまいますが、スタッフががんばってくれていることを示す、胸を張れる数字です。
一方、40歳以上では明らかに成績は低下し、流産率は上昇します。特に43歳以上では、妊娠が継続するのは2~3%の方のみなのです。やはり、女性の年齢が依然として大きな影響を持つのです。

(Ⅱ)凍結胚盤胞移植
凍結胚盤胞移植は、581周期で、265周期で妊娠(妊娠率45.6%)されました。平均年齢は36.3歳でした。


 凍結胚盤胞移植でも、35歳未満では妊娠率は50%を超え、これも胸を張れる成績だと思います。当クリニックでは、胚盤胞移植は、ほぼ100%1個移植なので、これはそのまま着床率と考えて頂いて良いのです。
胚盤胞まで成長するならば、高い妊娠率が得られます。ただし、胚盤胞まで成長するのは、受精卵の50%未満です。したがって、新鮮胚と凍結胚盤胞の妊娠率を単純に比較することは出来ません。

当クリニックでは、基本は初期胚移植ですが、初期胚でも原則1個移植であり、「全部凍結胚にする方法との差は、わずか1個」と言う見方も出来ます。
全部の胚を、胚盤胞まで成長させて凍結保存する方法を採用している施設も少なくありません。しかし、どの方法が最も良いかは明確になっているものではありませんし、すべての方に、一つの方法が最良であるとも思えません。
当クリニックの考え方と、その成績をお知らせ致しました。

いずれの方法にしても、女性の年齢が最も大きな因子です。
最後に、当クリニックでは体外受精のみをお勧めしているのではありませんが、37歳以上の方には、体外受精の選択肢もお考え頂くことをお勧めしています。40歳以上の方は、体外受精をすぐにお考えすることを、昨年のデータをみると、改めて、再度お勧め致します。