2014年8月24日日曜日

境界型糖尿病がわかり治療後に妊娠/卒業したART反復不成功だった例

40歳直前、前医で、AIH10回、採卵4回、中止2回、胚移植5回の方が、1回の完全周期で妊娠/卒業されました。

「完全周期」とは最近使われ始めている言葉です(今後変わるかもしれません)が、1回の採卵で得られた胚のすべての成績を議論する考え方です。

BMI(体重÷身長(m)の2乗が約28(25未満が標準体重)だったので、75GTTという血糖の精密検査を行いました。その結果、境界型糖尿病(糖尿病の一歩手前:糖尿病予備軍)である事が判りました。糖代謝改善薬であるメトグルコを使用して、HMG注射での排卵誘発を行い、10個採卵(過去最多数)の採卵でき、1個新鮮胚移植。1個の凍結胚盤胞を得られて、その移植で妊娠され、卒業されました。前医では、誘発方法は、飲み薬+HMG注射での排卵誘発でしたので、今回は異なるHMG-アンタゴニストを採用しました。

1)BMIが25以上の方には、血糖の精密検査をお勧め致します。
2)不妊治療での糖代謝の管理は、糖尿病の管理とは異なります。不妊治療では、糖尿病の悪化をさせないことが目標ではなく、妊娠率を上げて、流産率を下げて、元気なお子さんを得られることが目的になります。したがって、糖尿病管理よりも、より積極的に介入する必要があるのです。この方のように、減量と、メトグルコを積極的に使用することで、良好な卵子を得られて、妊娠率が上昇することを期待するのですね。
3)反復不成功の場合には、再評価をして、今までとは異なることも取り入れては如何でしょうか。



AMH<0.1、8回の採卵、9回目の胚移植で妊娠された例

「AMH<0.1は、卵子が0だといってるのではない。」 先日の臨床懇話会での名古屋の浅田先生のAMHの講演にもありました。このブログでも多くのAMH<0.1での妊娠例をご紹介してきましたが、様々な参考になる事が多いので、今後も引き続きご紹介していきます。

今回の方も、AMH<0.1であったものの、5個採卵でき、3個顕微授精し、2個胚移植して妊娠、卒業されました。
この方は、来院時40歳以上であり、来院時のAMHは1.76でした。すでに前医2施設で、5回の採卵、顕微授精と6回の胚移植を受けていました。確か精子の状態は良くないものの、過去にAIHでの妊娠、流産の経験がありました。
当クリニックのHSGで左卵管閉塞の診断。当クリニックでのAIH1回目で化学的流産。3回目で妊娠、8週で流産。
 AMH<0.1になり、体外(顕微)受精を再開。3回目の採卵、胚移植で、妊娠卒業。

この方の経過には、いくつかの考えさせられる点がありました。
①男性因子があるものの、過去にAIHでの妊娠歴があり、すでに顕微授精を6回受けていましたが、当クリニックの人工授精で2回妊娠反応が出ました。
 体外受精、顕微授精は必ずしも最終手段ではなく、今回のように顕微授精を受けていた状態でも、人工授精での妊娠の可能性があるのですね。体外受精の合間には、タイミングや人工授精も無駄ではないのですよ。少しでも妊娠する可能性を高めるために、幅広く治療法を考えては如何でしょうか。
②当クリニックでの採卵数は、4個(HMG誘発)、1個(自然周期)、5個(HMG誘発:この方の最も多い採卵数)でした。
 AMH<0.1でも卵子が複数とれることは良くあるのです。排卵誘発方法も、決めつけるのではなく、超音波検査による初期の卵胞数もみて、判断しては如何でしょうか。
③効果があったかどうかは明確には判りませんが、ビタミンC、D、DHEHsが低かったので、アシストワンと、DHEAを3ヶ月以上使用していました。
 やはり同じことを繰り返すのではなく、少しずつ変更して様々なことを試してみることも大切でしょう。

2014年8月17日日曜日

全期間のページビュー履歴50万件突破の御礼

本日気がついたのですが、ブログを開始した2011年12月から、全期間のページビューの履歴が506,418件と、50万件を超えていました。最近は、1日500~1,000件、月に2万件のページビューがあります。
これがどれほどのものかはよく分からないのですが、知り合いに聞くと、そこそこの数なのだそうです。「継続こそ力なり」ですと、元気づけられました。

いつも掲示板やブログを観て頂きありがとうございます。ここに御礼申し上げます。

皆さんが、私のクリニックのホームページやブログを観て下さっていることが判ると、とても励みになりますね。掲示板は週2回、ブログは不定期ですが少なくとも週1回は皆さんに情報を提供する事を心がけています。
ブログを開始してもうすぐ3年になります。
特に皆さんにご紹介するような趣味もない私なので、ほとんどが不妊治療の事ばかりの堅い話ばかりですが、それも一つの特徴と考えて、今のスタイルを続けていきたいと思います。時に感覚のずれたジョークには、ご辛抱頂ければ幸いです。
これも私の悲しい性なのですが、すぐに目標を勝手に立ててしますのですね。次は100万件だ~。って、いつも自分で自分の首を締め付けてしまい、後で、「しまった~。やるんじゃなかった~」と、あまり意味の無いことにまで、目標を考えてしまう自分が残念~。
まあ、こうゆうものは、ある程度の勢いも必要でしょうか。「継続の力なし」(最初はこう打ち間違ってしまいました)では困ったものですから。(最近は打ち間違いが多くなっているような気がして、自分でも不安だな~)
お後がよろしいようで。(意味不明!!)最後はいつもぐだぐだだ~。
「臨床懇話会セミナーの帰りの列車の中で」2014年8月17日

不妊治療2014臨床懇話会セミナー(その3)AMHアップデート

AMHについては、名古屋の浅田先生がやはり第一人者ですね。

今回の講演で印象的な項目を列挙します。

・AMHは妊娠率とは関連しない。妊娠率と関連するのは年齢である。
・AMHがほとんど0でも、卵子は残っています。今の検査では感度の問題があり、最低値は0ではなく、0.1未満なのです。

・肥満女性は、AMHは低下する。
・チョコレート嚢腫のある女性は、AMHは低い傾向にある。

・AMHは個人差が大きく、きれいに年齢と関連はしない。AMHは、その変動も少なくないので、わずかな変動に臨床的な意義を見つけようとするのはあまり意味が無い。
・AMHの変動は、誤差は±15%程度あるのです。

・AMHが低い場合には、平均的な方と比較すると早期に閉経するが、その差はおよそ3歳程度であると推測される。
・AMHが、5を超える場合には、PCOSと考えても良さそうだ。

不妊治療2014臨床懇話会セミナー(その2)根拠に基づいたART最適医療

国際医療技術研究所の荒木重雄先生の、データに基づいた講義はいつも感動なのです。

印象に残る項目を、ご紹介します。

・1日1単位(12g)を超えるアルコール、男女の喫煙、カフェインの摂取は、ART(IVF・ETなど)の成績を低下させる。(やはり生活習慣は、妊娠に影響するのですね)
(・カフェインの摂取は、妊娠率には影響を与えない、とする報告と、悪影響を与えるとする報告が混在しています。当クリニックでは1日2杯程度のコーヒーは問題ないと考えています)
・体重(BMI)は19~30の範囲が望ましい。痩せすぎも太りすぎも妊娠率は低下するのですね。
・43歳以上の女性には、ARTは勧められない。(医学的には、43歳以上の方は明らかに成績が低下するので、体外受精ももうお勧めする状況ではない、と考えられています。日本での補助金もこの考えに沿っているのでしょう。やはり年齢が最も重要であり、比較的高齢の方は、治療を急ぐ必要があるのですね)
・子宮内膜が5mm未満で胚移植をしても妊娠は望めない。(一般的には7~8mm以上が理想的とされます。6mmでも妊娠例もあります。5mm未満の場合には、またの機会にするべきでしょう)
・凍結融解胚移植では、自然周期とホルモン補充周期では、同等の成績が得られる。
・2個を超える胚移植をすべきではない。
・2個の胚を移植する場合には、2個の最良胚盤胞を移植してはならない。(日本では原則1個の胚移植ですが、35さい以上や反復不成功例には2個の胚移植も許容されます。しかし、良好の胚盤胞は2個移植するべきではないとの意見が一般的です。当クリニックでは、胚盤胞移植はほぼ100%1個移植にしています)
・37歳未満の女性では、初回の完全ART周期(初回の採卵でとれた胚すべて)では1個移植にするべきである。
・40~42歳の女性では、初回の体外受精から2個移植を考慮しても良い。
・不妊女性には風疹ワクチンの検査をしておくべきである。ワクチン接種後は少なくとも1ヶ月は避妊すべきである。(日本では接種後2ヶ月ですが、海外では1ヶ月で良いとされることも多いのです)
・IVF患者には、HIV、B型肝炎、C型肝炎の検査をおこなう必要がある。
・不妊期間が長いほど、ARTでも妊娠率は低下する。
・採卵数が多いほど妊娠率は上昇し、生児出産率も上昇する。(やはり採卵数は多いほど、妊娠出産率は上昇するとの考えが一般的なのです)
・ARTの回数と共に、成績は低下し、4回目には0.55倍(つまり半分程度に)に低下する。
・BMI(体重÷身長(m)の二乗)が25以上(肥満)の場合、体外受精での、妊娠率は低下し、流産率は上昇する。
・大部分の女性で、ARTが不成功に終わっても、自然妊娠の可能性をのこしており、自然妊娠する例もある。(当クリニックでも以前から皆さんに説明しているように、体外受精をしていても、併せて、自然妊娠も含めて一般不妊治療もおこなってきましょう)
・ロングプロトコールとアンタゴニスト群では、出産率に差は無い。
・ロングプロトコールは、アンタゴニスト群より妊娠率は高い。しかし、低反応のグループでは、差は無かった。一方、OHSSはロングプロトコール群で多かった。したがって、ロングプロトコールは、OHSSのリスクが低い女性に用いるべきである。
・ロングプロトコールは、ショートプロトコールよりも妊娠率は高かった。低反応の女性には、ショートプロトコールが勧められる。
・クロミフェン周期と自然周期では、クロミフェン周期の方が妊娠率が高かった。
・低反応に対する成長ホルモンは、有意な妊娠率の向上は得られていない。
・自然周期では、刺激周期よりも妊娠率は低いことをカップルに十分説明する必要がある。
・初期分割胚移植では、1個胚移植よりも、2個移植した方が妊娠率は上昇した。一方、胚盤胞移植では、2個移植と1個移植では妊娠率に有意なはなかった。(したがって胚盤胞移植では、1個ずつの移植が適当であると思います)
・2個胚移植をした場合には、多胎妊娠が上昇し、障害児や周産期死亡率のリスクは上昇する。(したがって、「原則1個の胚移植」は正しいと考えられます)


さまざまな論文に、様々な結論があり、正反対の結果の論文もたくさんあります。また常識と考えられたことが徐々に、否定されることも良くあることです。
1個の論文で、それに振り回されることなく、しっかりと診療の方針を担当医と相談して「選んでゆく」ことが大切だと思います。
荒木先生は、いつも膨大なデータを出してくるので、ついて行くのも大変なのです。夏ばてがもっと進んでしまいそ~。




不妊治療 2014(産婦人科臨床懇話会セミナー)参加報告(その1) 男性不妊の治療

今年の夏は、学会、セミー、講演会が立て込んでおり、夏ばて気味なのに、勉強をする機会が多く、アップアップの状態です。
8月16日(土)、お盆ですが、今年はクリニックを休まずに診療しました。お盆にもかかわらず、いつもと同じように皆さんが通院されていました。
10月のアメリカ生殖医学会(ASRM)に参加する予定なので、それが今年の私の夏休みのつもりです。やっぱり、学会参加を絡めないと休めない自分の性格が情けないですね。

さて、20年ほど前から続いている臨床懇話会の、2年ごとの不妊治療の1泊2日の勉強会です。
これは毎回、その道のエキスパートが講演して下さる、とても密度の濃い物なのですね。

私は、今回は男性不妊の講演の司会を任されました。
順天堂大学、泌尿器科専任准教授の辻村 晃先生の非常に興味のおもしろい講演でした。

男性不妊に対する治療では、当クリニックでも、マルチビタミンのアシストワンを採用しているので、その関連で興味を特に持てました。アシストワンは、女性だけではなく、男性不妊にも十分使用できる内容だと感じました。

当クリニックでは、男性に対する治療法として、
①補中益気湯+ビタミンB12
②アシストワン    を主に使用しています。
今までは、それぞれ別に使用していましたが、それぞれ機序が違うので、今後は、この2種類を同時に使用しても良いですね。

アシストワンの作用としては、
①ビタミンC
通常精液内に高濃度に存在し、精子運動率の改善に関与。1日 2,000mg(アシストワンでも1日2,000mgが標準量です)
精子濃度は1430万が3280万に増加、運動率は31%が60%に上昇、正常形態率は43%が67%に改善しました。精子の正常形態率を良くする治療薬はなかったので、その目的にビタミンC は一つの対策として重要な意味があるかもしれません。
②ビタミンE
 精子の酸化的障害を防御し、精子の運動性の維持に関与する。
 1日150~300mgで、25~45%の有効率。 アシストワンは標準量で1日300mgのビタミンEが摂取可能です。
③コエンザイムQ10
 CoQ10を単剤で1日200mgの6ヶ月投与で、運動率が33%が39%、直進性が10%が15%に改善したとされます。
アシストワンではCoQ10は1日100mgですが、一般的には体格を考えると日本人には海外の薬剤量は多いので、100mgが適切であると考えています。CoQ10の上限は、厚労省も決めていませんが、業界内では300mgを上限の目安としているようです。
④Lカルニチン
 
Lカルニチン1日2gで総運動精子数が、560万が900万に増加したとの報告があります。アシストワンでは、1日1gですが、CoQ10 と同様に日本人にはこれで十分と考えています。厚労省の摂取目安量の上限も1,000mgとされています。
⑤その他
亜鉛の単独使用は、その効果は不明とのことでした。亜鉛を66mg葉酸を5,000㎍6ヶ月使用すると、精子濃度が増加した報告がありますが、亜鉛(厚労省の目安は30mg)も葉酸(厚労省の上限目安は1,200μg)もすごい量ですね。海外の量をそのまま当てはめることは避けた方が良いようです。
私は、微量元素を多くとりすぎることには慎重に考えています。
⑥補中益気湯
 精子濃度は32~70%、運動率は22~63%の治療効果でした。


2014年8月10日日曜日

8月からの体外受精、その他の変更点のご案内(エンブリオスコープの運用開始)

暑中お見舞い申し上げます。
暑い日が続きますが、皆さんお変わりありませんでしょうか。

さて、夏ばて気味の私ですが、先日、思いがけず、ベストドクターズの認定を頂き、いつまでもバテてはいられないので、気を引き締めて、8月からいくつかの変更、新規のプロジェクトを進めたいと考えています。

1)まずは、新型培養器(インキュベーター)、エンブリオスコープの運用を本格稼働致しました。これは、受精卵を一つ一つカメラで観察しているので、今まで観察の度にインキュベーターの外に出していたのですが、インキュベーター内に入れたままですむので、胚にそのストレスがかからなくてすむのです。インキュベーターの外に出すと、酸素濃度(空気中の20%酸素濃度は胚には害になるので、5%になっています)、温度、などが急速に変化するので、胚には良くないのですね。
今回、エンブリオスコープが2台、準備も整いましたので、運用を始めました。1台で6人分まで培養が可能ですので、当クリニックのエンブリオスコープの容量は、同時に12人分までとなります。
主に、反復不成功の方や、胚の状態が良くない方で、原則として胚が5個以上の方が、対象になります。
1個の専用の培養プレートが必要なのですが、1個のプレートで12個まで培養可能です。使用料金は3万円です。原則として5~6日間培養を継続できますが、必要に応じて、2~3日目で培養中の1~2個の胚移植をする事も可能です。

 
 
2)次に、体外受精の料金や注射薬の料金を改訂致しました。
エンブリオスコープの導入に伴い、新規に3万円の使用量を新設しました。
一方、注射薬の料金も変更し、一部は料金が安くなっています。
 
3)高濃度のマルチビタミン、「アシストワン」が、ネットでも購入できるようになりました。入手がしやすくなりましたので、是非ご利用下さい。また、すでに使用されている方には、使用感の感想のアンケート集約にご協力をお願い致します。ご協力頂いた方には、御礼の品をご用意しております。アシストワンは、男性不妊にも適応があります。是非お試ししてみて下さい。
 
4)ビタミンDをより積極的に測定をおこない、ビタミンDの補充も積極的におこないます。
 
5)アシストワンや、その他の抗酸化物質の医学的な検討をおこないます。女性だけではなく、男性の方にも対象を広げております。採血や体調の変化などに、ご協力をお願い申し上げます。
 
 
 


排卵誘発剤とがんリスクに関係なし(欧州ヒト生殖医学会報告より)

今年は欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)には行けなかったのですが、本日、メディカルトリビューンでその報告がありました。
1)「排卵誘発剤とがんは増加しない」アメリカで1万人を30年間の追跡した報告です。クロミフェンと、子宮内膜がん、卵巣がんの関連は無いとの結論でした。また、hMG、FSHはクロミフェンに比較して新しい薬なので、その数は少なかったが同様に、子宮内膜がん、卵巣がん、乳がん、との関連はなかった。
一方で、不妊治療をしても妊娠しなかった女性のがんのリスクは1.98倍と約2倍のリスクであったそうです。がんリスクと不妊症が関係している可能性があるとの見方でした。

2)また、卵子提供でのIVFでは、妊娠高血圧がのリスクが3倍になるとの報告もありました。卵子提供を受ける方は年齢が高いのですが、年齢を修正しても、自己卵子での妊娠のかたと比較して、リスクが3倍であるとの結論でした。
この報告では、高血圧危険因子(肥満や糖尿病)のスクリーニングや、早期治療の介入が必要との見解だとのことです。
当クリニックでも、体外受精の反復不成功の方には、糖尿病検査や、血圧が高めの方には血管年齢も調べています。やはり「不妊症と高血圧になりやすい体質には関連がある」と推測しています。今後も今まで以上に、糖尿病と血管年齢を調べていきたいと考えました。
アンチエイジングの考え方をより積極的に取り入れていくことが、徐々に明らかになっているように感じています。

ビタミンDの重要性と正常値とは?(受精着床学会参加報告)

先日、新宿で受精着床学会報告がおこなわれました。
その中のシンポジウムで、習慣流産の方に対して、ビタミンDがどのように関係しているかの講演がありました。
ビタミンDが不足すると、免疫の拒絶が高くなり、自己抗体(抗リン脂質抗体、抗核抗体、抗PE抗体など)の陽性率も、高かったと報告されました。したがって、原因不明の習慣流産の方には、ビタミンDが新しい治療薬になる可能性が指摘されました。
また、ビタミンDが不足すると、妊娠糖尿病の発生も上昇する、胎児発育が遅れる、出産後の成長も悪化する、との報告もあります。
ビタミンDが低いと、体外受精の妊娠率が低い報告も数多くあります。
結論から言うと、ビタミンDは妊娠前から出産まで、生殖のすべての過程において重要な働きをしていると考えて良いでしょう。
当クリニックでも、体外受精の反復不成功の方には、ビタミンDを測定して、低い方にはビタミンDをお勧めしていました。しかし、今回のシンポジウムの講演を聴きますと、それでは不十分であると感じました。
今後は、当クリニックでは、ビタミンDは、不妊治療の最初の検査時に測定し、不足している方には積極的にビタミンDをお勧してまいります。

実際にビタミンDを測定してみますと、8割以上方が30ng/mL 未満です。これは最近、日光を避ける方が増えていることが大きな原因と考えています。実際には15分ほど日光に当たれば、十分なビタミンDが産生されるそうですが、実際にはそれで日光にあたる方はほとんどいないようです。そうすると、サプリメントを積極的に妊娠中でもとっていくことをお勧めすることになるのです。
実際には、日本人のビタミンDの正常値は明確にはなっておらず、30ng/mL以上が理想値、20~30は低下(不足)状態、20未満はビタミンD欠乏症、とされる事が多かったのですが、この値は欧米での値をそのまま当てはめていたのですね。
しかし、本日、メディカルトリビューンの記事にあったのですが、骨代謝学会、内分泌学会、厚労省研究班での「ビタミンD不足、欠乏症ガイドライン」策定でも、この基準を軸に検討されているようです。やはり、日本でも、この値を基準に考えても良いと考えられます。
日本でのビタミンDの検討はまだ多くはないのですが、当クリニックでも今後は、より積極的にビタミンDも測定していきますので、皆さんのご理解とご協力もお願い致します。


表情のない自分取り写真は、全くおもしろくないですね。
反省して、次からは何とか致します。

2014年8月7日木曜日

アンチエイジングと生殖医療ページの更新

先日、高橋ウイメンズクリニックのホームページの「アンチエイジングと生殖医療」を更改しました。
皆さんも、是非、観てみて下さい。

アンチエイジングで大切なのは、生活習慣・食生活・運動です。
生殖医学にもこれらは重要なのですが、ご自身のアンチエイジングにも大切なのです。
生殖医療に特化した方法があるのではありません。
全身のアンチエイジングへの取り組みが、生殖能力も上昇させることになるのですね。

私も気をつけているのが、
1)体重管理・・・以前は体重が100kgに到達したときには、高血糖、高コレステロール血症、高血圧であり、立派なメタボ体質でした。おしりを拭くことがだんだん困難になり、指がつったことがショックで減量を開始しました(って、作っとるやろ~?)
2)睡眠・・・以前は眠りが浅く、いつも悪夢に悩まされていましたが、今はメラトニンを利用しています。
3)運動・・・ジョギングなど、走るだけに時間を割くことができない正確なので、今はクリニック内を走っています。採卵や胚移植で、階段を駆け上がるダッシュを1日10本やると結構しんどいのです。駆け上がった直後は、患者さんへの説明が息絶え絶え!しばしば説明が判らないとのクレームが出ます(単に呂律が回っていないだけだろ、との意見もあり)
4)サプリメントの摂取。ただし、これが最重要ではなく、補助的な考え方です。以前は様々なサプリメントを多種類使用していましたが、多種類過ぎて面倒になり、今は、マルチビタミンのアシストワン、エパデール(EPA製剤)、乳酸菌製剤を使用しています。

皆さんも、生殖医学のみならず、今後の人生のために、アンチエイジングをご利用下さい。

7月の妊娠数、暑中お見舞い申し上げます!

暑中お見舞い申し上げます!
皆さん、お変わりありませんでしょうか。
私は、この2週間の酷暑でバテバテです。
どうも今年は疲れがとれないなと思っていたら、やはり酷暑であったようで、周囲の方も疲れ気味のようです。
さて、ブログも途切れがちなことの言い訳をしても始まりません。

今年の夏は、うれしい?ことに、講演依頼が3件も入っています。
私に振ってくるとは、先方もかなり困っているのかもしれません。これを断っては男が廃る?(単に、二度と話が来なくなるだけか、、、、)
がんばってネタを探さねば!
いつも、笑いを追求してしまい、医学的なことは少ない自分の講演内容に、そんな医者がいても存在意義はあるかな?と考えて、半分諦めています。今更自分のスタイルは変えられませんよね~。

さて、7月の妊娠数が出ました。
2014年7月の妊娠数

7月の妊娠数 81例       今年の累積妊娠数 527例   全累積妊娠数 10,850例

                  今年ART妊娠 380例(72%)   一般不妊治療 147例(28%) 

ART妊娠    64例    (内訳:  IVF 23例  ICSI 10例     凍結胚移植 31例) 

 AIH妊娠    12例     

その他一般不妊治療   5例  (タイミング、クロミフェンなど) 

妊娠数は、今年2番目に多い月でした。AIHも、IVFも、ICSIも、凍結胚移植も、偶然にもすべて2番目タイに多い月です。特徴は無いのですが、すべて平均以上に妊娠したことが特徴でしょうか。
夏ばてに負けずに、この勢いを持続するぞ~。(実際は夏ばてで、アヘアヘですが、、、)

2014年8月6日水曜日

高用量マルチビタミン「アシストワン」のネット販売が開始されました!

皆さん、8月1日より、当クリニックで採用している、高用量のマルチビタミン「アシストワン」がネットでも入手可能となりました。

今までは、当クリニックに通院中の方のみに販売していたのですが、評判が良く、様々な方からお問い合わせがありました。
今回、やっと準備が整いましたので、皆様にご報告申し上げます。
(有)千葉アンチエイジング研究所からの販売になります。

ホームページはhttp://www.chiba-aa.com/です。

この中で、アシストワンの開発ストーリー、苦労、特徴などを載せていますので、是非ホームページを訪れてみて下さい。
現在、中国での食品の安全性に関しての信頼が崩壊しています。
アシストワンの原材料の選択には、コストよりも安全性を最優先しており、今回の事件を見ると、やはり不妊治療に使用するサプリメントであり、最優先で安全性にこだわったことが、正解であったことを実感しているところです。
また、高橋ウイメンズクリニックのホームページでも、アンチエイジングのページを更新しましたので、そちらも見て頂ければ幸いです。

2014年7月29日火曜日

アシストワン(TWCオリジナルサプリメント)の体裁が変わりました。

当クリニックで使用している、マルチビタミン&ミネラルの「アシストワン」の体裁が変わりました。
 すでに院内では、新しい体裁の箱形のアシストワンをお渡ししています。パンフレットも変わりましたのでご紹介致します。
 新しい体裁のアシストワンに切り替わりましたので、これをご紹介することと、併せて、ブログではその特徴についてもご説明致します。
 アシストワンの特徴は、高濃度のマルチビタミンと、多数の抗酸化物質が含まれていることです。
主なものを上げると、1日量の20カプセル(1日2~3回に分割内服)で、ビタミンC:2,000mg、ビタミンD:50㎍(2,000IU) 、コエンザイムQ10:100mg、Lカルニチン:1,000mg、αリポ酸:200mgが摂取可能です。
 一方、日本の市販サプリメントは、「不足分を補う」程度の量の商品であり、不妊「治療」に用いるには全く足らない量なのです。コンビニなどで販売しているものと比較してみて下さい。アシストワンの5分の1程度しか含まれていない物が多いと思います。
 海外の文献では、不妊治療にはかなり高濃度のビタミンを使用している報告もありますが、さすがに日本人には多すぎると考えられる報告も多々あります。アシストワンは、日本での厚労省で許容される上限に設定してあります。
 アシストワン(1日20カプセル)は、「治療」に用いる量だとご理解下さい。したがって、何年もこの量を漫然ととるサプリではありません。(もし一般的な健康に使用する場合には、1日10カプセルで十分です)
 
 女性にも、男性にも使用できるように作っていますが、卵子の成熟には80日、精子の成熟には70日はかかるので、体外受精前、2~3ヶ月前からの服用が理想でしょう。(ただし、サプリメントで必ず効果が得られるとの保証はないので、例えば高齢の方は、アシストワンの内服が短期間でも、待たずに採卵を進めた方が良いと思います。

皆さんに、お知らせしたい事が2つあります。
1)近々、アシストワンを、インターネット販売で購入できるようになります。
 販売元は、(有)千葉アンチエイジング研究所です。おそらく8月中にはネット販売開始となると思いますので、開始したようならば皆さんにもご連絡致します。当クリニックに通院されていない方で、アシストワンにご興味のある方は、もうすぐご紹介できると思いますので、しばしお待ち下さい。

2)ネット販売が開始されることを機会に、サプリメントの不妊治療での成績などをアップデートでお知らせできるように、ブログやホームページも、更新致します。
こちらも是非、ご覧下さりますよう、お願い申し上げます。


2014年7月27日日曜日

転機を迎えているART? 生殖バイオロジー東京シンポジウム参加報告

本日、生殖バイオロジー東京シンポジウムに参加してきました。
代表の鈴木先生は挨拶文で、ARTが大きな転機を迎えていると述べられていました。
これにはいくつもの見方があると思いますが、
一つには、安易に体外受精をおこなわれすぎている側面がある一方で、生殖医療として「体外受精さえすれば良いのか?」という問題提起です。
今日本では、年間およそ100万人の赤ちゃんが生まれていますが、年間3.2万のお子さんが体外受精などの生殖補助医療で生まれています。32人にひとりが体外受精などの生殖補助医療で生まれており、累計で30万人以上に達しています。かなり多くの赤ちゃんが体外受精で出生していますが、体外受精での出生が理想ではなく、医療としては、不妊で悩む夫婦を少なくするために、体外受精だけではなく、それ以外の面での診療も考える必要があるということなのです。
実際には、体外受精はこの35年間にめざましい発展を遂げてきましたが、技術的にはほぼ到達点に達してきているとの見方が増えています。しかし、体外受精の限界も明確になっており、特に年齢は最も大きな問題なのです。体外受精でも、35歳を超えると急速に妊娠率は低下し、40歳以上では出生率は10%を切り、47歳での出生率は0.01%(つまり1万回に1回)になるのです。
豊橋のA先生も、「一般不妊治療も、あらかじめ期間を設定して、短期勝負で行うべきである」とおっしゃっておりました。

これらのご意見は、私のクリニックでの方針と一致するものと思います。
当クリニックでは、現在
体外受精をすぐに考えている方と、半年以内には体外受精を考えている方の診察を受け入れていますが、これは積極的に妊娠を考えて、急いでいる方を優先にしているからなのです。
一方、体外受精のみをお勧めしているのではなく、体外受精も含めて、少しでも早く、少しでも妊娠する可能性が高くなるように、「体外受精か、一般不妊治療か?」ではなく、「体外受精も、一般不妊治療も」という方針で取り組んでいます。
したがって、当クリニックでは、子宮鏡手術や卵管鏡手術、減量などの生活習慣病、サプリメントの積極的活用も併せて、総合的に妊娠の可能性を追求しています。
今回は、高橋ウイメンズクリニックでの診療方針を再確認できたシンポジウムでした。
具体的な各論は、また次の機会にご報告致します。

2014年7月21日月曜日

なんと、Best Doctors in Japanの認定証が届きました!

先日、予期せぬ、驚きの知らせがありました。

ベストドクターズ社から、Best Doctors in Japanの認定証が数日前に届いたのです。
テレビでアメリカの有名医師のインタビューなどでしばしば映っていたので、アメリカにはBest Doctorsの制度があることは知っていたのですが、日本でもこの認定をおこなっていたのですね。

私は今回認定証が届いて、初めて日本でもおこなっていたことを知りました。
 
 
 

調べてみると、これは医師同士でその道の専門家の評価をしており、「もし自身や大切な人が、自らの分野・関連分野の治療を必要とする際、自分以外の誰に治療を委ねるか」という視点で、他の科の医師ではなく、同じ婦人科医師からの評価がなされているようです。

今回のことは、私自身にはとても励みになりました。どなたが指示して下さったかは判らないのですが、認めて下さった専門家の先生方、ありがとうございます。
ただ、今おこなっていることは私1人ではできるものではありません。特に不妊症・体外受精は、エンブリオロジスト、ナース、受付、その他のスタッフ様々な協力がなければおこなうことができないのです。また、生水教授、市川教授、藤田医師、武藤医師、川嶋医師、のご助力がなければ、現在の診療スタイルはなりたってはいません。
まだまだ改善点は多いのですが、ベストドクターズ認定を機会に、また一段上の診療を提供できるようにがんばっていきたいと思います。
皆さんのご理解とご協力もよろしくお願い申し上げます。
高橋ウイメンズクリニック
高橋敬一

参考までに)
2014年7月現在、日本では約6,100名の医師がデータベースに入力されているそうですが、認定医のリストは公表されていないようです。過去に認定された医師のインタビューをみると、天皇陛下の心臓を手術した有名なA先生や、各大学の教授、大病院の院長、部長など、そうそうたるメンバーです。皆さんもベストドクターズ社のホームページも参考にしてみて下さい。名簿が公表されていない理由は、(株)法研が、依頼により、そのベストドクターを紹介する業務をおこなって、その利益で運営されている理由のようです、したがって、認定された医師からの料金などはなく、各医師からは全く独立した組織のようです。
 

2014年7月15日火曜日

前医で顕微授精出産、今回2回目の人工授精で妊娠

前医で原因不明不妊で、顕微授精を受け、4回目の胚移植で妊娠出産された方が第2子を望んでいらっしゃいました。
30代前半の方でしたが、卵管造影検査、子宮鏡などをうけ、御本人も前回と同様に顕微授精を希望されて、次周期には体外受精(顕微授精)を予定していました。
前回も原因不明とのことで、確かに、精子の状態はばらつき、悪いときもありました。
次周期には体外受精との予定で、2回目の人工授精をされ、そして妊娠されたのです。
御本人も驚き喜んでいらっしゃいました。

このような事は決して珍しいものではありませんが、皆さんへの助言としては、
①体外受精を開始したらば、「体外受精以外の方法は意味が無い」とは考えないで下さい。不妊治療は総合的に考えていきましょう。
②体外受精予定でも、卵管造影検査などの一般不妊治療の検査も、しっかりと受けておいて下さい。
③精子はばらつくのです。1~2回の検査で、精子の状態を決めつける事無く、卵管が通っている場合など、一般不妊治療での妊娠の可能性がある場合には、併用してみて下さい。



AMH<0.1での妊娠例(両側チョコレート嚢腫手術後)

今回、AMH<0.1での幸運な妊娠がありましたので、ご紹介致します。
30代後半の方で、両側のチョコレート嚢腫の手術歴がありました。来院時すでにAMH<0.1、FSH:22の重度の卵巣機能低下状態であり、すぐに体外受精を開始致しました。
①自然周期で1個採卵するも、受精せずキャンセル。卵子の状態は不良。
②自然周期で、採卵時排卵済みでキャンセル
③クロミフェン周期で、採卵時排卵済みでAIHに変更
④自然周期で1個採卵するも受精せずキャンセル。
⑤HMG注射で排卵誘発し、1個採卵し、受精。胚移植し妊娠するも初期流産。
⑥HMG注射で排卵誘発し、3個採卵し、受精卵無くキャンセル。
⑦アロマターゼ阻害剤内服で1個採卵し、受精、胚移植し、妊娠。
この方は、幸運にも胚移植できた場合には2回とも妊娠しています。しかし、やはり卵胞が少ないと、採卵できない、受精しない、などもあり、胚移植までいけないキャンセルの場合も多くなるのです。

今回の参考点としては、両側のチョコレート嚢腫を手術する場合には、卵巣機能が極端に低下する可能性があることを皆さんにはご理解頂く必要があります。
チョコレート嚢腫を手術すると、一般的には妊娠率が上昇します。したがって手術の有用性を否定するものではありません。しかし、特に両側の卵巣の手術をおこなう場合には、卵巣機能がとても低下して、その後の体外受精でも、卵子がなかなかとれない場合もしばしばおこるのです。
したがって、チョコレート嚢腫の手術はできるだけ片方にしておく、体外受精も見据えた中期的な計画も考慮する、応急処置ではありますが卵巣嚢腫内容除去術なども考慮する、なども考えても良いと思います。

この方の今後が順調に経過することをお祈りするのみです。

卵管水腫切除後の妊娠(前2施設で6回の胚移植の反復不成功後)

前2施設で、4回の採卵、6回の胚移植(胚盤胞移植3回含む)で、妊娠せず、卵管水腫切除後の当クリニック2回目の移植で妊娠卒業された方を紹介致します。
30歳頃の方で、子宮外妊娠で片方の卵管を切除していました。その後、卵管造影検査はしておらず、前2施設で、4回の採卵と6回の胚移植を受けるも妊娠せず、反復不成功として当クリニック来院。
卵管造影検査をしたところ、卵管水腫を認めました。これは超音波検査でも認める重症の卵管水腫と判断し、経過を考慮して、御本人と相談し、他施設で卵管水腫切除をおこないました。
その後、当クリニックで初回の採卵。1個胚移植し、3個胚盤胞凍結。その後、初回の凍結胚盤胞移植で妊娠、卒業されました。
この方の場合、皆さんの参考になると思われる点があります。
1)体外受精であっても、卵管造影検査は受けておくことをお勧め致します。特に今回のように、反復不成功の場合には、是非とも受けておきたい検査だと強くお勧め致します。
2)超音波検査で判るような卵管水腫は重症です。重症の卵管水腫は、体外受精の成績が1/2~1/3に低下します。したがって、超音波検査で判るような卵管水腫は手術も検討された方が良いでしょう。
やはり、体外受精を受けるにしても、1回1回高価な治療法です。単に体外受精を受けるのではなく、しっかりと全体の状態を検査いして、条件を整えて受けることをお勧め致します。


「How are doing?」海外からの手紙(奇跡の子の過程)

How are doing? I assume you are busy as always. It has been  「??」  years since I have got my baby girl. We celebrated her 「??」  birth day last Sunday. I have attached her recent picture.

This week I visited a gynaecologist to see if we can have a second baby, Dr did not believe my healthy baby was conceived with a such condition, she said it was a miracle!.

Anyway, she asked me to contact you to inquire about your protocol that you used with me, for instance, drugs name, how many times a day, and any extra information that would help my gynaecologist here.

海外から、メールが届きました。私が依然としてちょこまか動き回っていることを確信して書いてきていますね。しかし、そのお嬢ちゃんは、生まれるまでに、少しずつの良い結果が重なり、結果として奇跡的な、とてもキュートなお嬢ちゃんが生まれてきたのです。オーストラリアの産婦人科医も、ミラクルと医って下さったのですね。写真を皆さんにお見せできないのが非常に残念です。福岡のアイドルのHKちゃんと並べるほどのかわいさなのです。
皆さんががんばって誕生したお子さんを見ると、私もうれしくなりまたがんばれるのですね。

数年前に、アフリカから来日し、滞在していた30歳前半の夫婦が当クリニックを訪れたときの、AMHは1.5pM、今の値ではおよそ0.2ngでしょう。FSHも28.5であり、残存卵子数は47~50歳程度と推測されました。
子宮鏡では1cmの粘膜下筋腫を認め、その上、その周期ではday19日になっても、子宮内膜は5mmで小さな卵胞も全く認めませんでした。ほぼ閉経に近い状態と判断し、この周期はプラノバールで一旦リセットし、次周期の卵胞の発育を期待しました。
その生理周期、day2で卵胞が18×18mmの卵胞を認めました。子宮内膜は生理中ですから3mmです。E2:177, LH;3.79 P:0.87 生理周期にしてはそれなりの卵胞でした。今後卵胞ができる保証はないと判断し、HMG150単位とセトロタイドを注射し、排卵を抑えつつ、day5(つまり月経中)の採卵となりました。
1個採卵し、精子の状態により、顕微授精で受精。子宮内腔には粘膜下筋腫があり、子宮内膜は生理直後で薄いままなので、新鮮胚移植はせずに、day3胚(8cell)で凍結保存。
採卵直後の生理周期には、44日経っても子宮内膜は3mm未満で、卵胞も認めず、ほぼ閉経状態でした。この周期もプラノバールを使用して生理をおこし、
その生理直後の時期に、子宮鏡下粘膜下筋腫摘出術を当クリニックでおこないました。
術後1週間後より、再度プラノバールを使用し、生理をおこしました。
しかし、その翌周期にもday15で、内膜<3mm、卵胞見えません。このときよりホルモン補充を開始し、子宮内膜が7mmとなったところで、day3凍結胚を移植し、妊娠され、無事卒業となったのです。
この間6ヶ月、卵胞の確認は、採卵できたその1回のみでした。

この過程にはいくつかの対策法が凝集されています。
①卵巣機能が非常に低下している場合には、ピルやエストロゲンなどの女性ホルモンを使用することで、単発の卵胞が発育することがあるのです。カウフマン療法がとられることもあります。
②非常に卵巣機能が低下している場合には、生理の時にすでに成熟間近の卵胞ができることはしばしばあります。やっとできた卵胞は、時期が通常とはずれていても、採卵する価値があることが証明されましたね。
③この卵胞は排卵しても、子宮内膜は生理直後で薄いので、通常は着床しません。このようなときには、無理に胚移植しないで凍結保存し、後日しっかりと子宮内膜を作ってから戻すことが有効であることが証明されました。
④子宮内膜は7mmあれば、有効である事を証明する一例です。
⑤凍結胚は、初期胚でしたが、初期胚の凍結/融解も有効な一手段であると証明されました。胚盤胞移植よりは着床率は低いと思いますが、胚盤胞まで成長するのは受精卵の半分以下です。キャンセル率が高くなるよりは、初期胚移植を積極的に使用する方法も、有効な選択肢の一つを言えるでしょう。
当クリニックの技術の総力を集めておこなえた、心に残る患者さんでした。、

2014年7月13日日曜日

体外受精前の人工授精の妊娠例(あわせて、妊娠の判断の難しさ)

今回、体外受精前の人工授精で妊娠された方がいらっしゃいました。これ自体は珍しくはないのですが、いくつかの留意したい点がありますので、ご紹介致します。

第一に、この方は、この基礎体温表(出血が始まったときにはいつもと同じように基礎体温の低下もしつつあった)と、予定通りに生理(実際には妊娠初期の切迫流産の出血と判断されますが、、)が来たので、御本人も妊娠とは思っていませんでした。
しかし、この基礎体温表で、この方は妊娠されていたのです。以前にもこのブログで同じような低温期の妊娠例(2013年12月15日)をご紹介しました。その状況もご参考にしてみて下さい。この方も、E2=764、黄体ホルモン:2.26、HCG:2357であり、超音波検査で胎嚢が確認されました。
この方のように、基礎体温表や、E2や黄体ホルモンでは、妊娠の判断がつかないことも時々あるのです。子宮外妊娠でもしばしばこのような基礎体温表は見られます。
なかなか妊娠の判断が難しいこともしばしばあるのですね。医療の現場では、一つの検査ではなかなか判断できないことが、日常的におこります。この方も、超音波検査でおかしいと思い、HCG検査をおこなうことで妊娠が確認されました。通常はこの基礎体温表やE2,Pでは、HCG検査はおこなわないのです。
このような場合では、御本人もいつもの生理が来ていると考えていますし、基礎体温も下がっていると判断して、排卵誘発剤を使用したり、子宮卵管造影検査をおこなってしまうようなこともあり得るのですね。
人の体の状態は本当に様々なことがおこっていて、医療現場では、理論通り、教科書通りにいかないことが、日常的におこっているのです。



第二に、この方は人工授精で妊娠されましたが、原液精子は0.5ml、250万/ml、運動率12%、総運動精子数15万でした。人工授精の妊娠限界は、実際には設定できないのです。全く精子がいなければ当クリニックでも人工授精はおこないませんが、顕微授精が必要とされるレベルでも、人工授精で妊娠することもあるのです。
人間の体でおこっていることは、明確な線を引くことができないのです。不妊症治療では、可能性がある場合には、最終的な妊娠の可能性を少しでも高くするために、体外受精(顕微授精)の合間に人工授精、タイミングをとることも無駄ではないのです。
治療法をご自身で限定してしまわずに、総合的に治療を考える事も大切なことでしょう。